燈火ひかり)” の例文
新字:灯火
がんじ搦みにされてしまった! そうして自然とサルグツワがまり、あんまり意外なので気絶したが眼覚めてみれば気味悪い部屋! ……菫色すみれいろ燈火ひかり
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
水がピチャピチャと石段を洗い、小波をウネウネと立てている。石段の左右にがんある。青白い燈火ひかりが射しいる。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その間も香炉からは煙りが立ち、微妙に部屋をかおらせている。その間もがんからは菫色すみれいろ燈火ひかりが、ほんのりと四方を照らしている。そうして聞こゆる催情的音楽!
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
秋安と美しい廻国風の娘と、語り合っているその部屋には、狩野山楽かのうさんらくの描いたところの、雌雄孔雀の金屏風が、紙燭の燈火ひかりを明るく受けて、さも華やかに輝いている。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と振り返った織江の眼に、家内から射している燈火ひかりを背負った、粋な女の年増姿が見えた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一基の燭台が置いてあり、燈心を引いて細めた燈火ひかりが、部屋を朦朧と照らしていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、雨戸が静かに引かれ颯と燈火ひかりが庭へ射した。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)