“艶”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
つや35.7%
えん20.6%
なま14.1%
なまめ13.1%
あで7.6%
なまめか2.1%
つやや2.0%
あでや1.3%
あだ0.7%
いろ0.7%
エン0.4%
うる0.3%
はで0.3%
ゑん0.3%
やさ0.1%
あて0.1%
あでやか0.1%
いろひ0.1%
すこ0.1%
たお0.1%
にほ0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こい毛を、まっくろなつやに、荒歯の毛すじあとをつけた、ほどのいい丸髷まるまげって、向うむきに坐って三味線をひいている人がある。
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それでものあつて誘かすやうに、其の柔な肉付に、つやのある頭髪かみに、むつちりしたちゝに、形の好い手足に心をき付けられた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「その惚れられ手は、親分も聴いて居るでしょう、この半歳か一年の間にメキ/\と綺麗になった、金沢町の大地主、江島屋鹿右衛門の一人娘おえん
また院の御代みよの最後の桜花の宴の日の父帝、えんな東宮時代の御兄陛下のお姿が思われ、源氏の詩をお吟じになったことも恋しく思い出された。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その通りは、すべての都会にあるような混乱された一区劃で、新建しんだちで、家そのものさえなまめかしい匂いとつやとをもっているのであった。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
顔を挙げて見ると、空の色よりも青い小袖、ほの白い顔があかりの側にパッと咲いて、赤い唇だけが、珠玉の言葉を綴ってなまめかしく動きます。
夕汐ゆうしおの高い、もやのしめっぽいよいなど、どっち河岸を通っても、どの家の二階の灯もなまめかしく、川水に照りそい流れていた。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そう言っている母の言葉や、アクセントは、平生いつもの母とは思えないほど、下卑げびていて娼婦しょうふか何かのようになまめかしかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
を隔てた座敷に、あでやかな影が気勢けはいに映って、香水のかおりは、つとはしりもとにも薫った。が、寂寞ひっそりしていた。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
優しいジーナは、あのあでやかな眼に涙ぐんで、凜々りりしいスパセニアは、涼しい瞳に一杯涙を溜めて、さぞびっくりして喜んでくれるでしょう。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
小鼻の脇に、綺麗きれいあぶらの玉が光って、それを吹き出した毛穴共が、まるで洞穴ほらあなの様に、いともなまめかしく息づいていた。
火星の運河 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いづれもただ美しなまめかしといはんよりはあたかも入相いりあいの鐘に賤心しずこころなく散る花を見る如き一味いちみの淡き哀愁を感ずべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
髪のつややかな、色の白い女が居て、いま見合せた顔を、急に背けるや否や、たたきつけるように片袖を口に当てたが、声は高々と、澄切った空を
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
闇に身を任せ、われを忘れて見詰めていると闇につややかなものがあって、その潤いと共に、心をしきりになぶられるような気がする。お絹? はてな。これもまた何かの仕掛かな。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「まあ、恐れ入ります」と藤さんは坐る。灯火ともしびに見れば、油絵のようなあでやかな人である。顔を少し赤らめている。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
プーンと洩れてくる酒の薫り、朱の塗膳、銀の銚子、衣桁いこうの乱れぎぬ、すべてがなまめいて取り散らされている中に、御方は男と向い合ってあでやかな笑顔を微酔に染めていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中には、森啓之助が人しれず気に病んでいるところのあだな女と合羽をかぶった仲間ちゅうげんも、混雑にまぎれて後ろ向きに座をしめていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少し神經質な青白い顏、紅いくちびるが不思議にあだめいて、凉しい眼が非凡な魅力でした。
女童めわらはにほふ人づゑ肩触りてはずむぬくみのいろひ母めく
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きやしやにいろめく肉づきと、
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
えは艶の字の意味ではないが、恐らくは、えンにとエンの音とが似てゐるところから聯想して、更に濃厚にえンにの意味を出さうとして来たからであらう。
古代中世言語論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
平安朝の文学に屡〻現れ、武家時代にかけて、次第に「エンに」と言ふ宛て字に適当な内容を持つて来た「えんに」と言ふ語は、実はこの「えに」の撥音化なのである。
副詞表情の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
うるはしき花の笑ひもながめて過ぎぬ。
新らしき悲しみにうつる時 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
うるはしき花の笑ひもながめて過ぎぬ、
恋しき最後の丘 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
綾衣は起って仏壇の燈明をかき立てると、白地に撫子なでしこを大きく染め出したはでな浴衣が裾の方から消えて、痩せた肩や細った腰が影のようにほの白く浮いて見えた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかしはでな浮名を好まないたちであるのと、もうひとつには自分よりも年下の、しかも大工の丁稚あがりを情夫おとこにしているということが勤めする身の見得みえにもならないので、お園は自分がいよいよ自由の身になるまでは、なるべく六三郎との仲をひとには洩らしたくないと思っていた。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さへぎるはつきしたがひてゑんいよ/\ゑんならんとする雨後春山うごしゆんざんはなかほばせ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゑんなる夏 夢を埋め、
秋 なげかひ (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
相愛あいあいしていなければ、文三に親しんでから、お勢が言葉遣いを改め起居動作たちいふるまいを変え、蓮葉はすはめて優にやさしく女性にょしょうらしく成るはずもなし
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
薔薇ばらの花はかしらに咲て活人は絵となる世の中独り文章而已のみかびの生えた陳奮翰ちんぷんかんの四角張りたるに頬返ほおがえしを附けかね又は舌足らずの物言ものいいを学びて口によだれを流すはつたなしこれはどうでも言文一途いっとの事だと思立ては矢もたてもなく文明の風改良の熱一度に寄せ来るどさくさ紛れお先真闇まっくら三宝荒神さんぽうこうじんさまと春のや先生を頼みたてまつ欠硯かけすずりおぼろの月のしずくを受けて墨摺流すりながす空のきおい夕立の雨の一しきりさらさらさっと書流せばアラ無情うたて始末にゆかぬ浮雲めがやさしき月の面影を思いがけなく閉籠とじこめ黒白あやめも分かぬ烏夜玉うばたまのやみらみっちゃな小説が出来しぞやと我ながら肝をつぶしてこの書の巻端に序するものは
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あてなるかなや、
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
夢の世を夢よりもあでやかながめしむる黒髪を、乱るるなと畳めるびんの上には、玉虫貝たまむしかい冴々さえさえすみれに刻んで、細き金脚きんあしにはっしと打ち込んでいる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
機械とはたやしづけき鉄削る旋盤のかくもいろひ澄みつつ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
成程女は氏なくして玉の輿という、生来うまれつきの美しさ、しとやかさ、すこやかさ、それらがやがて地位なり、財産というものなのだ。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
実に嬋妍せんけんたおやかにして沈魚落雁ちんぎょらくがん羞月閉花しゅうげつへいかという姿に
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しろ百合はそれその人の高きおもひおもわはにほ紅芙蓉べにふようとこそ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)