“頷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うなず83.1%
うなづ10.8%
うな3.4%
あご0.9%
うなずか0.3%
おとがい0.3%
うなずき0.2%
うなぢ0.2%
うなづき0.2%
えり0.2%
おとが0.2%
がん0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いぶかしそうな眼を向けたが、孝之助はうなずいた。北畠の叔母に関する限り、できるだけ話を簡単にするのが、長いあいだの習慣であった。
竹柏記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
二人は稍得意な笑顔をしてうなづき合つた。何故なれば、二人共尋常科だけはへたのだから、山の字も田の字も知つてゐたからなので。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
小女こむすめうなずくようにしながら歩いた。山西もいて歩いた。歩きながら、彼は……今晩こそ逃さないぞ、と、女に眼をはなさなかった。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
柿色の篠掛しのかけを着けた、面長おもながな眼の鋭い中年の修験者は、黒い長い頭髪を切ってあごのあたりで揃えておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
紋の着いた薄羽織をひっかけていたが、さて、「改めて御祝儀を申述べます。目の下二尺三貫目はかかりましょう。」とて、……及び腰にのぞいて魂消たまげている若衆わかいしゅに目配せでうなずかせて
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すぐ傍に坐っている顔の蒼いほど色の白い、華奢きゃしゃ円味まるみを持った、おとがいのあたりがおとなしくて、可愛かわいらしい。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
由紀を抱きかくしながらうずくまって見た時、銀杏返の方が莞爾にっこりすると、円髷のが、うなずきを含んで眉を伏せた、ト顔も消えて、きものばかり、昼間見た風のうすものになって、スーッと、肩をかさねて、階子段はしごだんへ沈み
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
といひかけてつツち、つか/\と足早あしばや土間どまりた、あまのこなしが活溌くわツぱつであつたので、拍手ひやうし黒髪くろかみさきいたまゝうなぢくづれた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
栗山問ふて曰く、綱目を読みしや否や、答へて曰く未だこと/″\く読む能はずと雖も只其大意を領せりと。嗚呼唯大意を領せりの一句即ち襄が終身の読書法也。栗山うなづきて曰く可也。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
最早もはえりのあたりがむづ/\してた、平手ひらてこいると横撫よこなでひるせなをぬる/\とすべるといふ、やあ、ちゝしたひそんでおびあひだにも一ぴきあをくなつてそツとるとかたうへにも一すぢ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あくび念仏ねぶつかみまぜおとがなでまはししがひげをぬきて居たり。
余らもまた古池を以て芭蕉の佳句と思はず、否、古池以外に多くの佳句あるを信ずるなり。客、がんして去る。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その日は、病棟の人々へも少しずつけるため、婦人部隊がまた萩の餅をこしらえたが、玖満子夫人は、その幾つかの残りを持って、ただひとり何処へやら出て行った。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)