小酒井不木
1890.10.08 〜 1929.04.01
“小酒井不木”に特徴的な語句
上海
猿轡
手拭
居
家
手巾
室
罎
得
甚
検
而
現場
今朝
頷
拵
不具
之
蝙蝠
床
行
良人
昨日
身体
扉
何人
愈
如何
凡
仕業
紐育
儘
乍
若
然
其処
仰
先刻
嚥
所謂
頗
尤
噤
塵埃
嘗
忽
言
固唾
暫
塊
著者としての作品一覧
誤った鑑定(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
晩秋のある夜、例の如く私が法医学者ブライアン氏を、ブロンクスの氏の邸宅に訪ねると、氏は新刊のある探偵小説雑誌を読んでいた。 「探偵小説家というものは随分ひどい出鱈目を書くものですね …
読書目安時間:約15分
晩秋のある夜、例の如く私が法医学者ブライアン氏を、ブロンクスの氏の邸宅に訪ねると、氏は新刊のある探偵小説雑誌を読んでいた。 「探偵小説家というものは随分ひどい出鱈目を書くものですね …
暴風雨の夜(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
秋も酣なる十一月下旬のある夜、××楼の二階で、「怪談会」の例会が開かれた。会員は男女五人ずつ併せて十人、百物語の故事にならって、百という数の十分の一に相当する十人が毎月一回寄合って …
読書目安時間:約20分
秋も酣なる十一月下旬のある夜、××楼の二階で、「怪談会」の例会が開かれた。会員は男女五人ずつ併せて十人、百物語の故事にならって、百という数の十分の一に相当する十人が毎月一回寄合って …
ある自殺者の手記(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
加藤君、 僕はいよいよ自殺することにした。この場合自殺が僕にとって唯一の道であるからである。 断って置くが、僕は決して、最近死んだ某文士を模倣するのではない。世間の人は二つの自殺が …
読書目安時間:約12分
加藤君、 僕はいよいよ自殺することにした。この場合自殺が僕にとって唯一の道であるからである。 断って置くが、僕は決して、最近死んだ某文士を模倣するのではない。世間の人は二つの自殺が …
安死術(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
御話の本筋にはいる前に、安死術とは何を意味するかということを一寸申し上げて置こうと思います。といっても、別にむずかしい意味がある訳ではなく、読んで字の如く「安らかに死なせる法」とい …
読書目安時間:約14分
御話の本筋にはいる前に、安死術とは何を意味するかということを一寸申し上げて置こうと思います。といっても、別にむずかしい意味がある訳ではなく、読んで字の如く「安らかに死なせる法」とい …
按摩(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
コホン、コホンと老按摩は彼の肩を揉みながら、彼の吸う煙草の煙にむせんで顔をしかめた。少し仰向き加減に、首と右肩との角度を六十度ぐらいにして居るところを見ると、生れつきの盲人であるら …
読書目安時間:約8分
コホン、コホンと老按摩は彼の肩を揉みながら、彼の吸う煙草の煙にむせんで顔をしかめた。少し仰向き加減に、首と右肩との角度を六十度ぐらいにして居るところを見ると、生れつきの盲人であるら …
暗夜の格闘(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
紅色ダイヤ事件の犯人は、意外にも塚原俊夫君の叔父さんでしたから、悪漢の捕縛を希望しておられた読者諸君は、あるいは失望されたかもしれませんが、これから私のお話しするのは、先年来、東京 …
読書目安時間:約23分
紅色ダイヤ事件の犯人は、意外にも塚原俊夫君の叔父さんでしたから、悪漢の捕縛を希望しておられた読者諸君は、あるいは失望されたかもしれませんが、これから私のお話しするのは、先年来、東京 …
遺伝(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
「如何いう動機で私が刑法学者になったかと仰しゃるんですか」と、四十を越したばかりのK博士は言った。「そうですねえ、一口にいうと私のこの傷ですよ」 K博士は、頸部の正面左側にある二寸 …
読書目安時間:約7分
「如何いう動機で私が刑法学者になったかと仰しゃるんですか」と、四十を越したばかりのK博士は言った。「そうですねえ、一口にいうと私のこの傷ですよ」 K博士は、頸部の正面左側にある二寸 …
犬神(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
私に若しポオの文才があったならば、これから述べる話も、彼の「黒猫」の十分の一ぐらいの興味を読者に与えることが出来るかもしれない。然し、残念ながら、私はこれ迄、会社員をした経験がある …
読書目安時間:約15分
私に若しポオの文才があったならば、これから述べる話も、彼の「黒猫」の十分の一ぐらいの興味を読者に与えることが出来るかもしれない。然し、残念ながら、私はこれ迄、会社員をした経験がある …
印象(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
