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腭
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あご
ふりがな文庫
“
腭
(
あご
)” の例文
と
梵鐘
(
ぼんしょう
)
の如き声で末座の一人に
腭
(
あご
)
を向けると、はッと答えて
潔
(
いさぎよ
)
くそれへ出た一人の修験の門輩、柿色の袖を
捲
(
まく
)
して一礼をなし
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すこし落着きかけた婆さんの歯抜け
腭
(
あご
)
が又もガタガタ言い出した。それに連れて和尚の顔色がバッタリと暗くなった。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
頬
(
ほお
)
の末としっくり落ち合う
腭
(
あご
)
が——腭を
棄
(
す
)
ててなよやかに
退
(
ひ
)
いて行く
咽喉
(
のど
)
が——しだいと現実世界に
競
(
せ
)
り出して来る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ぼんやり池一つへだてて通りを眺めているものもいたし、なかには
腭
(
あご
)
つきを膝の上でやりながらぼんやり失神したように或一点をながめくらしているものも居た。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
白は
独語
(
ひとりごと
)
を云い終ると、
芝生
(
しばふ
)
に
腭
(
あご
)
をさしのべたなり、いつかぐっすり寝入ってしまいました。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
二人の子供は奴頭の
詞
(
ことば
)
が耳に入らぬらしく、ただ目をみはって大夫を見ている。今年六十歳になる大夫の、朱を塗ったような顔は、額が広く
腭
(
あご
)
が張って、髪も
鬚
(
ひげ
)
も銀色に光っている。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私は
古面
(
こめん
)
展覧会で鎌倉期の、だれだかの作で、笑った女の面が、眼も鼻もなく、顔の真中につぼまって、お
出額
(
でこ
)
と、頬っぺたと、大きな
腭
(
あご
)
に埋まってしまって、鼻の穴だけが竪に上をむいた
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一尾を釣り得て彼は少なからず
安堵
(
あんど
)
したらしく、竿をば石の間に突き立てゝおいて、岩の上に
蹲踞
(
しやが
)
んだ。兩手で
腭
(
あご
)
を支へて茫然と光る瀬の水を凝視して居る。自分との間は十間と距つてゐない。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
媽々
(
かゝあ
)
や
小兒
(
こども
)
が
腭
(
あご
)
を
釣
(
つ
)
らねばなりませぬで、
此
(
こ
)
の
上
(
うへ
)
お
供
(
とも
)
は
出來
(
でき
)
かねまする。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
腭
(
あご
)
の左の方にちょっと眼に立つほどの火傷のあとがあるそうだが……
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
わが舌を
腭
(
あご
)
につかしめたまえ、(詩篇第百三十七篇)
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
腭
(
あご
)
を
開
(
あ
)
けている処で雲から
降
(
お
)
りるなんて。10070
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
更に其穗は
腭
(
あご
)
の端貫き外に拔け出でぬ。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
余り
残刻
(
ざんこく
)
なのに驚いて、また最初から出直そうとして、少し痛くなり掛けた
腭
(
あご
)
を持ち上げると、
障子
(
しょうじ
)
が、すうと
開
(
あ
)
いて、御手紙ですと下女が封書を置いて行く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主の
棲
(
す
)
む
淵
(
ふち
)
といえば誰も入ったものはあるまい。昔から人の入らない処なら、中にまたどんな珍らしい不思議なものがあろうも知れない。
譬
(
たとえ
)
にも
竜
(
りゅう
)
の
腭
(
あご
)
には神様のような綺麗な珠があるというよ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
永遠に渇している目は動く
腭
(
あご
)
に注がれている。
牛鍋
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ついでに地獄の
腭
(
あご
)
も持って来い。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
と新九郎を
腭
(
あご
)
で指した。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「夢窓国師はそんな
悪戯
(
いたずら
)
はしなかった」と甲野さんは、
腭
(
あご
)
の先に、両手で
杖
(
つえ
)
の
頭
(
かしら
)
を丁寧に抑えている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
首の三つある
狗
(
いぬ
)
の
腭
(
あご
)
より
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
腭
部首:⾁
13画
“腭”を含む語句
下腭
左腭下
腭頭
腭鬚