“あご”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アゴ
語句割合
46.7%
29.4%
10.6%
9.7%
1.4%
0.6%
0.4%
網子0.2%
英虞0.2%
足越0.2%
(他:5)0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
再びもとへやに戻って、椅子の上に落ち着くと、法水は憮然ぶぜんあごでながら驚くべき言葉を吐いた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼の親友青沼白心は、突然投げつけるように言って、折り立てた膝の間へ自分のあごを挟んで、庭の隅の方をみつめていた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
「いや、そんなに行儀好くするにゃあ及ばねえ」と、半七はあごで招いた。「まあ、ここへ掛けて、仲好く話そうじゃあねえか」
一座には、はかまをはいてあごの先にひげを生やしている男が、しきりに心霊しんれいの物理学について論じていた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると弟は眞蒼な顏の、兩方の頬からあごへ掛けて血に染つたのを擧げて、わたくしを見ましたが、物を言ふことが出來ませぬ。
高瀬舟 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
『我輩は君、これでも真面目なんだよ。』と敬之進は、額と言はず、頬と言はず、あごと言はず、両手で自分の顔を撫で廻した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼女はあごで差し招くと、供の侍は麻のしでをかけたさかきの枝を白木の三宝に乗せて、うやうやしく捧げ出して来た。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お孝が、ふと無意識のうちに、一種の暗示を与えられたように、てのひららしながら片手の指をあごに隠した。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「夢窓国師はそんな悪戯いたずらはしなかった」と甲野さんは、あごの先に、両手でつえかしらを丁寧に抑えている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すこし落着きかけた婆さんの歯抜けあごが又もガタガタ言い出した。それに連れて和尚の顔色がバッタリと暗くなった。
第三にセイロン特産のシンガリース藪鶏、また家鶏に似るが、胸赤く、冠黄で、縁赤く、頬とあご垂嚢すいのうが紫赤し。
柿色の篠掛しのかけを着けた、面長おもながな眼の鋭い中年の修験者は、黒い長い頭髪を切ってあごのあたりで揃えておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして其髯が鰻のそれの如く兩端遙かにあごの方面に垂下して居る、恐らく向上といふ事を忘却した精神の象徴はこれであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼女らは黒い着物をつけて、胸当てをしているが、その胸は聖ベネディクトの特別な命によって、あごの所まで上せてある。
大宮おほみやうちまできこ網引あびきすと網子あごととのふる海人あまごゑ 〔巻三・二三八〕 長意吉麻呂
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
大宮の内まで聞ゆ網引あびきすと網子あごととのふる海人あまの呼び聲 長奧麻呂
愛国百人一首評釈 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
英虞あごうら船乗ふなのりすらむをとめ珠裳たまもすそしほつらむか 〔巻一・四〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かぜ長閑のどか英虞あごやま
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
出口の腰障子こししょうじにつかまって、敷居しきい足越あごそうとした奈々子も、ふり返りさまに両親を見てにっこり笑った。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
出口の腰障子につかまつて、敷居を足越あごさうとした奈々子も、振返りさまに兩親を見てにつこり笑つた。
奈々子 (旧字旧仮名) / 伊藤左千夫(著)
大岩魚はそのあたりの谷川にたまたまいることがあると云われているもので、頭から尻尾しっぽまでが五尺ばかりもあった。人びとはそのあご藤葛ふじかずらをとおして二人がかりでになって来た。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
前へ立った漁夫りょうしの肩が、石段を一歩出て、うしろのが脚を上げ、真中まんなかの大魚のあごが、端をじっているその変な小男の、段の高さとおなじ処へ、生々なまなまと出て、横面よこづらひれの血で縫おうとした。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いはへる』は此處では、萬葉集卷十九の、『大船に眞楫まかぢしじ貫きこの吾子あごを韓國へ遣るいはかみたち』の例と同じく、『齋ひまもりて平安たひらかにあらしめ給へ神だちよ』(古義)といふ意味である。
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
あごが円くて頬がふくよかでやはり女のそれのようであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ベーツの『亜馬孫河畔の博物学者ゼ・ナチュラリスト・オン・ゼ・リヴァー・アマゾンス』アナコンダ蛇が四十二フィートまで長じた事ありと載せ、テッフェ河汀で小児が遊び居る所へアナコンダが潜み来て巻き付いて動き得ざらしめその父児のくを聞きて走り寄り、奮って蛇の頭を執らえ両あごき裂いたと言う。