“わけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ワケ
語句割合
理由30.5%
16.5%
11.7%
6.4%
5.2%
事情5.1%
次第4.2%
3.1%
仔細2.5%
2.5%
1.4%
道理1.2%
0.9%
和気0.9%
情交0.8%
0.6%
事理0.5%
分配0.5%
子細0.4%
原因0.4%
意味0.4%
情実0.3%
由来0.3%
0.2%
困難0.2%
0.2%
事故0.2%
分与0.2%
0.2%
0.2%
経緯0.2%
0.2%
因縁0.1%
情由0.1%
0.1%
ㇼ訳0.1%
事由0.1%
交情0.1%
割与0.1%
割譲0.1%
因由0.1%
0.1%
容易0.1%
0.1%
情實0.1%
所以0.1%
所故0.1%
来歴0.1%
来由0.1%
状態0.1%
理解0.1%
素性0.1%
経由0.1%
関係0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ええ実は、出鱈目にやったことではなくて、理由わけがあったのですが、最初に否定したものですから、つい云いそびれてしまいました。
無駄骨 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
どうぞ是非ぜひ一ついていただきたい、とうのは、じつはそうわけであるから、むしろきみ病院びょういんはいられたほう得策とくさくであろうとかんがえたのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
音声一途にる外ない不文の発想が、どう言ふわけで、当座に消滅しないで、永く保存せられ、文学意識を分化するに到つたのであらう。
たゞ、あるわけで、私はあの大きな松の木の近所が恐かつただけなんだ。そして用心が、もつと危険の少い場所をさがさせたのだ。
どうも、そうさんもあんまり近頃ちかごろ御出おいででないし、わたし御無沙汰ごぶさたばかりしてゐるのでね、つい御前おまへこと御話おはなしをするわけにもかなかつたんだよ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そうか。君江さんが。」と矢田はいかにもびっくりしたらしく、その事情わけをきこうとした時、早くも目指した待合の門口へ来た。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これはおのずからしずくして、下の板敷のれたのに、目の加減で、向うから影がしたものであろう。はじめから、提灯がここにあった次第わけではない。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母「はい、お前方もふりい馴染でがんしたけんども、今度が別れになります、はい有難うござえます、多助や誰かわけもんが大勢来たよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると又そのうちに吾輩がタッタ一人で、淋しい絶影島まきのしまの離れ家に引込んだ話を風の便りに聞いたので、これには何か仔細わけが在りそうだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それも縁なら是非なしと愛にくらんで男の性質もわけぬ長者のえせすい三国一の狼婿おおかみむこ、取って安堵あんどしたと知らぬが仏様に其年そのとしなられし跡は
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私のまいりましたわけをあまりくわしく訊かれますと、私もあがることができませんし、あなたもまた私を入れてくださらないでしょうから。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
あの若奥さんもお前を信用しているような口吻くちぶりだった。わしは何うだろうかと思ったが、二人ともナカ/\道理わけの分った人で、持ち出しえがあった。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わけ、臣、連、伴造、國造、村主の保てる部曲の民と謂ふ樣なものが全國に充ち滿ちて、朝廷の官吏とも謂ふべき者の治める土地は至つて尠なかつた。
聖徳太子 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
明治の末頃、田辺和気わけ子といふ有名なお茶の先生があつた。その田辺先生に私は二年ぐらゐお茶を教へていただいた。
「子猫ノハナシ」 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
その法学士が内へ帰ると、(お帰んなさいまし、さて奥様はひょんな事。)と、書生と情交わけがあるように言いつける。とよくも聞かないで、——(出てけ。)——と怒鳴り附けた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
入んが爲先妻へ無實の汚名をめいおはおひ出したるむね九郎兵衞よりの訴状面そじやうめんに見ゆるが此儀申わけありやと有に九助は全く以て右樣みぎやうの事は御座なくと委細の事故ことがら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すなわち事理わけのわからぬやつはますますわからなくしてやるという、すこぶるきつい御言葉です。
と笑つて「処が妙でせう、弟の奴等、今では私が分配わけてやつた物を大概無くしてしまつて、それで居て矢張り小ぽけな村を ...
