-
トップ
>
-
無情
>
-
むじょう
バナナの
皮も、つえも、いまさら
河水の
無情なことを
悟りました。そして、これからどうなることだろうと
思っていました。
民部はものをいわなかった。小文治も
黙然とふかい
息をつくのみだった。蔦之助もまた
暗然と言葉をわすれて、
無情な
星のまたたきに
涙ぐむばかり……
夜になると、
遠くで
獣物のほえる
声と、
永久に
黙って
冷たく
輝く
星の
光と、いずこへともなく
駆けてゆく、
無情の
風の
音を
聞いたばかりであります。
とにかく、春もくれかかる
東海道の
辻には、そのうわさが、なにかしら、人に
無情を思わせた。
広い
野原は、
雪におおわれていました。
無情な
風が、わが
世顔に、
朝から
夜まで、
野原の
上を
吹きつづけています。
と——思うまに菊池半助の
無情な
刃は、
颯然と、
伊那丸の
襟もとへおちた。
「なにも
悪いことをしないじゃないか。」と、
幸吉は、つくづく
叔父さんの
顔を
見て、どうしてこの
哀れな
犬だけに
無情なことをするのだろう、ほかの
犬には
南の
方から
吹いてくるやさしい
風は、どの
木にも
草にもしんせつで、
柔和でありましたけれど、
北の
方から
吹いてくる
風は、
小さいのでも
大きなのでも、
冷酷で、
無情で
さすがに、
無情の
吹く
風ですら、
人間の
心のあさましさにあきれてしまったように、さも
腹だたしげに、
強く
強く
吹いて、
道の
上の
砂塵をまいて
人間を
困らしてやろうとしました。
ねずみはその
話をきいて、このバケツは、
自分の
子供の
時分に、
水を
飲もうとして
落ちたときに、まだぴかぴか
光っていばっていて、
無情であったのだということを
思い
出しました。
竹の
棒や、
朽ちかかった
杭のようなものや、
割れた
煉瓦などが
積み
重ねられてあって、せっかく、
芽を
出したけれど、
柔らかな
頭を、それらの
無情な
物体にくじかれて、
曲がりくねって、わずかに