“現世”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
このよ29.5%
うつしよ24.4%
げんぜ21.8%
げんせ19.2%
げんせい1.3%
うつつよ1.3%
おつつよ1.3%
ウツシヨ1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もうしまして、わたくしいまいきなりんでからの物語ものがたりはじめたのでは、なにやらあまり唐突とうとつ……現世このよ来世あのよとの連絡つながりすこしもわからないので
この血だらけの魚の現世うつしよさまに似ず、梅雨の日暮の森にかかって、青瑪瑙あおめのうを畳んで高い、石段下を、横に、漁夫りょうしと魚で一列になった。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若い身空みぞらを働きもせず、現世げんぜの慾望をも満たそうともせずにいることが残念でならなかった。彼は「いまいましい」という言葉を使った。
遍路 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そなたはしきりに先刻さっきから現世げんせことおもして、悲嘆ひたんなみだにくれているが、何事なにごとがありてもふたた現世げんせもどることだけはかなわぬのじゃ。
産児制限論者は勿論、現世げんせいの人々はかういふ言葉に微笑しないわけにはゆかないであらう。人口過剰に苦しんでゐる僕等はこんなにたくさんの人間のゐることを神の愛の証拠しようこと思ふことは出来ない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
してその時に自分は稚児おさなご現世うつつよならぬ薄青い夢の世の熱い夏の真昼頃、なんでも広い広い桑畑でただ独り、そのうちをさまよいながら、蜻蛉を取っている姿のありありとして見られたのである。
自然そのままのけがれのない清純な女性の形象かたちをとってこの現世おつつよに存在している、いわばそれは若竹の精霊だ。微塵みじんの悪徳もなく、うるわしい天然の姿のままで。それはあの竹林の中に生きている。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
幽世カクリヨに入るとも、吾は 現世ウツシヨに在るとひとしく 歌をよむのみ
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)