ひかり)” の例文
そこで許宣は舗を出て、銭塘門せんとうもんの方へ往った。初夏のようなひかりの強い陽の照る日で、仏寺に往き墓参に往く男女が街路に溢れていた。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
太子は、推古天皇の三十年に薨去されたが、天皇をはじめ奉り、全国民に至るまで「日月ひかりを失ひ、天地既に崩れぬべし」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
北国の春の空色、青い青い海の水色、澄みわたった空と水とは藍をとかしたように濃淡相映じて相連あいつらなる。望む限り、縹緲ひょうびょう、地平線に白銀のひかりを放ち、こうとして夢を見るが如し。
いはく、日月ひかりを失ひて、天地既に崩れぬべし。今より以後のち、誰かたのまむ哉。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)