毎月一回、同好のものによって開かれる犯罪学集談会の席上で、今宵は「女子の復讐心」が話題となりました。正午過から降り出した吹雪のために、集ったのは僅かに五人の男子でありましたが、五人 …
読書目安時間:約17分
毎月一回、同好のものによって開かれる犯罪学集談会の席上で、今宵は「女子の復讐心」が話題となりました。正午過から降り出した吹雪のために、集ったのは僅かに五人の男子でありましたが、五人 …
江戸川氏と私(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
はじめて江戸川氏の作品に接したのは、大正十一年の夏頃ではなかったかと思う。「新青年」の森下氏から同君の「二銭銅貨」と「一枚の切符」を送って来て、日本にもこれほどの探偵小説が生れるよ …
読書目安時間:約3分
はじめて江戸川氏の作品に接したのは、大正十一年の夏頃ではなかったかと思う。「新青年」の森下氏から同君の「二銭銅貨」と「一枚の切符」を送って来て、日本にもこれほどの探偵小説が生れるよ …
恐ろしき贈物(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
ニューヨーク市、西第七十街のあるアパートメントに、グレース・ウォーカーという四十前後の女が住んでいた。おもて向は極めて静かな生活をしていたけれど、警察はかねてから彼女に目をつけてい …
読書目安時間:約17分
ニューヨーク市、西第七十街のあるアパートメントに、グレース・ウォーカーという四十前後の女が住んでいた。おもて向は極めて静かな生活をしていたけれど、警察はかねてから彼女に目をつけてい …
怪談綺談(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
はしがき 伽婢子の昔から日本も随分怪談に恵まれているが、その話は多くは似たり寄ったりで、事実談として紹介されているものも大抵千遍一律である。で、私はこれから西洋の文献を探していささ …
読書目安時間:約11分
はしがき 伽婢子の昔から日本も随分怪談に恵まれているが、その話は多くは似たり寄ったりで、事実談として紹介されているものも大抵千遍一律である。で、私はこれから西洋の文献を探していささ …
外務大臣の死(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
「犯人は芸術家で、探偵は批評家であるという言葉は、皮肉といえば随分皮肉ですけれど、ある場合に、探偵たるものは、芸術批評家であるということを決して忘れてはならぬと思います」と、松島龍 …
読書目安時間:約20分
「犯人は芸術家で、探偵は批評家であるという言葉は、皮肉といえば随分皮肉ですけれど、ある場合に、探偵たるものは、芸術批評家であるということを決して忘れてはならぬと思います」と、松島龍 …
科学的研究と探偵小説(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
私は幼い時分から探偵小説が好きで、今でも相変わらず読みふけっている。いつ読んでも面白い。ポーや、ドイルや、ガボリオの探偵小説は常に自分の座右に置かれてある。何度繰り返し読んでも面白 …
読書目安時間:約13分
私は幼い時分から探偵小説が好きで、今でも相変わらず読みふけっている。いつ読んでも面白い。ポーや、ドイルや、ガボリオの探偵小説は常に自分の座右に置かれてある。何度繰り返し読んでも面白 …
狂女と犬(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
京都の高等学校に居た頃、——それはたしか明治四十一年だったと思うが——私は、冬休みに、京都から郷里の名古屋まで、名所見物を兼ねて、徒歩で帰ろうと思い立った。汽車ならば五時間、悪七兵 …
読書目安時間:約22分
京都の高等学校に居た頃、——それはたしか明治四十一年だったと思うが——私は、冬休みに、京都から郷里の名古屋まで、名所見物を兼ねて、徒歩で帰ろうと思い立った。汽車ならば五時間、悪七兵 …
愚人の毒(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
ここは××署の訊問室である。 生ぬるい風が思い出したように、街路の塵埃を運び込むほかには、開け放たれた窓の効能の少しもあらわれぬ真夏の午後である。いまにも、柱時計が止まりはしないか …
読書目安時間:約32分
ここは××署の訊問室である。 生ぬるい風が思い出したように、街路の塵埃を運び込むほかには、開け放たれた窓の効能の少しもあらわれぬ真夏の午後である。いまにも、柱時計が止まりはしないか …
国枝史郎氏の人物と作品(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
最初は国枝史郎氏論という題で書こうと思ったけれど、「論」を書くほど自分の頭は論理的に出来ていないから、「人物と作品」と題して見たものの、自分には他人の人物や作品を批評する資格は少し …
読書目安時間:約5分
最初は国枝史郎氏論という題で書こうと思ったけれど、「論」を書くほど自分の頭は論理的に出来ていないから、「人物と作品」と題して見たものの、自分には他人の人物や作品を批評する資格は少し …
稀有の犯罪(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
