あご)” の例文
そして其髯が鰻のそれの如く兩端遙かにあごの方面に垂下して居る、恐らく向上といふ事を忘却した精神の象徴はこれであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼女らは黒い着物をつけて、胸当てをしているが、その胸は聖ベネディクトの特別な命によって、あごの所まで上せてある。
して居ては家業に出る事もならず此方のあごて仕舞ぞや此罪このつみは皆お前の亭主へ懸て行よく/\のごふつくばりなりと己等が迷惑めいわくまぎれに種々はづかしめければ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
をはるやあいちやんの片足かたあしすべつて、みづなかへぱちやん!あいちやんは鹹水しほみづなかあごまでつかりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
二日目となれば出這入の勝手だけ分って、淀文の門口まで車で乗込み、小歌さんですかと婢が問うに、前日あごで仕た返詞が、すぐにと今日は口から出、三日目は向うから問ぬ先に
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
格子こうしの向こうに、更に板戸の向こうに、格子の目からようやくに一つの顔が見えてくる。それもただくちびるあごとだけで、残りは黒い面紗かおぎぬにおおわれている。
『あア、さう!それはおなじやうなことだ』とつて公爵夫人こうしやくふじんあいちやんのかたに、とがつたちひさなあご滅込めりこむほどちかられてしました、『それかられの徳義とくぎは—— ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その突然のそして時としてはいかめしくきわ立って見えるまじめさは、女神の軽蔑さげすみにも似ていた。額と鼻とあごとは、割合の平衡とはまったく異なる線の平衡を示していた。
愛嬌あいきやうこぼるゝ可愛かあいあごで!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)