無情つれなき)” の例文
町の者母の無情つれなきを憎み残されし子をいや増してあわれがりぬ。かくて母のはかりごとあたりしとみえし。あらず、村々には寺あれど人々の慈悲めぐみには限あり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いとおぼしめさばお取極とりきくださりませ、此家こゝ貴郎あなたのおうち御座ござりまするものなんとなりおぼしめしのまゝにとやすらかにはひながら、萬一もしそのにてりたらばと無情つれなきおもひ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゑゝいつもの通りの心根と遣る瀬なき思ひを眼に集めて、少し涕の恨み顏、何を憎んで其やうに無情つれなきそぶりは見せらるゝ、言ひたい事は此方にあるを、餘りな人とこみ上るほど思ひに迫れど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゑゑいつもの通りの心根とる瀬なき思ひを眼に集めて、少し涙の恨み顔、何を憎んでそのやうに無情つれなきそぶりは見せらるる、言ひたい事は此方こなたにあるを、余りな人とこみあぐるほど思ひに迫れど
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぬやうにらずがほ信如しんによのつくるに、ゑゝいつもとほりの心根こゝろねなきおもひをあつめて、すこなみだうらがほなににくんでそのやうに無情つれなきそぶりはせらるゝ、ひたいこと此方こなたにあるを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わきかへるなみだ人事ひとごとにして御不憫おいとしぢやうさま此程このほどよりのおわづらひのもとはとはゞなにゆゑならず柔和おとなしき御生質たちとてくちへとてはたまはぬほどなほさらにいとほしおこゝろ中々なか/\ふやうなものにはあらずこのふみ御覽ごらんぜばおわかりになるべけれど御前おまへさま無情つれなき返事へんじもしあそばされなばのまゝに居給ゐたまふまじき御决心ごけつしんぞと
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ちしもの此文このふみにはなん文言もんごんどういふふうきてるにや表書おもてがきの常盤木ときわぎのきみまゐるとは無情つれなきひとへといふこと岩間いはま清水しみづ心細こゝろぼそげにはたまへどさても/\御手おてのうるはしさお姿すがたは申すもさらなり御心おこゝろだてとひお學問がくもんどころなき御方おかたさまにおもはれてやとはよもやおほせられまじ深山育みやまそだちのとしてくらものになるこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)