“あご”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アゴ
語句割合
48.8%
28.3%
10.5%
9.0%
1.3%
0.6%
0.5%
英虞0.3%
網子0.2%
足越0.2%
(他:5)0.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから、キャバレーを出てちょっと口を湿しているうちに、ふいにカムポスがなにを見たのか、ボーイを呼びとめてあれとあごをしゃくって見せた。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
写真のお増は、たっぷりした髪を銀杏返いちょうがえしに結って、そのころ流行はやった白いきれあごまで巻きつけて、コートを着ていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その時女が箸を机の上におくと今虱が這いでてきたところが、かゆいらしく、あごを胸にひいて、後首うしろくびをのばし、小指でちょっとかいた。
雪の夜 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
片頬かたほふとく、目も鼻も口もあごも、いびつなりゆがんだが、肩も横に、胸も横に、腰骨のあたりも横に、だるそうに手を組んだ
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かんがへてる?』と公爵夫人こうしやくふじんは、そのとがつたちひさなあごでモ一いてひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
猫のように可愛がって、日頃夫人の部屋に飼い馴らされている牡獅子おじしもまた、夫人の腰の辺にあごを乗せて、とろりと睡眼を半ば閉じていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と言って道庵、あごを撫でながら、太夫さんのすすめてくれた舞台用の緞子どんすの厚い座蒲団ざぶとんの上に、チョコナンとかしこまりました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
義男はさも命令の力を顏の筋肉にでも集めてるやうに、「出せ」と云ふ意味を示すやうなあごの突き出しかたをすると、その儘其所に突つ立つてゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
歯医者は、もう仰天してしまって、周章あわてて左の手で奥様のあごを押えながら、右の手で虫歯を抜くという手付てつきをなさいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私は書物を読むのも散歩に出るのもいやだったので、ただ漠然と火鉢のふちひじを載せてじっあごを支えたなり考えていました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
渡辺刑事は、口を結んで黙っている下あごの張った同僚の横顔をチラリと見て軽く舌打をしたが、然し対手あいての気を引き立てるように言った。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「井かね、井は直ぐそのうらにあるだよ、それ其処をそう往ってもえゝ、彼方あっちへ廻ってもいかれるだ」辰爺さんがあごでしゃくる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
梵鐘ぼんしょうの如き声で末座の一人にあごを向けると、はッと答えていさぎよくそれへ出た一人の修験の門輩、柿色の袖をまくして一礼をなし、
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「夢窓国師はそんな悪戯いたずらはしなかった」と甲野さんは、あごの先に、両手でつえかしらを丁寧に抑えている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すこし落着きかけた婆さんの歯抜けあごが又もガタガタ言い出した。それに連れて和尚の顔色がバッタリと暗くなった。
柿色の篠掛しのかけを着けた、面長おもながな眼の鋭い中年の修験者は、黒い長い頭髪を切ってあごのあたりで揃えておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
第三にセイロン特産のシンガリース藪鶏、また家鶏に似るが、胸赤く、冠黄で、縁赤く、頬とあご垂嚢すいのうが紫赤し。
こう云いながら叔父は、そこに黙って坐っている叔母の方を、あごでしゃくって見せた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして其髯が鰻のそれの如く兩端遙かにあごの方面に垂下して居る、恐らく向上といふ事を忘却した精神の象徴はこれであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼女らは黒い着物をつけて、胸当てをしているが、その胸は聖ベネディクトの特別な命によって、あごの所まで上せてある。
をはるやあいちやんの片足かたあしすべつて、みづなかへぱちやん!あいちやんは鹹水しほみづなかあごまでつかりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
英虞あご灣はもとよりのこと、志摩の南端の卍巴の如く彎入してゐる水は、其等の灣をさし挾んで突出してゐる澤山の堤のやうな陸地の間に美しく光つて見えた。
横山 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
英虞あごうら船乗ふなのりすらむをとめ珠裳たまもすそしほつらむか 〔巻一・四〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かぜ長閑のどか英虞あごやま
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
大宮おほみやうちまできこ網引あびきすと網子あごととのふる海人あまごゑ 〔巻三・二三八〕 長意吉麻呂
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
大宮の内まで聞ゆ網引あびきすと網子あごととのふる海人あまの呼び聲 長奧麻呂
愛国百人一首評釈 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
出口の腰障子こししょうじにつかまって、敷居しきい足越あごそうとした奈々子も、ふり返りさまに両親を見てにっこり笑った。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
出口の腰障子につかまつて、敷居を足越あごさうとした奈々子も、振返りさまに兩親を見てにつこり笑つた。
奈々子 (旧字旧仮名) / 伊藤左千夫(著)
大岩魚はそのあたりの谷川にたまたまいることがあると云われているもので、頭から尻尾しっぽまでが五尺ばかりもあった。人びとはそのあご藤葛ふじかずらをとおして二人がかりでになって来た。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
前へ立った漁夫りょうしの肩が、石段を一歩出て、うしろのが脚を上げ、真中まんなかの大魚のあごが、端をじっているその変な小男の、段の高さとおなじ処へ、生々なまなまと出て、横面よこづらひれの血で縫おうとした。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いはへる』は此處では、萬葉集卷十九の、『大船に眞楫まかぢしじ貫きこの吾子あごを韓國へ遣るいはかみたち』の例と同じく、『齋ひまもりて平安たひらかにあらしめ給へ神だちよ』(古義)といふ意味である。
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
あごが円くて頬がふくよかでやはり女のそれのようであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ベーツの『亜馬孫河畔の博物学者ゼ・ナチュラリスト・オン・ゼ・リヴァー・アマゾンス』アナコンダ蛇が四十二フィートまで長じた事ありと載せ、テッフェ河汀で小児が遊び居る所へアナコンダが潜み来て巻き付いて動き得ざらしめその父児のくを聞きて走り寄り、奮って蛇の頭を執らえ両あごき裂いたと言う。