“つや”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
48.9%
光沢22.7%
通夜13.3%
4.4%
光澤4.2%
1.6%
色沢1.4%
1.0%
0.4%
世辭0.2%
(他:10)1.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
倭文子は涙ぐんだ目に、遙かなる憧れの色をたたえて、つややかにほほ笑むのみで一言いちごんも口を利かなかった。……
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「私は人がいものですから」と甲斐は云った、「他人のつやごとまでかぶせられるようで、いつもよく迷惑をいたします」
彼はひとうらやむ程光沢つや皮膚ひふと、労働者に見出しがたい様に柔かな筋肉をつた男であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
せぎすであったけれども顔は丸い方で、透き徹るほど白い皮膚に紅味あかみをおんだ、誠に光沢つやの好い児であった。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「ほんとうに、いやんなっちまうな。いくら木魚庵だからって、これじゃまるでお通夜つやに来たようなもんじゃござんせんか」
彼はだからその母親が死ぬと間もなく、お通夜つやの晩に、忘れ形見の太郎を引き寄せて、涙ながらに固い約束をしたものであった。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
朝起きると甚九郎は茶を沸かしはじめた。女もその後から起きて来て甚九郎の傍へ坐った。女は好い色つやをしていた。
山姑の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
其声は、恰も地震の間際に聞えるゴウと云ふ地鳴に似て、低い、つやのない声ではあつたが、恐ろしい力が籠つて居た。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ガラツ八が飛んで行くと、間もなく少し月代さかやき光澤つやのよくなつた野狐のやうな感じのする男をつれて來ました。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
光澤つやと言ひ、光りと言ひ、それから、女體の方は後から入れたので、直ぐはづれますが、男體の額の夜光石は、佛體に刻み込んだもので
吉之助、なかなか、いいねと素子が云ったとき、伸子は素子の眼や頬がいつもとちがったつややかさをたたえているのを感じた。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
姿すがたこゝろ消々きえ/″\つていてるおつやおび一度いちどぐい
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鼈甲べつかふのやうな色沢つやの長い足を持つた大きな女郎蜘蛛ぢよらうぐもは、大仕掛な巣を張り渡して居た。
彼女は質素な洋服を着ていたが、まん丸な色沢つやのあまりよくない顔が、寂しいなりににこにこしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其聲は、恰も地震の間際に聞えるゴウと云ふ地鳴ぢなりに似て、低い、つやのない聲ではあつたが、恐ろしい力が籠つて居た。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「たいへん、寒い……」と、てれ隱すやうに日本語を呟いて、女は硬張こはばつた作り笑ひをそのつやのない顏に浮べた。
ハルピンの一夜 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
或ものは又、見えざる絲に吊らるる如く、枝に返らず地に落ちず、つやある風に身を揉ませて居る。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
或ものは又、見えざる糸に吊らるる如く、枝に返らず地に落ちず、つやある風に身を揉ませて居る。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「そんだがおめえもたえしたはたらきだとえんな、かうえにたわらまでちやんとして、大概てえげえ百姓ひやくしやうぢやおめえこのにやかねえぞ、世辭つやいふわけぢやねえが」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
室羅伐スラヴァスチ城の大長者の妻がはらんだ日、形貌かお非常に光彩つやあり、産んだ女児がなかなかの美人で、生まるる日室内明照日光のごとく、したがって嘉声かせい城邑じょうゆうあまねかった。
花の本には花よりは長い多くの光滑つやある毛があって花に添うて直立し、花を擁護しているかの様に見えるが、乾けば斜めに開くのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
女ながら随分荒い稼ぎをしてかすかに暮しておるという独身者ひとりものさ、見れば器量もなか/\い、色が白くて目は少し小さいが、眉毛が濃い、口元が可愛らしく、髪の毛の光艶つや
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
予が明治四十一年六月の『早稲田文学』六二頁に書いた通り、『酉陽雑俎』(蜈蚣むかで退治を承平元年と見てそれより六十八年前に死んだ唐の段成式著わす)三に、歴城県光政寺の磬石けいせき膩光つやしたたるがごとく
呼吸器を侵されて、一時は駄目かと思われるほどの重病から、ようやく恢復したこととて、美しかった黒い毛並もつやを失って、紅梅を洩れる春のに当った由紀子の白いきめを見た拍子に、一層やつれて見えるのであった。
鼻に基く殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「ハハハハそれこそアイロニーだ」と小野さんは笑った。小野さんの笑い声はいかなる場合でも静の一字を離れない。その上色彩つやがある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見るからが人の好さ相な、丸顏に髭の赤い、デップリと肥つた、色澤つやの好い男で、襟の塞つた背廣の、もゝの邊が張り裂けさうだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その夏休暇やすみで歸つた信吾は、さらでだに内氣の妹が、病後の如く色澤つやも失せて、力なく沈んでるのを見ては、心の底から同情せざるを得なかつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
たゞ若さは、青春は、娘は、かくおのれを謎の地に伏せる間も、謎の地に伏せるほど身のうちをうす紅梅色に華やがし、かもし出す艶冶つやな電気は、相対の性に向って逸奔いつほんがって仕方がありません。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
新らしい藝術にあこがれてゐる女の心の上へ、猶その上にもしたゝるやうな艶味つやを持たせてやる事を知らない義男は、たゞ自分の不足な力だけを女の手で物質的に補はせさへすればそれで滿足してゐられる樣な男なのだと云ふ事が、みのるの心に執念しふねく繰り返された。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
この時、落葉ともつかず、すすかたまりともつかない影が、子供たちの眼に近い艶沢つやのある宵闇の空間に羽撃はばたき始めた。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)