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嫌
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きら
ふりがな文庫
“
嫌
(
きら
)” の例文
一人でこうしていると、寂しくって寂しくって、たまらない! こうしてあやまっているんだから、俺をそんなに
嫌
(
きら
)
わなくたって——
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
この花粉には色があって、それが着物に
着
(
つ
)
くと、なかなかその色が落ちないので困る。ゆえに、人によりユリの花を
嫌
(
きら
)
うことがある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
この
頃
(
ころ
)
の
人
(
ひと
)
はすべて、あまり
自分
(
じぶん
)
の
生活
(
せいかつ
)
が
歌
(
うた
)
に
現
(
あらは
)
れるといふことを
嫌
(
きら
)
つたので、さういふふうなのを
無風流
(
ぶふうりゆう
)
だとしりぞけてゐました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「こんなお
婆
(
ばあ
)
ちゃんじゃ、
嫌
(
きら
)
い」とN子はぼくの頸にぶら下がったまま、ぼくの
膝
(
ひざ
)
に坐り、
白粉
(
おしろい
)
と紅の顔をぼくの胸におしつけます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
わざと江戸っ子を使った叔父は、そういう種類の言葉を、いっさい家庭に入れてはならないもののごとくに
忌
(
い
)
み
嫌
(
きら
)
う叔母の方を見た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼の父は
神奈川
(
かながわ
)
にある店の近くにアトリエを建ててくれるはずだったが、彼女は物堅い旧家の
雰囲気
(
ふんいき
)
のなかへ入って行くのを
嫌
(
きら
)
って
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
が、
根
(
ね
)
が
負
(
まけ
)
ず
嫌
(
きら
)
ひでもあつたし、またさうなると、今までの
苦
(
く
)
心
努
(
ど
)
力の報いられなかつた悔しさから、
成功
(
せいこう
)
への
要求
(
ようきう
)
が
逆
(
ぎやく
)
に
強
(
つよ
)
くなつた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
成り立ったり破れたりするものではあるまい、少くとも自分は、なつかしい初恋の人をそう云う功利的な理由で
嫌
(
きら
)
いにはなれない
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「メロンはもうないよ、お前の分は……」と、ルピック夫人はいう——「それに、お前はあたしとおんなじで、メロンは
嫌
(
きら
)
いだね」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
食物の
好
(
す
)
き
嫌
(
きら
)
ひと云ふ事は一家族の中にさへ有る事故、異りたる國民、異りたる
人種
(
じんしゆ
)
の間に於ては
猶更
(
なほさら
)
甚しき
懸隔
(
けんかく
)
を見るものなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
嫌
(
きら
)
ひ鎌倉の
尼寺
(
あまでら
)
へ夜通の
積
(
つも
)
りにて行れるなり出入の
駕籠舁
(
かごかき
)
善六といふが
強
(
たつ
)
ての頼み今夜は
茲
(
こゝ
)
に泊られしなりと聞かぬ事まで
喋々
(
べら/\
)
と話すを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さうせねばいけなかつたのです。しかし、わたしにはそれが出来ません。わたしはほんたうのことが好きです。嘘は
嫌
(
きら
)
ひなのです。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
『あなた
方
(
がた
)
の
中
(
なか
)
にも、
人間
(
にんげん
)
が
好
(
す
)
きなものと
嫌
(
きら
)
いなもの、
又
(
また
)
性質
(
せいしつ
)
のさびしいものと
陽気
(
ようき
)
なものと、いろいろ
相違
(
そうい
)
があるでしょうね?』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その
上
(
うへ
)
個人
(
こじん
)
には
特殊
(
とくしゆ
)
の
性癖
(
せいへき
)
があつて、
所謂
(
いはゆる
)
好
(
す
)
き
嫌
(
きら
)
ひがあり、
甲
(
かふ
)
の
好
(
この
)
む
處
(
ところ
)
は
乙
(
おつ
)
が
嫌
(
きら
)
ふ
處
(
ところ
)
であり、
所謂
(
いはゆる
)
蓼
(
たで
)
喰
(
く
)
ふ
蟲
(
むし
)
も
好
(
す
)
き
好
(
ず
)
きである。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
一方では季題や
去
(
さ
)
り
嫌
(
きら
)
いや打ち越しなどに関する連句的制約をある程度まで導入して進行の沈滞を防ぎ楽章的な形式の斉整を保つと同時に
俳諧瑣談
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お婆さんは首を振って、「捨さんの学校は
耶蘇
(
やそ
)
だって言うが、それが少し気に入らない。どうもあたしは、アーメンは
嫌
(
きら
)
いだ」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
文壇の表面に立って居る人は常に流行の
魁
(
さきがけ
)
におる人である。青年には常に古いことが
嫌
(
きら
)
われる。私は
敢
(
あえ
)
て文壇の表面に立とうとは思わない。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そしてもちろんそのほうがよかった。なぜなら、クリストフは人に世話をやかれることが
嫌
(
きら
)
いだったから。でも彼は夕食の招待を承諾した。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『
私
(
わたし
)
は
所有
(
あらゆる
)
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
を
驗
(
しら
)
べました、
堤防
(
どて
)
も
試
(
み
)
ました、それから
垣
(
かき
)
も』と
云
(
い
)
ひ
足
(
た
)
して、
鳩
(
はと
)
は
愛
(
あい
)
ちやんには
關
(
かま
)
はず、『けど
蛇
(
へび
)
は!