悲劇というものは、しばしば、まるでお話にならぬような馬鹿々々しい原因で発生するものであります。ほんの一寸した出来心や、まったく些細ないたずらから、思いもよらぬ大事件を惹き起すという …
読書目安時間:約23分
悲劇というものは、しばしば、まるでお話にならぬような馬鹿々々しい原因で発生するものであります。ほんの一寸した出来心や、まったく些細ないたずらから、思いもよらぬ大事件を惹き起すという …
血友病(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
「たとい間違った信念でもかまいません、その信念を守って、精神を緊張させたならば、その緊張の続くかぎり、生命を保つことが出来ると思います」 医師の村尾氏は、春の夜の漫談会の席上で、不 …
読書目安時間:約7分
「たとい間違った信念でもかまいません、その信念を守って、精神を緊張させたならば、その緊張の続くかぎり、生命を保つことが出来ると思います」 医師の村尾氏は、春の夜の漫談会の席上で、不 …
現場の写真(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
その年の春はいつまでも寒さが続いたので、塚原俊夫君は、私に向かって、また大地震でも起こらねばよいがなどと、時々私を気味悪がらせておりました。けれども、幸いに、大きな天災地変もなく、 …
読書目安時間:約16分
その年の春はいつまでも寒さが続いたので、塚原俊夫君は、私に向かって、また大地震でも起こらねばよいがなどと、時々私を気味悪がらせておりました。けれども、幸いに、大きな天災地変もなく、 …
好色破邪顕正(新字新仮名)
読書目安時間:約44分
戸針康雄は、訪問者が丑村という刑事であることを知るなり、ぎくりとして、思わずも手にして居た新聞紙を取り落した。不吉な予感が、彼の手を麻痺せしめたからである。 刑事は、す早く身を屈め …
読書目安時間:約44分
戸針康雄は、訪問者が丑村という刑事であることを知るなり、ぎくりとして、思わずも手にして居た新聞紙を取り落した。不吉な予感が、彼の手を麻痺せしめたからである。 刑事は、す早く身を屈め …
五階の窓:06 合作の六(終局)(新字新仮名)
読書目安時間:約44分
「それっ!」 という月並みな叫び声を口々に発して立ち上がりざま一同が逃げ支度にかかると、このとき遅く、いままで艶子たちの腰かけていた長椅子の下から大黒鼠が毒ガスを嗅がされたときのよ …
読書目安時間:約44分
「それっ!」 という月並みな叫び声を口々に発して立ち上がりざま一同が逃げ支度にかかると、このとき遅く、いままで艶子たちの腰かけていた長椅子の下から大黒鼠が毒ガスを嗅がされたときのよ …
国際射的大競技(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
昨年オランダに開かれたオリンピック大会で、わが日本選手が三段とびの第一等に入選したとき、私たち内地の日本人がどんなに喜んだかは、おそらくまだ皆さんの記憶にあらたなるところであると思 …
読書目安時間:約6分
昨年オランダに開かれたオリンピック大会で、わが日本選手が三段とびの第一等に入選したとき、私たち内地の日本人がどんなに喜んだかは、おそらくまだ皆さんの記憶にあらたなるところであると思 …
「小酒井不木集」はしがき(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
私は元来学究の徒でありまして、研究室以外の世の中をあまり見ておりませんですから、私の作品には研究室のにおいが濃厚につきまとっております。けれども、それが一方において私の作品の特色と …
読書目安時間:約1分
私は元来学究の徒でありまして、研究室以外の世の中をあまり見ておりませんですから、私の作品には研究室のにおいが濃厚につきまとっております。けれども、それが一方において私の作品の特色と …
ジェンナー伝(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
いまからおよそ百五十年前のことです。英国南部のバスという市で、ある夜盛大な晩餐会が開かれました。 集まったものは、政治家、実業家、医師、軍人など数十人、いわゆるその市およびその付近 …
読書目安時間:約20分
いまからおよそ百五十年前のことです。英国南部のバスという市で、ある夜盛大な晩餐会が開かれました。 集まったものは、政治家、実業家、医師、軍人など数十人、いわゆるその市およびその付近 …
紫外線(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
読者諸君は、塚原俊夫君の取り扱った「紅色ダイヤ」事件というのを記憶していてくださるだろうと思います。その事件を紹介する際、私は俊夫君に金持ちの叔父さんのあることを話しておきましたが …
読書目安時間:約23分
読者諸君は、塚原俊夫君の取り扱った「紅色ダイヤ」事件というのを記憶していてくださるだろうと思います。その事件を紹介する際、私は俊夫君に金持ちの叔父さんのあることを話しておきましたが …
自殺か他殺か(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
