“滑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すべ41.0%
なめら22.9%
なめ21.7%
なめらか8.9%
す2.1%
こっ0.4%
のめ0.4%
ナメ0.4%
おど0.2%
すべっ0.2%
すべら0.2%
ず0.2%
ずら0.2%
な0.2%
ぬめ0.2%
はず0.2%
やわ0.2%
ヌレ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
訓練された七名の警官は、まるで霧のように静かに滑(すべ)りこみました。階下の廊下は淡(あわ)い灯火(とうか)の光に夢のように照らし出されています。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
睡魔の妖腕(ようわん)をかりて、ありとある実相の角度を滑(なめら)かにすると共に、かく和(やわ)らげられたる乾坤(けんこん)に、われからと微(かす)かに鈍(にぶ)き脈を通わせる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしながら色は必ずしも白色でなければならぬとは限らない、印度(インド)の女の皮膚の色には別な軟(やわら)かみと滑(なめ)らかな光沢があって美しい
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
自分は茫々たる大海原の水の色のみ大西洋とは驚く程異(ちが)つた紺色を呈し、天鵞絨(びろうど)のやうに滑(なめらか)に輝いて居るのを認めるばかりであつた。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかし、時折り牡山羊は檻から外へ滑(す)べり出て、菜園の霜柱をピョンピョン踏みつぶしながら、表の通りへ逃げ出してゆくことがある。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
滑(こっ)けいな意味でではなく、何ともいえぬ物(もの)すごい意味で。……昨日の夕方のことだ。もう大分暗くなっていた。何の気なしに、二階から降りて来ると、そこの縁側に母親が立っているのだ。
疑惑 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
このとき私は壁の隅に犬の滑(のめ)り込んでいるのを見た。犬は無理にそこから逃げ路を見つけようとするように、からだを壁に押しつけているので、わたしは近寄って呼んだ。
そしてその語原は滑(ナメ)りカズラの意で、サは発語、ナは滑りであるといわれ、このサナカズラが音転してサネカズラとなったとのことであるが、私はその解釈がはなはだややこしく、かつむつかしく
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
と、言葉尻が泣声で切れて、ひょいと刎(は)ねるように両袖で顔を隠した。何だか滑(おど)けたように見えつつも、私はひしと胸を打たれる。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其様(そん)な時には彼(あれ)は友禅メリンスというものだか、縮緬(ちりめん)だか、私には分らないが、何でも赤い模様や黄ろい形(かた)が雑然(ごちゃごちゃ)と附いた華美(はで)な襦袢(じゅばん)の袖口から、少し紅味(あかみ)を帯びた、白い、滑(すべっ)こそうな
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
手籠を持った馬耳塞(マルセイユ)人——それぞれクッションのバネの滑(すべら)かな動揺につれて、ひっきりなしに飛びあがりながら眠りこけているうちに、漫然と介在した若い男女の東洋人
適度の無精髭を蓄えて、ゆったりとした厚地の服に、洗濯の行き届いた縞シャツを着て、始終ネクタイをゆるく横っちょに滑(ず)らかし加減にして、百姓持ちの様な大きな煙管を銜えることにした。
山母はこれはたいへんだと水がめから跳(は)ね上がって外へ走り出ようとすると、踏み台のベゴの糞で踏(ふ)ん滑(ずら)のめってステンところんだ。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
その滑(な)めなめとしたつま先が快よく蹠に当って、座布団と、奈世の全身の重みの間におかれたわしの蹠から次第に精気の様なものが、上へ上へと登って行き
面 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
少年の掌はにちゃにちゃ滑(ぬめ)っていて、蛞蝓(なめくじ)のような触覚がある。気持が悪い。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
御物語も深くなるにつけ、昨日の御心配も、明日の御煩悶(わずらい)も、すっかり忘れて御了いなすって、御二人の口唇(くちびる)には香油(においあぶら)を塗りましたよう、それからそれへと御話が滑(はず)みました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あんまり不思議なので上衣のポケットに両手を突込んでみると、右手には新しい四ツ折のハンカチと鼻紙、左手には幾何(いくら)這入っているかわからないが、滑(やわ)らかに膨らんだ小さな蟇口(がまぐち)が触(さわ)った。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ニレとは元来滑(ヌレ)の意で、その樹の内皮が粘滑であるからかくいわれる。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)