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事情
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わけ
ふりがな文庫
“
事情
(
わけ
)” の例文
「いえ、……お恥しいわけですが、ちょっと、
事情
(
わけ
)
があって、この春から柳ばしのお
紺
(
こん
)
姐
(
ねえ
)
さんの家に、仕込みに預けてありますんで」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうか。君江さんが。」と矢田はいかにもびっくりしたらしく、その
事情
(
わけ
)
をきこうとした時、早くも目指した待合の門口へ来た。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ですから私がその方の代りに黒焦になって上げた……みたいな
事情
(
わけ
)
なのです。おわかりになりまして……私の黒焦の意味が……。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして……そしてそこには、何か村にい
堪
(
たた
)
まれぬような、
事情
(
わけ
)
がある……やっぱりそうだったのか! と、私の疑惑は一層、深まりました。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「何か深え
事情
(
わけ
)
があるらしいが、なにしろ、こっちの言うこたあ通ぜず、おまけに口をきかねえんだから、始末におえねえ。」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
そこがまた妙な関係で西村さんとしては思い切ったことができない
事情
(
わけ
)
があって、そいつはいよいよ図に乗るという始末になってきたのです。
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
もうこれでおしまいなんだ、どうにも変わりようがないってことは、おれにもわかっている。時の循環が完了したのだ。まあ、こんな
事情
(
わけ
)
さ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「叔父さんが世話をした人ですから、
事情
(
わけ
)
を言って話せば、引き受けてくれないことはないと思います。あなたからお
鳥目
(
あし
)
さえ少し頂ければね。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
友さん、どうしたのです、そう無暗に逃げてしまっては
事情
(
わけ
)
がわからないじゃありませんか、少し待って下さい、事情を話して下さい、わたしたちを
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
貴嬢
(
きみ
)
がいかに深き
事情
(
わけ
)
ありと
弁解
(
いいひら
)
きたもうとも、かいなし、宮本二郎が沈みゆく今のありさまに何の
関
(
かかわ
)
りあらん。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それはそれは、いつもながら、御深切は嬉しう受けておきまする。したが吉蔵さん、私がかうして、旦那のお世話になりますも、
事情
(
わけ
)
があつてといふではない。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
これさ、若旦那、まあ、お静かに、——何か詳しい
事情
(
わけ
)
はわかりませんが、高が二千や三千の金、それに御親戚であって見ると、これは御勘弁——ねエ若旦那。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
それには
事情
(
わけ
)
があるのだよ、深い事情があるのだよ。その事情というのはまことに恥ずかしいことだけれども、これだけはどうしてもお前に聞いてもらわねばならん。
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それでいて、私は柳町の人達よりも一層深い
事情
(
わけ
)
を知らぬ婆さんが、そう言ってくれるのを自分でも気安めだ、と承知しながら、聞いているのが何よりも楽みであった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
貸さない、貸さない、とても貸さない! 二百円のときでもあんなに渋ったのだ。けれども、こういう
事情
(
わけ
)
だとすっかり打ち明けて、ひとつ泣き付いてみようかしらん。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ミハイロの罪の無い笑声や、人の好ささうな
眼色
(
めつき
)
が皆の気に入つて、
弄
(
なぶ
)
らずに真面目に
事情
(
わけ
)
を聞出したから、仕事をさせて貰ひたいのだといふと、そんなら
己達
(
おれたち
)
の跡に
随
(
つ
)
いて来なと云ふ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
思い掛けない光栄に悦んだのが
事情
(
わけ
)
知らずのその日の
新名取
(
しんなと
)
り和泉屋の若旦那。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
奈何
(
いか
)
なる
事情
(
わけ
)
と
訊問
(
たずね
)
しに、昨夜
廿一二
(
にじゅういちに
)
のこうこう云う
当家
(
こなた
)
のお弟子が見えて、
翌日
(
あす
)
仏事があるから十五軒前
折詰
(
おりづめ
)
にして、
持
(
もっ
)
て来てくれと
誂
(
あつら
)
えられましたと話され、家内中顔を見合せて驚き
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
こんな
事情
(
わけ
)
で伯父さんは今日からホテルへ引越して行った。
彼
(
あ
)
んな小僧は
最早
(
もう
)
甥とも何とも思わないといったそうだ。乃公だって
疾
(
と
)
うから
彼
(
あ
)
んな
守銭奴
(
しみったれ
)
を伯父さんだなんて思ってやしない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何かお國殿と
己
(
おれ
)
と何か
事情
(
わけ
)
でもありそうにいうが、己も養子に
行
(
ゆ
)
く出世前の大切な身体だ、
尤
(
もっと
)
も一旦
放蕩
(
ほうとう
)
をして
勘当
(
かんどう
)
をされ、大塚の親類共へ預けられたから、左様思うも無理もないようだが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人の妻にといひては
未
(
ま
)
だ與之助が
事情
(
わけ
)
をしるまじき彼の
娘
(
こ
)
が、應とはかならず言ふまじければ、行義見ならひもをかしけれど、何とか名をつけて華族がたの大奧にでも一時の御奉公にいだすか
花ごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「もういいから、お帰りなさい、だが、気をおちつけて、人と喧嘩をなさらないようにね、
貴下
(
あなた
)
はいい方だが、この
比
(
ごろ
)
気がたってらっしゃる、それには
事情
(
わけ
)
もおありでしょうが、よく気をつけてね」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「いいえそうじゃございません。けれど昨夜は
事情
(
わけ
)
があって……」
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
男の方にも何か深い
事情
(
わけ
)
があるんですツてネ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
近侍は
事情
(
わけ
)
