“艶”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
つや37.3%
えん19.2%
なま13.5%
なまめ13.3%
あで7.3%
なまめか2.2%
つやや2.0%
あでや1.2%
あだ0.7%
いろ0.6%
エン0.4%
にほ0.2%
うる0.2%
はで0.2%
ゑん0.2%
にほひ0.1%
やさ0.1%
あて0.1%
あでやか0.1%
いろひ0.1%
0.1%
こま0.1%
すこ0.1%
たお0.1%
つやっ0.1%
つやゝ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
オリヴィエはただちに、その少女の姿を思い出した——大きな額、後ろに引きつめられたつやのない髪、とびだしてる濁った灰色の眼。
髪の手ざわりの冷たいことなどもえんな気がして、恥ずかしそうにしている様子が可憐かれんであった源氏は立ち去る気になれないのである。
源氏物語:27 篝火 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と言つても、相手は町家風の——寧ろ素人らしくない媚となまめかしさを持つた女ですが、平次はかうでも呼びかける外はありません。
そして、なまめかしいささやきを囁きあったが、和尚の態度は夫人以上に醜悪なるものであった。李張はまず和尚を踏みつぶしてやりたかった。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
すると、その門や、あたりの様とは、余りにもふさわしくないあでやかな絵日傘が、門の蔭から、牡丹ぼたんの咲くように、ぱちんと開いた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さして目に立つほどの容貌きりょうではないが、二十はたちを越したばかりのなまめかしさに、大学を出たばかりの薬局の助手がたちまち誘惑しようとしたのを
老人 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何の樹とも知らないが、これが呼びものの、門口もんぐちに森を控えて、庭のしげりは暗いまで、星に濃く、あかりに青く、白露しらつゆつややかである。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
高貴の姫君と申しましても恥ずかしからぬあでやかさ、それに、生花、和歌、茶の湯、曲舞くせまい、小鼓、何んでも出来て、その上才智も人に勝れ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その中には、森啓之助が人しれず気に病んでいるところのあだな女と合羽をかぶった仲間ちゅうげんも、混雑にまぎれて後ろ向きに座をしめていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の通夜明けの春の宵に不忍しのばずの蓮中庵ではじめて会った雛妓かの子とは、ほとんど見違えるほど身体にしなやかな肉の力が盛り上り、年頃近い本然のいろめきが
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
エンにといふ聯想は、後から出た事で、「言へば言ひえに」或は「言へばえ言はに」の略せられた形であつた。言ふに言はれないでの義である。
五五あら玉の月日はやくゆきて、五六下枝したえ茱萸ぐみ色づき、垣根の五七野ら菊にほひやかに、九月ながつきにもなりぬ。
うるはしき花の笑ひもながめて過ぎぬ。
新らしき悲しみにうつる時 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
綾衣は起って仏壇の燈明をかき立てると、白地に撫子なでしこを大きく染め出したはでな浴衣が裾の方から消えて、痩せた肩や細った腰が影のようにほの白く浮いて見えた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さへぎるはつきしたがひてゑんいよ/\ゑんならんとする雨後春山うごしゆんざんはなかほばせけんます/\けんならんとする三五ちうつきまゆいと容姿ようしばかりなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
の方にうるはしき声して、此の軒しばし恵ませ給へといひつつ入り来るを、あやしと見るに、年は廿はたちにたらぬ女の、顔容かほかたち三一かみのかかりいとにほひやかに、三二遠山ずりの色よききぬ
受けて墨摺流すりながす空のきおい夕立の雨の一しきりさらさらさっと書流せばアラ無情うたて始末にゆかぬ浮雲めがやさしき月の面影を
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あてなるかなや
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
夢の世を夢よりもあでやかながめしむる黒髪を、乱るるなと畳めるびんの上には、玉虫貝たまむしかい冴々さえさえすみれに刻んで、細き金脚きんあしにはっしと打ち込んでいる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
機械とはたやしづけき鉄削る旋盤のかくもいろひ澄みつつ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
頭髪かみのけく縮れていた。彼は十五六であったが余り性質がよくなかった。小学校は中途で退校を命ぜられた。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こまやかな愛情に任ね切って、どうかすると、佐吉の膝の上に人形が乗って居たり、二人は犇と抱き合って居たりするところを見せ付けられて、雇人達は思わず仰天することもありました。
成程女は氏なくして玉の輿という、生来うまれつきの美しさ、しとやかさ、すこやかさ、それらがやがて地位なり、財産というものなのだ。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
実に嬋妍せんけんたおやかにして沈魚落雁ちんぎょらくがん羞月閉花しゅうげつへいかという姿に、女ながらもお月は手を突いてお村の顔に見惚みとれる程でございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
北国ほっこくの暗い空も、一皮むけたように明るくなった。春雨がシトシトと降る時節となった。海棠かいどうの花はつやっぽくほころび、八重桜のつぼみも柔かに朱を差す。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
火影ほかげ片頬かたほゝけたつまかほは、見恍みとれるばかりに綺麗きれいである。ほゝもポーツと桜色さくらいろにぼかされて、かみいたつてつやゝかである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)