“嫌”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
きら38.4%
いや37.7%
きらい10.0%
ぎら2.9%
きれ2.7%
1.6%
きらひ1.6%
1.3%
いと0.9%
ぎらい0.5%
(他:12)2.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は自分の意のままに父のきらいな外国語を修め始めようとした少年の日から、既にもう父の心にそむき去ったものである。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何よりも彼等は、浪漫派の上品な甘ったるさと、愛や人道やに惑溺わくできしている倫理主義を、根本的にきらったのである。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
「師匠の芸の神髄をつかんだ、と思ったのは真似まねだけだったのか——師匠は、女団洲なんて、いやだったろうなあ。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いや、お約束やくそくなるにうたにてはいやよ、ごむ人形にんぎやうげまじとかしらをふるに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
又ブリュー・ブラックの性来きらいな余は、わざわざセピヤ色の墨を買って来て、遠慮なくペリカンの口を割ってました。
余と万年筆 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まさに洋燈を取って車の台になげうたむとする、めじりさがったのはまむしよりきらいな江戸ッ肌。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そういう負けずぎらいな母がおようさんのあとにくると、父は急にめた人のようになって、為事にも身を入れ出した。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
ベートーヴェンも最初は耳疾を隠していたが、ついには社交を断念して、故意に「人ぎらい」にならなければならなかった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
「口のへらねえ野郎だ」松田は手を止めて栄二を睨みつけた、「いつでもひとをへこましゃあがる、そんなにおれがきれえなのか」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
幸「ウン余り外へ出るのがきれえで、芝居は厭だ花見は厭だといって、うちに居て草双紙を見るのがいてえんだ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いまもおまうしたけれどそれこそさびしく、やにりて母樣かあさまこひしかるべし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不思議ふしぎゑんのないひとゑんがあるか馬鹿ばからしきほどいてゆくがやな氣持きもち
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「疑ふ、疑はんと云ふのは二の次で、私はその失望以来この世の中がきらひで、すべての人間を好まんのですから」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おとうとかれ性質せいしつとして、そんなちゆうぶらりんの姿すがたきらひである
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「うれしくなんかねえさ。兵隊のくせして、うだうだ、おらの膝ッこばか寝ている男なんか、おら、んだ気がするにな」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さま、おれも年ったでばな、今朝まず生れで始めで水へ入るのんたよな気するじゃ」
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところが、ロメーンズは、豕の汚臭はもとその好むところにあらず、ただこの物乾熱よりも湿泥を好み、炎天に皮膚の焼かるるをいとうて泥に転がる。
えたけるのを、小六は、耳にいといながら、手についている鉄砲を、ひじへ上げて云った。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初め抽斎は西洋ぎらいで、攘夷に耳をかたぶけかねぬ人であったが、前にいったとおりに、安積艮斎あさかごんさいの書を読んで悟る所があった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その兄の派出好はでずきで勉強ぎらいであった昔も眼の前に見えるようであった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「うん。お前えも、お文に負けなえからなあ。百姓やになつたんだべよ。」
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
「百姓やになった。」——健は集ってきた友達に云った。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「寒くなつた。もう雪だべ。えやだな、これからの北海道つて! 穴さ入つた熊みたいによ。半年以上もひと足だつて出られないんだ——嫌になる。」
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
「工場さ入るんだ。——伯母小樽にいるしな。……んでもな、健ちゃ、俺あれだど、百姓えやになったとか、ひと出世したいとか、そんな積りでねえんだからな。——阿部さんどよく話したんだども、少しな考えるどこもあるんだ……」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「そういう不作法なことは、おれはれえだ。あくまで錠前を外して開くんだ」
笑はれても構はない、大きく取つて看板に出たら宜いな、お前は嫌やかへ、嫌やのやうな顏だものと恨めるもをかしく、變な顏にうつるとお前にらはれるからとて美登利ふき出して
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
長崎へ行って新しい文化に目が開くと、更に日本の現状があきたらなくなってくる。
青年の天下 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
わしやちくなんざあいふなきれえでがすから、どこぢやがあせんお内儀かみさん、よるつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
の通りの御意気込み、其れに旦那様だんなさまも、梅も余りらひして居る中に、年を取り過ぎる様なことがあつてはと云ふ御心配で御座いましてネ、此頃も奥様の御不在の節、私を御部屋へ御招おまねきになりまして、雪の紀念かたみの梅だから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
この歌の下の巻に、姫がはづかしき姿を憐むあまり布とりいでゝ恵みしものある、これ亦口碑に拠るこの時すでに姫の心狂じて、たゞちにそを棄て去りしといふ、そのせきを逸するのけんあるものから、かくはことわりおくのみ。
都喜姫 (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つながれていた鎖を、思い出の苦痛を、愛する面影やけんお悪すべき面影の幻を、のがれてしまったことは、いかにうれしいことだろう。
阿爺おとッつぁんおらこのしまやァだ」と、毎々阿娘おむすの苦情が出る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)