“襦袢”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じゅばん80.2%
じゆばん16.9%
シヤツ1.1%
はだぎ1.1%
ソローチカ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
茶店の床几しょうぎ鼠色ねず羽二重はぶたえ襦袢じゅばんえりをしたあら久留米絣くるめがすりの美少年の姿が、ちらりと動く。今日は彼は茶店の卓で酒をんでいるのだ。
桃のある風景 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
船頭は竿さをを弓のやうに張つて、長い船縁ふなべりを往つたり来たりした。竿さをを当てる襦袢じゆばん処々ところどころ破れて居た。一竿ひとさを毎に船は段々とくだつて行つた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
今日阪神電車に乗ると、私の前にとしの頃は四十恰好の職人風らしい男が腰をかけてゐた。木綿物もめんものだが小瀟洒こざつぱりした身装みなりをしてゐるのにメリヤスの襦袢シヤツのみは垢染あかじんで薄汚かつた。
余は彼の燈火ともしびの海を渡り来て、この狭く薄暗きこうぢに入り、楼上の木欄おばしまに干したる敷布、襦袢はだぎなどまだ取入れぬ人家、頬髭長き猶太ユダヤ教徒のおきな戸前こぜんたゝずみたる居酒屋、一つのはしごは直ちにたかどのに達し
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ところが彼女は不意に、誰かが自分の刺繍ぬひ襦袢ソローチカの袖をひつぱるのに気がついた。振りかへつて見ると、そこには例の白い長上衣スヰートカを着た、眼もとのすずしい若者が突つ立つてゐた。