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
まだ結ひこめぬ前髮の毛の濡れて見ゆるも子細わけありとはしるけれど、子供心に正太は何と慰めの言葉も出ず唯ひたすらに困り入るばかり、全体何が何うしたのだらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうしてこれには何か深い原因わけがあるに違いないと思って、最初から色眼鏡をかけて研究を初めるだろう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それがやがて村の子供等にまで謡はれるやうになりましたが、誰一人この不思議な唄の意味わけを知つてゐる者はありませんでした。
虹の橋 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
皺延しわのばしの太平楽、聞くに堪えぬというは平日の事、今宵こよいはちと情実わけが有るから、お勢は顔をしかめるはさて置き、昇の顔を横眼でみながら、追蒐おっか引蒐ひっかけて高笑い。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「されば」と、性善坊は、側から、その坐像のできた由来わけを話すのに、つぶさであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何か、お前が出会でっくわした——黒門に逗留とうりゅうしてござらしゃるわけえ人が、手鞠てまりを拾ったちゅうはどこらだっけえ。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
病勢を昂進こうしんさせまいと思って肝胆を砕いているのさ。今夜だって一杯食わせようと思えば困難わけはない。たとえば君は坊ちゃんを連れてこれから家へ帰る。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わけは聞き出したね。南家なんけ嬢子おとめは、どうなった——。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
まねき相談に及ぶうち若松屋わかまつやきん竹本君太夫たけもときみたいふならびに瀬川の母も駈來かけきた皆々みな/\樣子やうすを聞て天晴あつぱれ手柄てがらなりとよろこびしがつれの二人をにがしたること口惜くちをしと云に半左衞門はんざゑもん否々いや/\事故わけもなくころさばつれの二人が一
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聞けばどうやら道人様は、とりわけよく効く薬草を栽培やしなっているということだが、お前はお住居を知ってる筈だ、分与わけて貰うか盗んで来て、薬草採りに売るがいいや。すぐ大金になるじゃあないか。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はじめ何の爲に悶々するのか解らなかツたが、軈がて其のわけがハツキリ頭に映ツて來る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
といって、そこで約束に背くようになったわけを話した。喬は顔色をかえて怒った。
連城 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
人生は京の夢、大阪の夢だ。電光朝露でんこうちょうろ応作おうさ如是観にょぜかんだ。まあ聞け……そんな経緯わけで吾輩は、その未亡人の手に付くと、お母さんだか妹だか訳のわからないステキな幸福に恵まれながら学問をおそわった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人がわけのない事を(眠っていても出来る)と言うが、その船頭は全くそれなのだ。よく聞いて見ると、そのはずさ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
乾雲、坤竜の二刀、まことに天下の逸品いっぴんには相違ない。だが、この刀がそれほど高名なのは、べつに因縁わけがあるのだと人はいいあった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
だけど、おさよ婆さんにしたところで、ほかにちゃあんとした因縁わけがなくちゃあ、死んだ殿様のおふくろに似てるぐれえなことで、ああいい気に奉られている道理はねえ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一体どうした情由わけだと、最初はじめは物柔かに尋ねたが、妹は容易にその仔細を明かさずただ一刻もの邸には居られませぬと云う。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その亭主も知らず、まして当人は夢にも知らぬ女の姿がありありと眼に映り、しかも小児までがその名を知っていると云うのは、どういう情由わけであろう。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もとより世の中と云ふものはさう面白いわけのものぢやないので、又人の身の上ほど解らないものは無い。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「友達中にもさう知れて見ると、立派に夫婦にならなければ、いよいよ僕の男が立たないわけだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「マア! 何もかくさなくったッていいじゃありませんか。どういうㇼ訳わけなんですか聴かせて下さい。実はコレコレとネ。女だって、わたしあ、あなたの忠臣ちゅうしんじゃありませんか。」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
