“難”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
がた29.2%
かた23.2%
にく19.6%
なん7.2%
むずか3.1%
むづ2.0%
むず1.7%
むつ1.4%
むつか1.4%
むづか1.4%
かね1.1%
がと1.1%
なや1.1%
むずかし0.6%
0.5%
がて0.5%
かたん0.5%
がたき0.5%
くるし0.5%
0.5%
かたい0.3%
かと0.3%
わけ0.3%
むづかし0.2%
えれ0.2%
かたから0.2%
かたき0.2%
0.2%
がたく0.2%
がたし0.2%
がたな0.2%
がとう0.2%
けな0.2%
0.2%
むつかし0.2%
わざはひ0.2%
カタ0.2%
ナヤ0.2%
ナン0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ゆきなか紅鯛べにだひ綺麗きれいなり。のお買初かひぞめの、ゆき眞夜中まよなか、うつくしきに、新版しんぱん繪草紙ゑざうしはゝつてもらひしうれしさ、わすがたし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
深夜に一旦外へ踏み出せば、自分が斬られるか、或いは斬られて倒れているものを発見することは、さしてかたいことではありません。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また、この不幸な老先輩の死を見すてるのも忍びないが、生きていよとは、なおさらすすめにくい。当然、老先生は死ぬべき人である。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鼻筋はなすぢ象牙彫ざうげぼりのやうにつんとしたのがなんへば強過つよすぎる……かはりには恍惚うつとりと、なに物思ものおもてい仰向あをむいた、細面ほそおも引緊ひきしまつて
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「小野田さんと二人で、ここでついた得意でも持って出て、早晩独立ひとりだちになるつもりで居るんだろうけれど、あの腕じゃまずむずかしいね」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
夫に死なれために、険しいさびしい性格になつて常に家庭の悲劇を起した母も死んだ。むづかしい母親の犠牲になつた兄も死んだ。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
先生はこの頃になって酒をこうむること益々ますますはなはだしく倉蔵の言った通りその言語が益々荒ら荒らしくその機嫌きげん愈々いよいよむずかしくなって来た。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
むつかしい仕事をひきうけて、それを成るべく疲れないで仕遂げようとする前の晩は、西枕で寝るのが一番いいとしてあります。
こんなぽつちりした俸給では、定めし生活くらしむつかしからうといふ訳でもあるまいが、白堊館ホワイトハウスの家賃だけは、別に取立てない事にしてある。
健は待つてましたと言はぬ許りに急にむづかしい顏をして、霎時しばし、昵と校長の揉手をしてゐるその手を見てゐた。そして言つた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分一人の口を糊しようと思つて、あくせく背骨を曲げて歩いてゐるやうな者は、およそ、その人自身の口一つさへ食ひかねてゐるものだ。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
太閤殿下の御恩を蒙り給うことは海山にもたとがとう存じますけれども、先年若君が御誕生になりましてからは、我等のひがみかは存じませぬが
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わたしの眼を開いて呉れたのは、なやみよ、お前だ。わたしを難みに引き入れて呉れたのは、罪よ、お前の骨折のお蔭ではないか。結句お前達は、わたしの恩人だ。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それに対して抵抗し反撥することはむずかしかった。理不尽に陥ってまでもそれをあえてすることはないとかれは思っていたからである。
火の風にれて家から家に移つて行くいきほひ、人のそれを防ぎねて折々発する絶望の叫喚さけび、自分はあの刹邪せつなこそ確かに自然の姿に接したと思つた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
塵埃ほこりたかる時分にゃあ掘出しのある半可通はんかつうが、時代のついてるところが有りがてえなんてえんで買って行くか知れねえ、ハハハ。白丁はくちょう軽くなったナ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蕉門も檀林も其嵐きらん派も支麦しばく派も用ゐるにかたんじたる極端の俗語を取て平気に俳句中に挿入そうにゅうしたる蕪村の技倆は実に測るべからざる者あり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
またなんぞあい関渉して教門のためにして政治その害を受くることあらんや。余よみてこの文に至り、おおいに了解しがたきおぼう。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
しかし肉漿にくしょうや膿血は拭ひ得てもその欲情のくるしみのしんは残つてゐる。この老いにしてなほ触るれば物をむさぼり恋ふるこころのたちまち鎌首かまくびをもたげて来るのに驚かれた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
