“おとがい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
87.2%
5.5%
2.8%
1.8%
下顎0.9%
0.9%
0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
神像のような口とおとがい、——その色合が純然たる暗褐色から濃いきらきらした黒玉色へ変る、異様な、烈しい、つぶらな、うるおいのあるまなこ
それが亭主の厨子野耕介ずしのこうすけという男らしいのである。肉の薄い、そして粘土ねんどのような青い顔には研師のようなするどさも見えない。月代さかやきからおとがいまでは、怖ろしく長い顔に見えた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千早振ちはやふ神無月かみなづきももはや跡二日ふつか余波なごりとなッた二十八日の午後三時頃に、神田見附かんだみつけの内より、塗渡とわたあり、散る蜘蛛くもの子とうようよぞよぞよ沸出わきいでて来るのは、いずれもおとがいを気にしたまう方々。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
小供の一人、「紀州きしゅう紀州」と呼びしが振向きもせで行過ぎんとす。うち見には十五六と思わる、よもぎなす頭髪はくびおおい、顔の長きが上に頬肉こけたればおとがいの骨とがれり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
顔をあげて拝むような目付をしたその男の有様は、と見ると、体躯からだの割に頭の大きな、下顎おとがいの円く長い、何となく人の好さそうな人物。
朝飯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼は彼女のふっくらとしたおとがいと房々とした髪とを見た。
囚われ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それからヒョイとおとがいをしゃくった。「よし来た、それじゃァ解いてみせよう!」
染吉の朱盆 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)