死にたくなるにはいづれそれだけの事由わけがあつてだらうから、一概に罵倒したくも無いことでは有るが、同胞の一人が飛び込んだとすると、さあ大變だ、大騷ぎをしてその死骸を搜し出す
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
わちきが何も奧州屋さんと交情わけでも有りはしまいし、あの旦那だって私を色恋で何う斯うという訳ではなし、何かおとっさんと歌のことで仲好くして、世話にも成った事があるから
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
是非先方むかうより頭を低し身をすぼめて此方へ相談に来り、何卒半分なりと仕事を割与わけて下されと、今日の上人様の御慈愛おなさけ深き御言葉を頼りに泣きついても頼みをかけべきに、何として如是かうは遅きや
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
漁網の魚は、これを採って一さんの卓にのぼせ、地は割譲わけて、ながく好誼よしみをむすぶ引出物としようではないか。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其宿の下女に住込ませ己れは「七八チーパー」の小使に雇れたり此後一年を経て明治二十年の春となり妾も金起も築地に住い難きこと出来たり其因由わけは他ならず彼の金起の兄なる陳施寧商業しょうばいの都合にて長崎を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
今におれでかくなれば五万や十万の身代になるべいと思って御奉公しているに、われわけえ年して稼ぎ盛りで有りながら、たった八十両べいの金を取り、牢にへいって命を落すかと思えば如何にも気の毒で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いいともいいとも! 容易わけないことだよ! 今すぐそちらへ行くからね。大体あのルロイ・ソレルの夫人おくさんというのはお前ばかりじゃない、私も昔から虫が好かんのだよ。顔は綺麗かも知れないが、高慢で高ぶって見識張っていて……」
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
江戸一番のわけ知りで、遊びも派手なら商売も派手、芸人や腕のある職人を可愛がって、四方八方から受けのいい万兵衛が、場所もあろうに、自分の家の風呂場で、顔を洗ったばかりのところを
ふみふところにして令孃ひめ部屋へやときは、すゑ姉君あねぎみ此處こヽにありて、お細工物さいくもの最中もなかなるに、いませてはるかるべしと、情實わけもとよりはずなけれど、吾助ごすけともはであそけるが
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この一篇の原稿の斡旋を永久に徳として弟子の礼を執らなかったのが忘恩者として紅葉の勘気に触れた所以わけで、三唖はこれがために紅葉の勢力圏の新聞社や雑誌社からボイコットされてしまった。
風早學士は、其の薄暗い物象と陰影とをみまはして、一種耐へ難い悲哀の感に打たれた……彼自身にも何んの所故わけか、わけが解らなかツたけれども、其の感觸は深刻に彼の胸をけづる。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
これはマア一つ話ですがそげな来歴わけで、後日しまいにはそのナメラでも満足たんのうせんようになって、そのナメラの中でも一番、毒の強い赤肝を雁皮がんぴのように薄く切ります。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わたしはまるきり忘れることの出来ないのが苦しい。このまるきり忘れることの出来ない一部分が今、「吶喊」となって現われた来由わけである。
「吶喊」原序 (新字新仮名) / 魯迅(著)
そんな状態わけで、病人と介抱人が日本一の神様みたようになってグーグー眠ってしまいましたが、その中に大惣の声で……
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さあ段々絵を見ると其理解わけが聴きたくなつて、母が裁縫しごとなんかして居ると、其処そこへ行つては聞きましたが、面倒くさがつてナカ/\教へない。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あんな素性わけも分らねえ者を無闇に引張込ひっぱりこんでしまって何うするだ、医者様の薬礼まで己がしょわなければなんねえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それが無かったのでその代りとして勧められた塩鯖しおさばを買ったについても一ト方ならぬ鬼胎おそれを抱いた源三は、びくびくもので家の敷居しきいまたいでこの経由わけを話すと、叔母の顔は見る見る恐ろしくなって
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
……俺とお源は去年の暗闇祭にきっぱりとした関係わけになっているンだから、お源の婿はこの桜場清六。
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「とんでもない。こっちでいうことばだよ。もうけは仲よく歩合ぶあいわけるさ。じゃあ聟どのが役署から帰ったら、さっそく相談するとして」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)