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げんせ
ふりがな文庫
“
現世
(
げんせ
)” の例文
そなたはしきりに
先刻
(
さっき
)
から
現世
(
げんせ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
して、
悲嘆
(
ひたん
)
の
涙
(
なみだ
)
にくれているが、
何事
(
なにごと
)
がありても
再
(
ふたた
)
び
現世
(
げんせ
)
に
戻
(
もど
)
ることだけは
協
(
かな
)
わぬのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
仏といえども、道理に
違
(
たご
)
うことのあるべきはずがない。自分らには
現世
(
げんせ
)
を安穏にする欲情もなければ、
後生
(
ごせ
)
に善処する欲情もない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
五百之進
(
いおのしん
)
殿! 定めし貴殿の霊はご無念であろう。
現世
(
げんせ
)
に、心残りなことでござろう。したが、世に、永らえて生き老いることも、辛うござる
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかに
罪業
(
ざいごう
)
のふかい女子の身とて、尊い阿闍梨の教化を受けましたら、
現世
(
げんせ
)
はともあれ、せめて
来世
(
らいせ
)
は心安かろうにと、唯そればかりを念じておりまする
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いにしへの希臘羅馬時代にのみ眼を注ぎたりしが、千三百二十七年アヰニヨンにてラウラといふ婦人に逢ひ、その戀に引かれて、又
現世
(
げんせ
)
の詩人となりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
塔橋を渡ってからは
一目散
(
いちもくさん
)
に塔門まで
馳
(
は
)
せ着けた。見る
間
(
ま
)
に三万坪に余る過去の
一大磁石
(
いちだいじしゃく
)
は
現世
(
げんせ
)
に
浮游
(
ふゆう
)
するこの
小鉄屑
(
しょうてつくず
)
を吸収しおわった。門を
入
(
はい
)
って振り返ったとき
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
堂内はゴシツク式建築の大寺院の例に漏れず薄暗い中に
現世
(
げんせ
)
と
掛
(
かけ
)
離れた
幽静
(
いうせい
)
を感ぜしめ、幾つかの窓の
瑠璃
(
るり
)
の
地
(
ぢ
)
に五
色
(
しき
)
を
彩
(
いろど
)
つた色
硝子
(
ガラス
)
が天国を
覗
(
のぞ
)
く様に
気高
(
けだか
)
く美しい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
平生
(
へいぜい
)
見つけた水の色ではない、予はいよいよ
現世
(
げんせ
)
を遠ざかりつつゆくような心持ちになった。
河口湖
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この
日本
(
につぽん
)
には、男は十九億九萬四千八百二十八
人
(
にん
)
、女は廿九億九萬四千八百三十
人
(
にん
)
の、この男女がみんな
念佛者
(
ねんぶつしや
)
で、みんな
阿彌陀佛
(
あみだぶつ
)
を
本尊
(
ほんぞん
)
としてゐるから、
現世
(
げんせ
)
の祈りもその如く
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あなたと愚僧とは
現世
(
げんせ
)
のちぎりがふこうござりましたから、ぜひ来世へもおともをして
報恩謝徳
(
ほうおんしゃとく
)
いたしましょうと申され、まつうらどのゝとめるのもきかずにおしろへたてこもられました。
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
このような幻想を彼岸生活として持つものの永生の願望は、
必竟
(
ひっきょう
)
現世
(
げんせ
)
を完全にして無限に延長しようとするに異ならない。しかもその現世の完成が、暴王の企てたところと方向を同じくする。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
何卒御救ひ成れて下されよと
只管
(
ひたすら
)
に頼みけれども可睡齋は
首
(
かうべ
)
を
振
(
ふり
)
汝よく
聞
(
きけ
)
よ佛法と言共今は末法なり
釋迦
(
しやか
)
の時代とは事
異
(
かは
)
り
愚僧
(
ぐそう
)
が如き
不徳
(
ふとく
)
にては
勿々
(
なか/\
)
有罪の者を
現世
(
げんせ
)
にて救う事は成
難
(
がた
)
し因て國法を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「普通の形でおいでになれば、いつまたそんな人が来られるかもしれませんが、もう
現世
(
げんせ
)
の縁を絶った身の上になっておられる以上は私も安心しておられます。自身の気持ちもそう見えますからね」
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
同時に又次第に
現世
(
げんせ
)
には珍らしい生活へはひつて行つた。
素描三題
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
役
(
やく
)
にもたたぬ
現世
(
げんせ
)
の
執着
(
しゅうちゃく
)
から
離
(
はな
)
れるよう、しっかりと
修行
(
しゅぎょう
)
をして
貰
(
もら
)
いますぞ!
執着
(
しゅうじゃく
)
が
残
(
のこ
)
っている
限
(
かぎ
)
り
何事
(
なにごと
)
もだめじゃ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
や、や、や! ではこの
伊那丸
(
いなまる
)
が、かくまで心をくだいて、
武田家
(
たけだけ
)
の
再興
(
さいこう
)
を
計
(
はか
)
っているのに、お父上には、もう
現世
(
げんせ
)
の争闘をお
忌
(
い
)
みあそばして、まったく、心からの
世捨人
(
よすてびと
)
とおなりなされたのですか
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これからのそなたの
生活
(
せいかつ
)
は、
現世
(
げんせ
)
のそれとはすっかり
趣
(
おもむき
)
が
変
(
かわ
)
るから一
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
くそのつもりになってもらわねばならぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
“現世”の意味
《名詞》
(仏教)三世の一つ。現在の世。この世。
(出典:Wiktionary)
“現世”の解説
現世(げんせ、げんせい、うつしよ)とは、現在の世のこと。古くは「げんぜ」とも読む。
(出典:Wikipedia)
現
常用漢字
小5
部首:⽟
11画
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
“現世”で始まる語句
現世利益
現世時代
現世紀
現世生活中
現世式
現世的
現世観
現世生活
現世利益弁
現世安穏後生善処