「兄さん、こう暑くては、まったく頭がぼんやりするねえ」 少年科学探偵塚原俊夫君は、ある日の午後、実験室で、顕微鏡を見ていた顔をあげて私に言いました。七月になってから急に暑さが増して …
読書目安時間:約15分
「兄さん、こう暑くては、まったく頭がぼんやりするねえ」 少年科学探偵塚原俊夫君は、ある日の午後、実験室で、顕微鏡を見ていた顔をあげて私に言いました。七月になってから急に暑さが増して …
死体蝋燭(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
宵から勢いを増した風は、海獣の飢えに吠ゆるような音をたてて、庫裡、本堂の棟をかすめ、大地を崩さんばかりの雨は、時々砂礫を投げつけるように戸を叩いた。縁板という縁板、柱という柱が、啜 …
読書目安時間:約10分
宵から勢いを増した風は、海獣の飢えに吠ゆるような音をたてて、庫裡、本堂の棟をかすめ、大地を崩さんばかりの雨は、時々砂礫を投げつけるように戸を叩いた。縁板という縁板、柱という柱が、啜 …
死の接吻(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
その年の暑さは格別であった。ある者は六十年来の暑さだといい、ある者は六百年来の暑さだと言った。でも、誰も六万年来の暑さだとは言わなかった。中央気象台の報告によると、ある日の最高温度 …
読書目安時間:約26分
その年の暑さは格別であった。ある者は六十年来の暑さだといい、ある者は六百年来の暑さだと言った。でも、誰も六万年来の暑さだとは言わなかった。中央気象台の報告によると、ある日の最高温度 …
手術(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
×月×日、私の宅で、「探偵趣味の会」の例会を開きました。随分暑い晩でしたが、でも、集ったのは男の人が五人、女の人が三人、私を加えて都合九人、薄暗い電燈の光の下で、鯰の血のような色を …
読書目安時間:約10分
×月×日、私の宅で、「探偵趣味の会」の例会を開きました。随分暑い晩でしたが、でも、集ったのは男の人が五人、女の人が三人、私を加えて都合九人、薄暗い電燈の光の下で、鯰の血のような色を …
ヂュパンとカリング(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
オーギュスト・ヂュパンはポオの三つの探偵小説、「モルグ街の殺人」、「マリー・ロージェー事件」、「盗まれた手紙」にあらわれる探偵であって、いわば、探偵小説にあらわれた探偵の元祖である …
読書目安時間:約7分
オーギュスト・ヂュパンはポオの三つの探偵小説、「モルグ街の殺人」、「マリー・ロージェー事件」、「盗まれた手紙」にあらわれる探偵であって、いわば、探偵小説にあらわれた探偵の元祖である …
『少年科学探偵』序(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
本書に収めた六編の探偵小説は、雑誌『子供の科学』に連載されたもので、尋常五六年生から中学二三年生までくらいの少年諸君の読み物として書いたのであります。 現代は科学の世の中でありまし …
読書目安時間:約2分
本書に収めた六編の探偵小説は、雑誌『子供の科学』に連載されたもので、尋常五六年生から中学二三年生までくらいの少年諸君の読み物として書いたのであります。 現代は科学の世の中でありまし …
新案探偵法(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
鯉坂嗣三君は生理学者であります。 彼は奇人とよばれることを頗る嫌って居りますけれど、友人たちは、ことごとく彼を奇人だといって居ります。すべて、医学を修めて、「医者」にならない人間に …
読書目安時間:約23分
鯉坂嗣三君は生理学者であります。 彼は奇人とよばれることを頗る嫌って居りますけれど、友人たちは、ことごとく彼を奇人だといって居ります。すべて、医学を修めて、「医者」にならない人間に …
人工心臓(新字新仮名)
読書目安時間:約43分
私が人工心臓の発明を思い立った抑ものはじまりは、医科大学一年級のとき、生理学総論の講義で、「人工アメーバ」、「人工心臓」の名を聞いた時でした。…… と、生理学者のA博士は私に向って …
読書目安時間:約43分
私が人工心臓の発明を思い立った抑ものはじまりは、医科大学一年級のとき、生理学総論の講義で、「人工アメーバ」、「人工心臓」の名を聞いた時でした。…… と、生理学者のA博士は私に向って …
深夜の電話(新字新仮名)
読書目安時間:約40分
第一回木の茂れば、風当たりの強くなるのは当然のことですが、風当たりが強くなればそれだけ、木にとっては心配が多くなるわけです。 少年科学探偵塚原俊夫君の名がいよいよ高くなるにつれて、 …
読書目安時間:約40分
第一回木の茂れば、風当たりの強くなるのは当然のことですが、風当たりが強くなればそれだけ、木にとっては心配が多くなるわけです。 少年科学探偵塚原俊夫君の名がいよいよ高くなるにつれて、 …
「心理試験」序(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
江戸川乱歩兄から、こんど創作第一集を出すについて序文を寄せよとの事。わが探偵小説界の鬼才江戸川兄の創作集に、私が序文を書くなどということは、僭越でもあり恥かしくもあるが、同時にまた …
