色沢つや)” の例文
旧字:色澤
彼女は質素な洋服を着ていたが、まん丸な色沢つやのあまりよくない顔が、寂しいなりににこにこしていた。髪は無論ボッブされていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
蠅取り蜘蛛といふ小さな足の短い蜘蛛は、枝のつけ根に紙の袋のやうな巣を構へて居た。鼈甲べつかふのやうな色沢つやの長い足を持つた大きな女郎蜘蛛ぢよらうぐもは、大仕掛な巣を張り渡して居た。
もともと頭の中でむやみに色沢つやを着けて奥行おくゆきのあるように組み立てるほどの関係でもあるまいし、あったところがひとの事を余計なおせっかいだと、自分で自分をあざけりながら
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
で、その幽霊の頸のまわりや背中を下に垂れ下がっていた髪の毛は、年齢とし所為せいでもあるように白くなっていた。しかもその顔には一筋の皺もなく、皮膚は瑞々みずみずした盛りの色沢つやを持っていた。
なにかよき鮎の色沢つやあり。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
お今が一ト夏のうちに、めっきり顔や目などに色沢つやや潤いの出て来たことがお増の目に際立って見えた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
自分はとおるほど深く見えるこの黒眼の色沢つやを眺めて、これでも死ぬのかと思った。それで、ねんごろに枕のそばへ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつかしなゆるはね色沢つや
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)