誰
(
だれ
)
でも
嫌
(
きら
)
ひだ!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
かてて加えて、どこの馬の骨だか知れないような相手と、わけのわからない場所をうろつくのは、だい
嫌
(
きら
)
いだよと言い足した。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
刺身
(
さしみ
)
の
嫌
(
きら
)
いな者は医師よりいかに
刺身
(
さしみ
)
の消化よきこと、
滋養分
(
じようぶん
)
の多きことを説かれても、何とかけちをつけて毒でもあるかのごとくけなす。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
然し、間が
言
(
ことば
)
を尽しても貴方が聴かんと云ふ、僕の
言
(
ことば
)
を
容
(
い
)
れやう道理が無い。又間を
嫌
(
きら
)
うた以上は、貴方は富山への売物じや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
トレープレフ (小さな花の弁をむしりながら)好き——
嫌
(
きら
)
い、好き——嫌い、好き——嫌い。(笑う)そうらね、おっ母さんは僕が嫌いだ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
嫌
(
きら
)
つて——沢山の詩や文章を書いて——超人といふものを夢に見て——妹さんに看護されて——そして気が狂つてお亡くなりになりましたわ。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
もし
或
(
あるい
)
は、
強
(
し
)
いてこれを批判するものがありとすれば、それは単なる趣味の
好悪
(
こうお
)
、個人としての好き
嫌
(
きら
)
いにすぎないだろう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
これらは
汚
(
きた
)
ないことのお
嫌
(
きら
)
いな水の神を
怒
(
いか
)
らせて、大いに
暴
(
あば
)
れていただくという趣意らしく、もちろん日本に昔からあったまじないではない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それがいつ
訊
(
たず
)
ねても同じことなので、三度に一度は私ということを知ってわざと
嫌
(
きら
)
ってそういわしているのかも知れないと疑ってみたりした。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
外
(
ほか
)
のこととは
訳
(
わけ
)
が
違
(
ちが
)
い、あたしゃ
数
(
かず
)
あるお
客
(
きゃく
)
のうちでも、いの一
番
(
ばん
)
に
嫌
(
きら
)
いなお
人
(
ひと
)
、たとえ
嘘
(
うそ
)
でも
冗談
(
じょうだん
)
でも、
気
(
き
)
の
済
(
す
)
まないことはいやでござんす
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
殊
(
こと
)
に、その
引手茶屋
(
ひきてぢやや
)
には、
丁度
(
ちやうど
)
妙齡
(
としごろ
)
になる
娘
(
むすめ
)
が
一人
(
ひとり
)
あつて、それがその
吉原
(
よしはら
)
に
居
(
ゐ
)
るといふ
事
(
こと
)
を、
兼々
(
かね/″\
)
非常
(
ひじやう
)
に
嫌
(
きら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
娘
(
むすめ
)
は
町
(
まち
)
へ
出度
(
でた
)
いと
言
(
い
)
ふ。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
料理の時手数をかけるのが
嫌
(
きら
)
いな人は胃と腸とに大手数をかけさせる事が好きな人だ、我が手足を
憐
(
あわれ
)
む事を知って胃腸を憐む事を知らない人だ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
両部神道が起って、神様が肉の
穢
(
けが
)
れを忌み給うという思想が盛んになっては、彼らは一層
嫌
(
きら
)
われるの運命に陥りました。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
と彼は思っているのであろう。
悲憤慷慨
(
ひふんこうがい
)
ということが
抑〻
(
そもそも
)
嫌
(
きら
)
いなのだ。涙をすらうっかりは買わない内蔵助なのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
嫌
(
きら
)
いぢやありません、
好
(
す
)
きですから
恐
(
おそ
)
れてゐるのです、
毆
(
たゝ
)
くに
忍
(
しの
)
びません、そして
飼
(
か
)
うことは
懲々
(
こり/\
)
してゐるんです」
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
古
(
ふる
)
いも
新
(
あた
)
らしいも、
愚老
(
ぐらう
)
は
洒落
(
しやれ
)
なんぞを
申
(
まを
)
すことは
嫌
(
きら
)
ひでございます。
江戸
(
えど
)
つ
子
(
こ
)
のよくやります、
洒落
(
しやれ
)
とかいふ
言葉
(
ことば
)
の
戲
(
ざ
)
れ
遊
(
あそ
)
びは、
厭
(
いや
)
でございます。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
今
(
いま
)
でも
世界中
(
せかいちう
)
の
鴉
(
からす
)