読書目安時間:約10分
江戸川乱歩兄から、こんど創作第一集を出すについて序文を寄せよとの事。わが探偵小説界の鬼才江戸川兄の創作集に、私が序文を書くなどということは、僭越でもあり恥かしくもあるが、同時にまた …
頭蓋骨の秘密(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
実験室の前の庭にある桐の若葉が、ようやく出そろった五月なかばのある朝。塚原俊夫君が「Pのおじさん」と呼ぶ警視庁の小田刑事は、珍しくも私服を着て、私たちの事務室兼実験室を訪ねられまし …
読書目安時間:約22分
実験室の前の庭にある桐の若葉が、ようやく出そろった五月なかばのある朝。塚原俊夫君が「Pのおじさん」と呼ぶ警視庁の小田刑事は、珍しくも私服を着て、私たちの事務室兼実験室を訪ねられまし …
体格検査(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
「また入学試験で、若い人達は骨身を削っているようですねえ」 客の藤岡さんは、しんみりした口調で言いました。 「実にかわいそうなことです。心身過労の結果、高等学校などでは、折角入学し …
読書目安時間:約7分
「また入学試験で、若い人達は骨身を削っているようですねえ」 客の藤岡さんは、しんみりした口調で言いました。 「実にかわいそうなことです。心身過労の結果、高等学校などでは、折角入学し …
玉振時計の秘密(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
これまで塚原俊夫君の取り扱った事件の中には、ずいぶん複雑なものもありましたし、また、きわめて簡単なものもありました。しかし、簡単といっても、俊夫君にとってその解決が容易であったとい …
読書目安時間:約16分
これまで塚原俊夫君の取り扱った事件の中には、ずいぶん複雑なものもありましたし、また、きわめて簡単なものもありました。しかし、簡単といっても、俊夫君にとってその解決が容易であったとい …
段梯子の恐怖(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
「探偵趣味」第四号の配達された日、私を訪ねた友人Fは、室にはいるなり、 「もう来たかね?」といって、机の上にあった雑誌を、いきなり取り上げて、ページを繰り始めた。彼はことし三十七歳 …
読書目安時間:約3分
「探偵趣味」第四号の配達された日、私を訪ねた友人Fは、室にはいるなり、 「もう来たかね?」といって、机の上にあった雑誌を、いきなり取り上げて、ページを繰り始めた。彼はことし三十七歳 …
痴人の復讐(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
異常な怪奇と戦慄とを求めるために組織された「殺人倶楽部」の例会で、今夕は主として、「殺人方法」が話題となった。 会員は男子十三人。名は「殺人倶楽部」でも、殺人を実行するのではなくて …
読書目安時間:約13分
異常な怪奇と戦慄とを求めるために組織された「殺人倶楽部」の例会で、今夕は主として、「殺人方法」が話題となった。 会員は男子十三人。名は「殺人倶楽部」でも、殺人を実行するのではなくて …
血の盃(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
因果応報は仏教の根本をなす思想であって、私たち日本人も、伝統的にこの因果応報の観念に支配され、悪いことをすれば、必ずそれに対するむくいが来はしないかと、内心ひそかに恐れ慄くのが常で …
読書目安時間:約14分
因果応報は仏教の根本をなす思想であって、私たち日本人も、伝統的にこの因果応報の観念に支配され、悪いことをすれば、必ずそれに対するむくいが来はしないかと、内心ひそかに恐れ慄くのが常で …
闘争(新字新仮名)
読書目安時間:約39分
K君。 親切な御見舞の手紙うれしく拝見した。僕は全く途方に暮れてしまった。御葬式やら何やら彼やらで、随分忙しかったが、やっと二三日手がすいて、がっかりした気持になって居るところへ君 …
読書目安時間:約39分
K君。 親切な御見舞の手紙うれしく拝見した。僕は全く途方に暮れてしまった。御葬式やら何やら彼やらで、随分忙しかったが、やっと二三日手がすいて、がっかりした気持になって居るところへ君 …
毒と迷信(新字旧仮名)
読書目安時間:約22分
ダーウインの進化論を、明快なる筆により、通俗的に説明せしことを以て名高い英国の医学者ハツクスレーが、「医術は凡ての科学の乳母だ」といつたのは蓋し至言といはねばなるまい。何となれば、 …
読書目安時間:約22分
ダーウインの進化論を、明快なる筆により、通俗的に説明せしことを以て名高い英国の医学者ハツクスレーが、「医術は凡ての科学の乳母だ」といつたのは蓋し至言といはねばなるまい。何となれば、 …
名古屋スケッチ(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
はしがき 『名古屋、おきやあせ、すかたらん』 誰が言ひだしたか、金の鯱鉾に、先祖代々うらみを持つた人でもあるまいに、まんざら捨てたものでもない名古屋の方言から、『おきやあせ、すかた …
読書目安時間:約12分