を話した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
事情
(
わけ
)
を知らない引船と
禿
(
かむろ
)
は、さっきここを出て行く前に、次の部屋へ、大名の姫君でも
臥
(
ふ
)
せるような豪奢な
夜
(
よる
)
の
具
(
もの
)
を敷いて行った。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今方占者のはなしから、清岡は我知らず言過ぎたと心付き
狼狽
(
うろた
)
えて言いまぎらしたのも、実はこういう
事情
(
わけ
)
からである。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
呼び留めて
事情
(
わけ
)
を聞いた上で、理解してやりさえすれば直ぐに納まるものと、大急ぎで廊下を駈けて有合せの
草履
(
ぞうり
)
をつっかけて米友を追いかけました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「とにかくソンナ
事情
(
わけ
)
ですから、折角定着しかけた五十万の南鮮漁民を助けると思って、何分の御声援を……」
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかしお秀が局を
欠勤
(
やすん
)
でから後も二三度会って多少
事情
(
わけ
)
を知って居る故、かの怪しい噂は信じなかったが、此頃になって、
或
(
もしや
)
という疑が起らなくもなかった。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それはとにかく、この
辺鄙
(
へんぴ
)
な山の湯と、二万八千石の大名と——これにはおおいに
事情
(
わけ
)
がなくてはならない。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ぎよつとして『男とは何の事。
事情
(
わけ
)
をいはんせ、分らぬ事に、返事のしやうもないではないか』『へん、盗人たけだけしい。分らぬとはよくいつた。手前の腹に聞いて見ろ』
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
外
(
ほか
)
のと違って、そう言った
事情
(
わけ
)
で、犬にも猫にも汚させるのが
可厭
(
いや
)
でしたから、俥ではるばると菩提寺へ持って来て、住職にわけを言って、
新
(
あらた
)
に塔婆を一本
古卒塔婆
(
ふるそとば
)
の方は
些少
(
いささか
)
ですが心づけをして
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「兄は留守がちだが、お前は、いつも家にいたのだ。あの一角と、姉と、不義のほかに、何か
事情
(
わけ
)
でもあったのではないか」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから断髪令嬢がシャクリ上げシャクリ上げ話すところを聞いているうちに、やっと
事情
(
わけ
)
が
判明
(
わか
)
って来た。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
磯五は、今までよく親切に、
事情
(
わけ
)
を聞いて待ってくれましたのでございます。わたくしも、何本となく手紙を書いて、猶予をたのんでやってあるのでございます。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お松はいよいよ
事情
(
わけ
)
がわからないけれど、米友はすっかり旅の
装
(
よそお
)
いをして逃げて行くから、ともかくもつかまえて、様子を聞いてみなければならないと思いました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
また武の女房も初めからよく
事情
(
わけ
)
を知っていて、やはり武と同じようにお幸と私の仲をうまくゆくようにのみ骨を折ってくれましたので私も武の家ではおおびらで遊んだものでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
まだその上にこの頃は、吉蔵さんが、こそこそと、お部屋へ忍んで行く様子。どうでもこれは、奥様と、
事情
(
わけ
)
が出来たであるまいの。
標致
(
きりやう
)
は、どうでも、金づくなら、私が負けるに、極まつた。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「これにはだいぶ
事情
(
わけ
)
がありそうです」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孔家
(
こうけ
)
の恩を思う人に、もうひとり
宋公明
(
そうこうめい
)
があるといったね。どうだ、
孔亮
(
こうりょう
)
さんをここから急遽、
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
に使いにやる——。そして
云々
(
しかじか
)
と
事情
(
わけ
)
を訴える。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから今度はなるべく長く
委
(
くわ
)
しく話してもらおうと思って、
酔
(
よ
)
っ
払
(
ぱら
)
いのあとから通りかかったお婆さんの傍へ寄って、
事情
(
わけ
)
を話して身の上話しを聞かしてくれと頼んだ。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「そりゃまた、どうしたわけなの。お前はどうも気が短いから、何かまた殿様の御機嫌を
損
(
そこ
)
ねるようなことをしたんじゃないか。そんならわたしが
謝罪
(
あやま
)
って上げるから
事情
(
わけ
)
をお話し」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今日のような留守をよい
機
(
しお
)
に出かけてしまえばよいじゃないか。——こう
事情
(
わけ
)
を知らない者は思うかも知れないが、そこにぬかりのあるあの婆ではない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして
事情
(
わけ
)
はすっかり解かりましたが、その中で濃紅姫を他の女と一所にお目見得に出す事だけはあまりに情ない浅ましい事で、殊に都合よく御妃になる事が出来れば兎も角も
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「
事情
(
わけ
)
を話せば長くなる、なにしろ、わしが身は急に
忙
(
せわ
)
しくなった」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まずその
事情
(
わけ
)
がらを先に
糺
(
ただ
)
してみたいが、今はその由来因縁を彼に問うている
遑
(
いとま
)
もなさそうなのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
賺
(
すか
)
したりしながら、ずいぶん
執拗
(
しつこ
)
く
事情
(
わけ
)
を尋ねたのよ。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「なるほど。じゃあこうしよう。おめえは盧の旦那にこっそり
事情
(
わけ
)
を話せ。そして朝晩の
糧
(
かて
)
も上々な物にしてあげて、おからだを大事になさいと耳打ちしておけ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娘の
讐敵
(
かたき
)
は同じ奴……この絵巻物の
事情
(
わけ
)
を知りながら
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“事情”の解説
事情
(出典:Wikipedia)
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
“事情”で始まる語句
事情合