の
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
には、その
時
(
とき
)
の
火傷
(
やけど
)
のあとが
真赤
(
まつか
)
に
残
(
のこ
)
つてゐるといふ。
人
(
ひと
)
に
嫌
(
きら
)
はれながらも、あの
憐
(
あは
)
れなペンペのために
泣
(
な
)
いてゐるのだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
さすがにその場へ打倒れる醜さを
嫌
(
きら
)
い、席まで飛び込んで師の蔭に打伏したが、その時はモウ息が絶えていたのです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は生れつきするめが
嫌
(
きら
)
いであり、いまなお嫌いで、酒を飲みにいっている店でするめを焼き始めでもすれば、待ったなしに退散するくらいである。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして、さまざまに姿を変えた刑事たちは、公園の四方から、住宅、商店、飲食店の
嫌
(
きら
)
いなく、ほとんどシラミつぶしに捜索の輪をせばめて行った。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
温藉
(
おんしゃ
)
で美しいものを持っているにしても、シューマンやヴォルフの才能に欠けていたために、
甚
(
はなは
)
だ平凡らしく見える
嫌
(
きら
)
いがあり、やや魅力に乏しい。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
と、この紳士は、少し
飜訳
(
ほんやく
)
口調の
嫌
(
きら
)
いあるとはいえ、先ずそんなに間違いのない日本語で梶に
詫
(
わ
)
びてから、ヨハンというハンガリヤ名の名刺を出した。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
貧弱な無勢力なものだと思って、
嫌
(
きら
)
いになったって、そうなの。もっともだけれど少しくちおしいね。昔の宮様のお嬢様で、東の姫君という方にね私を
源氏物語:45 紅梅
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「それから手前どもでも、
春水
(
しゅんすい
)
を出そうかと存じております。先生はお
嫌
(
きら
)
いでございますが、やはり俗物にはあの辺が向きますようでございますな。」
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それのみならず
今日
(
けふ
)
は
又
(
また
)
、
凡
(
およ
)
そ世の中で
何
(
なに
)
よりも
嫌
(
きら
)
ひな
何
(
なに
)
よりも
恐
(
おそろ
)
しい機械体操のある事を思ひ出したからである。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さうして、一番
脆
(
もろ
)
いやうだ。
生命
(
いのち
)
といふやつは、心臓のすぐ近くにあるんだな。末子さん、うちの細君はね、わたしが病気になるのを、それや
嫌
(
きら
)
つてね。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「……でもね、おじいさん。……あたしたちなら、ひとの親切を感じたら、どうしても
嫌
(
きら
)
いでないかぎり、我慢して食べるようなことだってしますわね」
キャラコさん:10 馬と老人
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
尤も老人病弱者にても
若
(
も
)
し肉食を
嫌
(
きら
)
うものがあればこれに適するような消化のいい食品をつくる事に
就
(
つい
)
ては私共只今充分努力を致して居るのであります。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あれでは今に維康さんに
嫌
(
きら
)
われるやろ」夫婦はひそひそ語り合っていたが、案の定、柳吉はある日ぶらりと出て行ったまま、
幾日
(
いくにち
)
も帰って来なかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
私もまた部分的考察に走り過ぎた
嫌
(
きら
)
いがないとはいえない。私は人間に現われた本能即ち愛の本能をもっと
委
(
くわ
)
しく語ってやむべきであったかも知れない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
文三と
意気
(
そり
)
が合わねばこそ
自家
(
じぶん
)
も
常居
(
つね
)
から
嫌
(
きら
)
いだと云ッている昇如き者に伴われて、
物観遊山
(
ものみゆさん
)
に出懸けて行く……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
いや、
馬鹿
(
ばか
)
と
鋏
(
はさみ
)
は使ひやうだ、お
前
(
まへ
)
は
嫌
(
きら
)
ひだが、
己
(
おれ
)
は
嗜
(
すき
)
だ……
弥吉
(
やきち
)
や
何処
(
どこ
)
へ
往
(
い
)
つた、
弥吉
(
やきち
)
イ。弥「えゝー。長「フヽヽ返事が
面白
(
おもしろ
)
いな……さ
此方
(
こつち
)
へ
来
(
こ
)
い。弥 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
嫌
常用漢字
中学
部首:⼥
13画
“嫌”を含む語句
大嫌
上機嫌
御嫌
御機嫌伺
嫌疑
嫌厭
嫌忌
嫌気
気嫌
忌嫌
毛嫌
負嫌
去嫌
機嫌伺
好嫌
機嫌
嫌悪
御機嫌
不機嫌
嫌々
...