はしがき 『名古屋、おきやあせ、すかたらん』 誰が言ひだしたか、金の鯱鉾に、先祖代々うらみを持つた人でもあるまいに、まんざら捨てたものでもない名古屋の方言から、『おきやあせ、すかた …
謎の咬傷(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
これも霧原警部の「特等訊問」の話である。 銀座四丁目に、貴金属宝石商を営んでいる大原伝蔵が、昨夜麹町区平河町の自宅の居間で、何ものかに殺されたという報知が、警視庁へ届いたのは、余寒 …
読書目安時間:約29分
これも霧原警部の「特等訊問」の話である。 銀座四丁目に、貴金属宝石商を営んでいる大原伝蔵が、昨夜麹町区平河町の自宅の居間で、何ものかに殺されたという報知が、警視庁へ届いたのは、余寒 …
肉腫(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
「残念ながら、今となっては手遅れだ。もう、どうにも手のつけようが無い」 私は、肌脱ぎにさせた男の右の肩に出来た、小児の頭ほどの悪性腫瘍をながめて言った。 「それはもう覚悟の上です」 …
読書目安時間:約7分
「残念ながら、今となっては手遅れだ。もう、どうにも手のつけようが無い」 私は、肌脱ぎにさせた男の右の肩に出来た、小児の頭ほどの悪性腫瘍をながめて言った。 「それはもう覚悟の上です」 …
二重人格者(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
河村八九郎は今年二十歳の二重人格者である。 第一の人格で彼は大星由良之助となり、第二の人格で高師直となった。 彼がどうしてこのような二重人格者となったかは、はっきりわかっていない。 …
読書目安時間:約9分
河村八九郎は今年二十歳の二重人格者である。 第一の人格で彼は大星由良之助となり、第二の人格で高師直となった。 彼がどうしてこのような二重人格者となったかは、はっきりわかっていない。 …
「二銭銅貨」を読む(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
「二銭銅貨」の原稿を一読して一唱三嘆——いや、誰も傍にはいなかったから一唱一嘆だったが——早速、「近頃にない面白い探偵小説でした」と森下さんに書き送ったら「それに就ての感想」を書か …
読書目安時間:約5分
「二銭銅貨」の原稿を一読して一唱三嘆——いや、誰も傍にはいなかったから一唱一嘆だったが——早速、「近頃にない面白い探偵小説でした」と森下さんに書き送ったら「それに就ての感想」を書か …
猫と村正(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
「母危篤すぐ帰れ」という電報を受取った私は、身仕度もそこそこに、郷里名古屋に帰るべく、東京駅にかけつけて、午後八時四十分発姫路行第二十九号列車に乗りこんだ。この列車は昨今「魔の列車 …
読書目安時間:約21分
「母危篤すぐ帰れ」という電報を受取った私は、身仕度もそこそこに、郷里名古屋に帰るべく、東京駅にかけつけて、午後八時四十分発姫路行第二十九号列車に乗りこんだ。この列車は昨今「魔の列車 …
呪われの家(新字新仮名)
読書目安時間:約38分
近ごろ名探偵としてその名を売り出した警視庁警部霧原庄三郎氏は、よく同僚に向ってこんなことを言う。 「……いくら固く口を噤んでいる犯罪者でも、その犯罪者の、本当の急所を抉るような言葉 …
読書目安時間:約38分
近ごろ名探偵としてその名を売り出した警視庁警部霧原庄三郎氏は、よく同僚に向ってこんなことを言う。 「……いくら固く口を噤んでいる犯罪者でも、その犯罪者の、本当の急所を抉るような言葉 …
白痴の知恵(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
塚原俊夫君が、魚釣りを好むことは、これまでまだ一度も皆さんに紹介しませんでしたが、俊夫君は、かつて動物学を修めたとき、ことに魚類の解剖と生理とに興味を持ちまして、それと同時に魚釣り …
読書目安時間:約24分
塚原俊夫君が、魚釣りを好むことは、これまでまだ一度も皆さんに紹介しませんでしたが、俊夫君は、かつて動物学を修めたとき、ことに魚類の解剖と生理とに興味を持ちまして、それと同時に魚釣り …
初往診(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
先刻から彼は仕事が手につかなかった。一時間ばかり前に、往診から戻って来た彼は、人力車を降りるなり、逃げ込むように、玄関の隣りにある診察室へ入ると、その儘室内をあちこち歩いて深い物思 …
読書目安時間:約4分
先刻から彼は仕事が手につかなかった。一時間ばかり前に、往診から戻って来た彼は、人力車を降りるなり、逃げ込むように、玄関の隣りにある診察室へ入ると、その儘室内をあちこち歩いて深い物思 …
鼻に基く殺人(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
「もうじき、弘ちゃんが帰ってくるから、そうしたら、病院へつれて行って貰いなさい」 由紀子は庭のベンチに腰かけて、愛犬ビリーの眼や鼻をガーゼで拭ってやりながら、人の子に物言うように話 …
読書目安時間:約12分
