“ひかり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
67.9%
光明4.9%
光線3.4%
3.4%
陽光3.0%
日光2.3%
火光1.7%
燈火1.3%
光輝1.1%
光芒0.8%
耀0.8%
0.8%
燈光0.6%
光彩0.6%
栄光0.4%
0.4%
光沢0.4%
月光0.4%
灯火0.4%
照光0.4%
閃光0.4%
餘光0.4%
余光0.2%
光炯0.2%
光烱0.2%
光茫0.2%
光華0.2%
光野0.2%
反射0.2%
外光0.2%
実光0.2%
微光0.2%
慈光0.2%
斜光0.2%
明光0.2%
曙光0.2%
0.2%
燦光0.2%
0.2%
陽線0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると其時そのとき夕刊ゆふかん紙面しめんちてゐた外光ぐわいくわうが、突然とつぜん電燈でんとうひかりかはつて、すりわる何欄なにらんかの活字くわつじ意外いぐわいくらゐあざやかわたくしまへうかんでた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
体内に灯された処女の生命いのちが、一ひん、一笑、一挙手、一投足に、恐ろしいばかりの光明ひかりになって、その五体から発散するのです。
不思議なほど濃紫こむらさき晴上はれあがった大和の空、晩春四月の薄紅うすべにの華やかな絵のような太陽は、さながら陽気にふるえる様に暖かく黄味きみ光線ひかり注落そそぎおとす。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
私は、妻の肩に腕をのせて、車がしげしげと曲る毎に、冬子の、白い顔にひかりがフラツシユするさまを、うつとりと眺めてゐた。
波の戯れ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
その間からアセチリン瓦斯がすがぶくぶくと泡を噴いた。泡は真夏の烈しい陽光ひかりの中できらきらと光ったりしては消えた。
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
今は其をあかる日光ひかりの中に経験する。種々いろ/\な恐しい顔、嘲り笑ふ声——およそ人種の憎悪にくしみといふことを表したものは、右からも、左からも、丑松の身を囲繞とりまいた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一人の老人がうずくまっていた。一人の小男が種子ヶ島で、その老人を狙っていた。石壁から火光ひかりが射していた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
水がピチャピチャと石段を洗い、小波をウネウネと立てている。石段の左右にがんある。青白い燈火ひかりが射しいる。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
壁には、象を料理するのじゃないかと思うほどの大鉞おおまさかり大鋸おおのこぎり、さては小さい青竜刀せいりゅうとうほどもある肉切庖丁にくきりほうちょうなどが、燦爛さんらんたる光輝ひかりを放って掛っていた。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と思うと、今度は右手の沖合へ、仄明くサーチライトの光芒ひかりをひらめかして、大きく円を描きながら消え去って行った。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
人々の希望が日を逐うてうしおの如く高まると共に、上飯台の連中や幹部連の凄惨な顔色は弥々いよいよ深くなる。只でも油断のない眼は耀ひかりを増し、耳は益々尖って来る。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
太子は、推古天皇の三十年に薨去されたが、天皇をはじめ奉り、全国民に至るまで「日月ひかりを失ひ、天地既に崩れぬべし」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
ほとんど闇黒やみ全體ぜんたいつゝまれてつたが、わたくし一念いちねんとゞいて幾分いくぶ神經しんけいするどくなつたためか、それともひとみやうや闇黒あんこくれたためか、わたくしからうじてその燈光ひかり主體ぬしみと途端とたん
話が途断れると、屋根の上をコト/\と鴉の歩き廻る音がする……由三はなまりのやうな光彩ひかりすらない生涯を思浮べながら、フト横に轉がツた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼は虹のもやの中に坐してうたいながら、太陽のようにまぶしく輝く栄光ひかりを織っていた。
最後の晩餐 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
ゆふべのひかりをさまりて
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
その皮膚は素焼の陶器のように、全く光沢ひかりを失って、物凄い、冷たい眼の光りばかりがハタハタと女を射た……。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
月光ひかりの中へ出て、いよいよ白く見える老人の白髪は、そこへ雪が積もっているかのようであり、洋犬のように長い顔も、白く紙のようであった。顔の一所ひとところに黒い斑点しみが出来ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
灯火ひかりをうけたカーテンの青い睡気のその前に。
其は深い焦茶こげちや色で、雲端くもべりばかり黄に光り輝くのであつた。帯のやうな水蒸気の群も幾条いくすぢか其上に懸つた。あゝ、日没だ。蕭条せうでうとした両岸の風物はすべての夕暮の照光ひかりと空気とに包まれて了つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いや、弔砲の閃光ひかりかも知れん」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
帳塲ちやうば女主あるじもかけして唯今たゞいまありがたうと同音どうおん御禮おれいたのんでいたくるましとて此處こゝからしてせば、家中うちゞうおもておくしておいでまちまするの愛想あいさう御祝儀ごしうぎ餘光ひかりとしられて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
頼んで置いた車がしとて此処ここからして乗り出せば、家中うちぢう表へ送り出してお出を待まするの愛想、御祝義の余光ひかりとしられて、あとには力ちやん大明神様これにも有がたうの御礼山々。
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
光烱ひかり照りそふ水けぶり
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
五郎蔵は、むしろ唖然とした眼付きで、春陽を受けた剣が、虹のような光茫ひかりを、刀身の周囲に作って、卯の花のように白い薪左衛門の頭上に、振り冠られているのを見上げたが
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何もかも——さびを帯びた金色こんじきの仏壇、生気の無いはす造花つくりばな、人の空想を誘ふやうな天界てんがい女人によにんの壁にかれた形像かたち、すべてそれらのものは過去すぎさつた時代の光華ひかり衰頽おとろへとを語るのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
藤吉もわれ知らず起って、炉の火の投げる光野ひかりのなかへ、はいって来ていた。
倉庫の 間にや 護謨合羽かつぱの 反射ひかりだ。
しかし明るい戸口の外光ひかり背負しょって立っている男が、染八でもなく喜代三でもなく、武士だったので、乾児たちは一度に口をつぐんでしまった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「この一身に、念仏門の実相まことを具現いたすために。——また、この身をも、念仏門の実光ひかりに救われたいがためにです」と、全身すべて信念のかたまりのように構えて、そう答えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柔きこけ微光ひかりに かすかなる息吹いぶきうかがひぬ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
この御堂みどうが、まことの生きた、伽藍であるならば、此堂ここをめぐって、造営に働く人たちも、いつか必ず仏縁のご庇護によって、精神こころのうちに、弥陀みだ慈光ひかりをうけねばならぬはずと存じます。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
如何いかなれば明光ひかりを賜うや
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
それは、いたずらに肉体を苦しめるのみで、そこにはなんら解脱の曙光ひかりは見出されなかったのです。ここにおいてか、最後の釈尊の到達した天地は、実に自我への鋭き反省でした。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
皆な二階に集つてゐたので、蔵前の雛段の前には人影がなく、徒らに雪洞のひかりが明るいだけだつた。
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ようやく悪夢から解放されたような気持になって、もとの礼拝堂に戻ると、そこには再び、装飾灯シャンデリヤ燦光ひかりが散っていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
やが船尾せんびかたると、此處こゝ人影ひとかげまれで、すで洗淨せんじようをはつて、幾分いくぶん水氣すゐきびて甲板かんぱんうへには、つきひかり一段いちだん冴渡さへわたつてる。
炭町、具足町ぐそくちょうの家々のひさしの朱いろの矢のように陽線ひかりが躍り染めて、冬の朝靄のなかに白く呼吸づく江戸の騒音が、聞こえ出していた。