“無情”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つれな35.6%
むじょう13.7%
むじやう8.2%
つれなき8.2%
つれなし6.8%
すげな4.1%
つれ4.1%
なさけな4.1%
つれない2.7%
すげ2.7%
つれなく2.7%
うたて1.4%
すげなき1.4%
つれなか1.4%
なさけね1.4%
むじゃう1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そうか、咲いたか。……今朝もほうきを持って掃いたに、気がつかなんだ。花も、武骨者の軒に咲いては、じょうなしよと、無情つれなかろうな」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
バナナのかわも、つえも、いまさら河水かわみず無情むじょうなことをさとりました。そして、これからどうなることだろうとおもっていました。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですけれど、あの方は御自分の大きな見解を追求なさるもので、小さな人間の感情や要求は無情むじやうにも忘れてゐらつしやるのです。
町の者母の無情つれなきを憎み残されし子をいや増してあわれがりぬ。かくて母のはかりごとあたりしとみえし。あらず、村々には寺あれど人々の慈悲めぐみには限あり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
つくづく思へば無情つれなしとても父様ととさま真実まことのなるに、我れはかなく成りて宜からぬ名を人の耳に伝へれば、残れるはぢが上ならず、勿躰もつたいなき身の覚悟と心のうち詫言わびごとして
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三年五年はともかくも、廿年をその癖は、これが真実の偏人に、ならずに居らるるものかいやい。さこそは無情すげない父様と、不審も立つた事であろ。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
好かないやつだが、そうまでして来たものをと思うと、無情つれないこともできない。じゃまあ連れてきて逢わしてやろう。
復活祭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
おそらくわたくし想像さうぞうあやまるまい、じつてんわざはひ人間にんげんちからおよところではないが、今更いまさらかゝ災難さいなんふとは、じつ無情なさけな次第しだいです。
しかるに今ではこの私が、マリア姫から夫れに似た無情つれない態度を見せられている。私もカスピナも不幸なのだ。不幸な女と不幸な男、互に慰め合うきではないか。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
上の空の様子で機械的にったり取ったりしていたが、急に膝の前の紙幣を手提袋の中に納い込み、巧みに膝の下へ押し込まれていた参事官の足を無情すげなく跳ねのけると
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
さりとて無情つれなくなげかへしもせねど、らきてみしやいなじんすけこたへぶりの果敢はかなさに、此度このたびこそとかきたるは、ながひろにあまりおもふでにあふれて、れながらくまでもまよものかと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
受けて墨摺流すりながす空のきおい夕立の雨の一しきりさらさらさっと書流せばアラ無情うたて始末にゆかぬ浮雲めがやさしき月の面影を
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
人の家なれば使ひの來る事もありと無情すげなきこたへに、左樣いはれては返すに詞も無けれど、どこからの使ひだ位は聞かせて呉れてもよき筈、喧嘩かひのとげ/\しき言葉ならでもと下手したでに出れば
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此一言さへおもいでらるゝを、無情つれなかかりしも我が為、厳しかりしも我が為、すゑかれとて尽くし給ひしを、思ふも勿躰なきは伯母君のことなり。
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勘太郎は三日にあげず来て催促する。ばばは中に居て万作には「無情なさけねい事をしなさんな」と諫める。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
盛宴せいゑんもよふすときは無情むじゃう行爲しこなしともおもはれうによって。