「もうじき、弘ちゃんが帰ってくるから、そうしたら、病院へつれて行って貰いなさい」 由紀子は庭のベンチに腰かけて、愛犬ビリーの眼や鼻をガーゼで拭ってやりながら、人の子に物言うように話 …
卑怯な毒殺(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
病室の一隅には、白いベッドの掛蒲団の中から、柳の根のように乱れた毛の、蒼い男の顔が、のぞいていた。その顔の下半分には、口だけが孔となって、厚い繃帯がかけられてあった。 ベッドの脇に …
読書目安時間:約11分
病室の一隅には、白いベッドの掛蒲団の中から、柳の根のように乱れた毛の、蒼い男の顔が、のぞいていた。その顔の下半分には、口だけが孔となって、厚い繃帯がかけられてあった。 ベッドの脇に …
髭の謎(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
それは寒い寒い一月十七日の朝のことです。四五日前に、近年にない大雪が降ってから、毎日曇り空が続き、今日もまた、ちらちら白いものが降っております。 塚原俊夫君と私とは、朝飯をすまして …
読書目安時間:約24分
それは寒い寒い一月十七日の朝のことです。四五日前に、近年にない大雪が降ってから、毎日曇り空が続き、今日もまた、ちらちら白いものが降っております。 塚原俊夫君と私とは、朝飯をすまして …
被尾行者(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
市内電車の隅の方に、熱心に夕刊を読んでいる鳥打帽の男の横顔に目をそそいだ瞬間、梅本清三の心臓は妙な搏ち方をした。 「たしかに俺をつけているんだ」清三は蒼ざめながら考えた。「あれはき …
読書目安時間:約13分
市内電車の隅の方に、熱心に夕刊を読んでいる鳥打帽の男の横顔に目をそそいだ瞬間、梅本清三の心臓は妙な搏ち方をした。 「たしかに俺をつけているんだ」清三は蒼ざめながら考えた。「あれはき …
秘密の相似(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
おなつかしきT様。 私は、何といって私の今の心もちをあなたに御伝えしてよいやら、本当に迷ってしまいました。あなたは今頃定めし私を怨んでおいでになることと思います。本当に私こうして筆 …
読書目安時間:約14分
おなつかしきT様。 私は、何といって私の今の心もちをあなたに御伝えしてよいやら、本当に迷ってしまいました。あなたは今頃定めし私を怨んでおいでになることと思います。本当に私こうして筆 …
紅色ダイヤ(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
これから皆さんに少年科学探偵塚原俊夫君を紹介します。俊夫君は今年十二ですけれど、大人も及ばぬ賢い子です。六歳の時、三角形の内角の和が二直角になるということを自分で発見して、お父さん …
読書目安時間:約23分
これから皆さんに少年科学探偵塚原俊夫君を紹介します。俊夫君は今年十二ですけれど、大人も及ばぬ賢い子です。六歳の時、三角形の内角の和が二直角になるということを自分で発見して、お父さん …
変な恋(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
変な人間が恋をすると、変な結末に終り易い。しかしたとい変な人間の恋といえども、恋そのものは決して変ではなく、変でない人の恋と同じであるけれども、結末が変であれば、まあ「変な恋」とい …
読書目安時間:約7分
変な人間が恋をすると、変な結末に終り易い。しかしたとい変な人間の恋といえども、恋そのものは決して変ではなく、変でない人の恋と同じであるけれども、結末が変であれば、まあ「変な恋」とい …
ポオとルヴェル(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
私の一番好きな探偵小説は、短篇ではやはりポオとルヴェルである。ポオの作品のうち、探偵ヂュパンの出て来る三つの物語は勿論であるが、その外に、 The Black Cat. The C …
読書目安時間:約5分
私の一番好きな探偵小説は、短篇ではやはりポオとルヴェルである。ポオの作品のうち、探偵ヂュパンの出て来る三つの物語は勿論であるが、その外に、 The Black Cat. The C …
塵埃は語る(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
今年の夏は近年にない暑さが続きましたが、九月半ばになると、さすがに秋風が立ちはじめて、朝夕はうすら寒いくらいの気候となりました。わが少年科学探偵塚原俊夫君は、八月に胃腸を壊してから …
読書目安時間:約23分
今年の夏は近年にない暑さが続きましたが、九月半ばになると、さすがに秋風が立ちはじめて、朝夕はうすら寒いくらいの気候となりました。わが少年科学探偵塚原俊夫君は、八月に胃腸を壊してから …
墓地の殺人(新字新仮名)
読書目安時間:約49分
皆さん、これから申しあげる探偵談は、少年科学探偵塚原俊夫君が、自分でもいちばん骨を折った事件の一つだと申しているほど、面倒な殺人事件であります。 そもそも犯罪探偵の際、いちばん難し …
読書目安時間:約49分
