“燈火”のいろいろな読み方と例文
新字:灯火
読み方割合
ともしび44.1%
あかり43.6%
とうか4.7%
1.8%
あかし1.8%
ともし1.0%
ひかり1.0%
とうくわ0.7%
みあかし0.3%
ひのひかり0.2%
あか0.2%
とぼしび0.2%
ともしひ0.2%
ライト0.2%
ランプ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しるべの燈火ともしびかげゆれて、廊下らうかやみおそろしきをれし我家わがやなにともおもはず、侍女こしもと下婢はしたゆめ最中たゞなかおくさま書生しよせい部屋へやへとおはしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その姿の悲惨いじらしいような、怖しいような、何とも云えない心持がして、思わずハッと眼を閉じると、燈火あかりは消える、女の姿も消える。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
八畳の茶の間に燈火とうか煌々こうこうと輝きて、二人が日頃食卓に用ひし紫檀したんの大きなる唐机とうづくえの上に、箪笥たんすの鍵を添へて一通の手紙置きてあり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
明るく燈火ともしびもってい、食べ散らし飲み散らした盃盤が、その燈火に照らされて乱雑に見え、二人ながらいい加減酔っているらしい。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「——燈火あかしの影を見うけて立ち寄ったものでおざる。苦しゅうなくば宿をおかしくださるまいか。決して、怪しい者などではありません」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少年 (恐ろしそうに)お姉様、このお室には何故燈火ともしがついていないの? ただ高い高い天井から、青い光が落ちて来るばかり。……お姉様! あの青い光は何処どこから来るの?
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
がんじ搦みにされてしまった! そうして自然とサルグツワがまり、あんまり意外なので気絶したが眼覚めてみれば気味悪い部屋! ……菫色すみれいろ燈火ひかり
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殊に歳暮さいぼの夜景の如き橋上けうじやうを往来する車のは沿岸の燈火とうくわと相乱れて徹宵てつせう水の上にゆらめき動く有様ありさま銀座街頭の燈火とうくわよりはるかに美麗である。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その喜びをもうさんため、神棚に燈火みあかしを点じようとして立った父が、そのまま色をかえて立窘たちすくんだ。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、燧石いしを切る音が、紙帳の中から聞こえて来、すぐにボッと薄黄いろい燈火ひのひかりが、紙帳の内側から射して来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蟠「ア、燈火あかりが消えるようだ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
日の暮を悲しむ心は後悔と絶望の思に似通つてゐる。すつかり暮れ果てゝしまつた後、月の光、もしくは燈火とぼしびのもとに、どうやら落ちつく心持は「あきらめ」の静けさに似通つてゐる。
冬日の窓 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
寐屋ねや燈火ともしひまたヽくかげもあはれさびしや丁字頭ちやうじがしらの、はなばれし香山家かやまけひめいま子爵ししやくおなはらに、双玉さうぎよくとなへは美色びしよくかちめしが、さりとて兄君あにぎみせきえず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
滅茶苦茶に急いで来ていたようだが先刻から急に停船しているよ。何だか燈火ライトの様子が只事じゃないらしいんだ。君、寝る前に、あの船と無電の交換はなかったのか
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あたかも燈火ランプ燈火台ランプだいの上に置いてあるようなものだ(四の二一)。神の国の真理は、人間に見られることを避けて暗い内陣に隠されている本尊のようなものではない。