敷き詰めた小砂利の一とつ/\に兩抉りやうぐりの下駄が挾まるのでみのるは歩きくて堪らなかつた。その度に慟悸が打つて汗が腋の下を傳はつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
蜀山先生かつて謂予よにいつていはくおよそ文墨ぶんぼくをもつて世に遊ぶもの画は論せず、死後しごにいたり一字一百銭にあてらるゝ身とならば文雅ぶんがの幸福たるべしといはれき。此先生は今其幸福あり、一字一百銭にあてらるゝ事嗟乎あゝかたいかな。
おおよそ物体はそのもっとも障碍しょうがいの少なき点に向かって運動する自然の法則を有するものにして、人種の運動といえどもまったくこの理に従わずんばあらず。いにしえは東にかとうして西に易し。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それとも御在おいでですか。宿屋に居るのも不自由で、面白くもないぢやありませんか。来年あたりは一つ別荘でも建てませう。何のわけは無い事です。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「大変むづかしく成りましたのね。さうですね、それは那箇どつちかがわるい事も有りませう。又女の性分にも由りますけれど、一概に女と云つたつて、一つはとしに在るので御座いますね」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
婆「はい、一里ちっとんべいも有りやんしよ、これからは下りにはなりやんすが、道がえれいでねえ、まア此処こけえお掛けなせい、お困りでござりやしょう」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
吾人は今度の新舞台を以て人生最大の荘厳なる舞台たらしめむ事を期す。吾人の期望にして成らずんば、手に三尺の利剣あり、一揮いつきあにかたからんずる所ならむや。(了)
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
然らば其時そのとき汝は宇宙うちう存在そんざいするすべての誠実せいじつなる人と一致いつちせしなり、一致のかたきは外が来て汝と一致せざるに非ずして汝の誠実せいじつならざるにあり。
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
いつかおぼろな月が、多宝塔の水煙のあたりにさし昇っていた。行きずりの人でも人恋しい夜頃ではあるし、権之助は、去りてな心地になって
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
得ずそうらえ共お辰様身の上につき御厚情こうせい相掛あいかけられし事承り及びあり難く奉存候ぞんじたてまつりそうろうさて今日貴殿御計おんはからいにてお辰婚姻取結ばせられ候由驚入申おどろきいりもうし仔細しさいこれあり御辰様儀婚姻には私かた故障御座候故従来の御礼かたがたまかり出て相止申あいとめもうすべくともぞんい候えども如何いかにも場合切迫致しかつはお辰様心底によりては私一存にも参りがたくようの義に至り候ては
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ふり其方何樣に歎くとも江戸表よりの御差※さしづなれば差免さしゆるがたししかし子の罪は親に懸らざれど母を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さしも目覚めざましかりける手腕てなみの程も見る見るやうや四途乱しどろになりて、彼は敢無あへなくもこの時よりお俊の為に頼みがたなき味方となれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
段々の御親切有りがとうは御座りまするがわたくし身の上話しは申し上ませぬ、いいや申さぬではござりませぬが申されぬつらさを察し下され、眼上めうえと折りあわねばらしめられたばかりの事
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
京都大学の新村しんむら教授は日本画家の作物さくぶつけなして、画家ゑかきはどうしても本を読まなければ駄目だと言つたさうだ。画家ゑかきに本を読めといふのは大学教授にひげれといふのと同じやうに良い事には相違ない。
大忠だいちう(九〇)拂辭ふつじするところく、(九一)悟言ごげん(九二)撃排げきはいするところく、すなはのちその辯知べんちぶ。親近しんきんせられてうたかはれず・(九三)これくすを所以ゆゑんなり
しかも因縁ばかり永く続いて人に信心のやや薄れた場合に、尋常一様の手段ではもと奉仕した神と別れることがむつかしかったということは、しばしば巫術ふじゅつの家について言い伝えられた話であった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
初め天皇、わざはひに逢ひて、逃げましし時に、その御かれひりし猪甘ゐかひ老人おきなぎたまひき。ここに求ぎ得て、喚び上げて、飛鳥河の河原に斬りて、みなそのやからどもの膝の筋を斷ちたまひき。
後人ニ超サレザルハカタ
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幽咽イウエツスル泉流センリウ氷下ヒヨウカナヤ
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことわざにも——キ人ノナンハ人ミナ惜シミ、好悪ニワザワイナキハ人ミナイブカル——とある通り、天の救いといえるものか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)