皆さん、これから申しあげる探偵談は、少年科学探偵塚原俊夫君が、自分でもいちばん骨を折った事件の一つだと申しているほど、面倒な殺人事件であります。 そもそも犯罪探偵の際、いちばん難し …
「マリー・ロオジェ事件」の研究(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
一、序言 ポオの探偵小説「マリー・ロオジェ事件」は、言う迄もなく、一八四一年七月、紐育を騒がせたメリー・ロオジャース殺害事件を、パリーに起った出来事として物語に綴り、オーギュスト・ …
読書目安時間:約32分
一、序言 ポオの探偵小説「マリー・ロオジェ事件」は、言う迄もなく、一八四一年七月、紐育を騒がせたメリー・ロオジャース殺害事件を、パリーに起った出来事として物語に綴り、オーギュスト・ …
三つの痣(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
法医学者B氏は語る。 私のこの左の頬にある痣の由来を話せというのですか。御話し致しましょう。いかにもあなたの推定されたとおり、生れつきに出来た痣ではなくて、後天的に、いわば人工的に …
読書目安時間:約27分
法医学者B氏は語る。 私のこの左の頬にある痣の由来を話せというのですか。御話し致しましょう。いかにもあなたの推定されたとおり、生れつきに出来た痣ではなくて、後天的に、いわば人工的に …
メデューサの首(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
T医科大学の四年級の夏休みに、わたしは卒業試験のため友人の町田と二人で伊豆山のS旅館に出かけました。六月末のことで避暑客もまだそんなに沢山はいませんでしたから、勉強するには至極適当 …
読書目安時間:約24分
T医科大学の四年級の夏休みに、わたしは卒業試験のため友人の町田と二人で伊豆山のS旅館に出かけました。六月末のことで避暑客もまだそんなに沢山はいませんでしたから、勉強するには至極適当 …
歴史的探偵小説の興味(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
森下雨村氏から歴史的探偵小説に就て何か書かないかといわれて、はい、よろしいと易受合いをしたものの、さて書こうと思うと何にも書けない。これが犯罪学に関したことなら、参考書と首っ引きで …
読書目安時間:約5分
森下雨村氏から歴史的探偵小説に就て何か書かないかといわれて、はい、よろしいと易受合いをしたものの、さて書こうと思うと何にも書けない。これが犯罪学に関したことなら、参考書と首っ引きで …
恋愛曲線(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
親愛なるA君! 君の一代の盛典を祝するために、僕は今、僕の心からなる記念品として、「恋愛曲線」なるものを送ろうとして居る。かような贈り物は、結婚の際は勿論のこと、その他は如何なる場 …
読書目安時間:約28分
親愛なるA君! 君の一代の盛典を祝するために、僕は今、僕の心からなる記念品として、「恋愛曲線」なるものを送ろうとして居る。かような贈り物は、結婚の際は勿論のこと、その他は如何なる場 …
錬金詐欺(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
詐欺は昔から錬金術の附き物になって居る。既に錬金術そのものが、金がほしいという動機が主となって企てられたものであるから、詐欺と縁の深いのは当然のことである。尤も、錬金術の抑もの起り …
読書目安時間:約9分
詐欺は昔から錬金術の附き物になって居る。既に錬金術そのものが、金がほしいという動機が主となって企てられたものであるから、詐欺と縁の深いのは当然のことである。尤も、錬金術の抑もの起り …
“小酒井不木”について
小酒井 不木(こさかい ふぼく、1890年10月8日 - 1929年4月1日)は、日本の医学者・随筆家・翻訳家・推理作家・犯罪研究家。別名は鳥井零水。医師で順天堂大学名誉教授の小酒井望は長男。
医学者として生理学・血清学の研究で国際的な業績を上げており、また医学的知識を生かした探偵小説・評論・随筆を執筆して探偵小説の大衆化に貢献したとされる。まずは雑誌『新青年』などに犯罪文学研究や殺人論などを発表し、続いて『人工心臓』や『恋愛曲線』や『疑問の黒枠』や『闘争』などの探偵小説を創作した。
(出典:Wikipedia)
医学者として生理学・血清学の研究で国際的な業績を上げており、また医学的知識を生かした探偵小説・評論・随筆を執筆して探偵小説の大衆化に貢献したとされる。まずは雑誌『新青年』などに犯罪文学研究や殺人論などを発表し、続いて『人工心臓』や『恋愛曲線』や『疑問の黒枠』や『闘争』などの探偵小説を創作した。
(出典:Wikipedia)
“小酒井不木”と年代が近い著者
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
今年で没後X百年
ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
アナトール・フランス(没後100年)
原勝郎(没後100年)
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(没後100年)
郡虎彦(没後100年)
フランツ・カフカ(没後100年)