“燈火”のいろいろな読み方と例文
新字:灯火
読み方(ふりがな)割合
あかり44.7%
ともしび43.8%
とうか4.0%
2.0%
あかし1.8%
ともし1.1%
ひかり1.1%
とうくわ0.5%
あか0.2%
ともしひ0.2%
(他:3)0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
駒井甚三郎は鳥銃を肩にして、西岬村にしみさきむらの方面から、洲崎すのさきの遠見の番所へ帰って見ると、まだ燈火あかりがついておりません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
暗い燈火あかりの下にあつまっている瑠璃子と女中達を、もっと脅かすように、風は空を狂い廻り、波はしきりなしに岸をんで殺到した。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そうするとその前の方へ少し離れた所に燈火あかりの仕掛があってこれがその絵にって種々いろいろな色の光を投げかけるようになっています。
銀座は昔からハイカラな所 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
明るく燈火ともしびもってい、食べ散らし飲み散らした盃盤が、その燈火に照らされて乱雑に見え、二人ながらいい加減酔っているらしい。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼女は馬車が鹿鳴館の前に止るまで、何度いら立たしい眼を挙げて、窓の外に流れて行く東京の町の乏しい燈火ともしびを、見つめた事だか知れなかつた。
舞踏会 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
劉邦りゅうほうは鋭い眼光をあげて、じっと秋をまたたいている燈火ともしびの光を見た。そうして、半ば独り言のように、おもむろにこう答えた。
英雄の器 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女の部屋は、階下に在った。廊下の燈火とうかは、大抵消されていたが、階段に取り付けられている電燈が、階上にも階下にも、ほのかな光を送っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その燈火とうかしたには、おとこや、おじいさんや、また、いろいろのひとたちが、あつまってはなしをしていました。
すももの花の国から (新字新仮名) / 小川未明(著)
食事をしたせいか燈火とうかのついたせいかあるいは雨戸を閉めたせいでもあるか書斎の薄寒さはかえって昼間よりもしのぎやすくなったような気がした。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
明るく燈火ともしびもってい、食べ散らし飲み散らした盃盤が、その燈火に照らされて乱雑に見え、二人ながらいい加減酔っているらしい。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その建物と主殿とを繋いで、長い廻廊が出来ていたが、その廻廊に青い燈火が、一点ユラユラと揺れながら、建物の方へ進んで行く。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
日はとっぷり暮れたが月はまだ登らない、時田は燈火けないで片足を敷居の上に延ばし、柱にりかかりながら、茫然ぼんやり外面そとをながめている。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「そうだ。おら去年烏瓜の燈火あかしこさえた。そして縁側えんがわつるして置いたら風吹いて落ちた。」と耕一が言いました。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
と跡いいかけまするとき、ギイ/\と櫓壺のきしる音がして、燈火あかしがちらり/\とさす舟が漕ぎまいります。
炉の火はだんだんに消えて、暗い家のなかにかすかに揺れているのは仏前の燈火あかしばかりである。
くろん坊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
暗い廊下を、楽翁の足音が、遠くなって行った。——越前守は、残された燈火ともしのまえに、さし俯向いていたおもてを、きっと上げると、
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たれも彼の部屋へ、燭を運ばなかった。夜ごとの燈火ともしも、彼自身でともすのが、この書斎の習慣であったから。——
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少年 (恐ろしそうに)お姉様、このお室には何故燈火ともしがついていないの? ただ高い高い天井から、青い光が落ちて来るばかり。……お姉様! あの青い光は何処どこから来るの?
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
秋安と美しい廻国風の娘と、語り合っているその部屋には、狩野山楽かのうさんらくの描いたところの、雌雄孔雀の金屏風が、紙燭の燈火ひかりを明るく受けて、さも華やかに輝いている。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その間も香炉からは煙りが立ち、微妙に部屋をかおらせている。その間もがんからは菫色すみれいろ燈火ひかりが、ほんのりと四方を照らしている。そうして聞こゆる催情的音楽!
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三味線の音が急に止み、サラサラと衣擦れの音がした。と、雨戸が静かに引かれ颯と燈火ひかりが庭へ射した。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殊に歳暮さいぼの夜景の如き橋上けうじやうを往来する車のは沿岸の燈火とうくわと相乱れて徹宵てつせう水の上にゆらめき動く有様ありさま銀座街頭の燈火とうくわよりはるかに美麗である。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ればかりでなく黒ずんだ天井てんじやう壁襖かべふすまかこまれた二階のへやがいやに陰気臭いんきくさくて、燈火とうくわの多い、人の大勢おほぜいあつまつてゐる芝居しばゐにぎはひが、我慢がまん出来できぬほど恋しく思はれてならなかつたのである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
一夜いちや幼君えうくん燈火とうくわもと典籍てんせきひもときて、寂寞せきばくとしておはしたる、御耳おんみゝおどろかして、「きみひそか申上まをしあぐべきことのさふらふ」と御前ごぜん伺候しかうせしは、きみ腹心ふくしん何某なにがしなり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蟠「ア、燈火あかりが消えるようだ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
寐屋ねや燈火ともしひまたヽくかげもあはれさびしや丁字頭ちやうじがしらの、はなばれし香山家かやまけひめ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがて、燧石いしを切る音が、紙帳の中から聞こえて来、すぐにボッと薄黄いろい燈火ひのひかりが、紙帳の内側から射して来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
燭台の皿へ、丁字ちょうじが立ったらしく、燈火ひのひかりが暗くなった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その喜びをもうさんため、神棚に燈火みあかしを点じようとして立った父が、そのまま色をかえて立窘たちすくんだ。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「右舷の方に妙な船が居るぜ。今迄この氷山の中を滅茶苦茶に急いで来ていたようだが先刻から急に停船しているよ。何だか燈火ライトの様子が只事じゃないらしいんだ。君、寝る前に、あの船と無電の交換はなかったのか」
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)