-
トップ
>
-
愚老
あの
時は
愚老も
不審に
思ひました。
岸和田藩のお
武士が
夜分内々で
見えまして、
主人美濃守急病で
惱んでゐるによつて
診てくれとのお
話。
勤め居たるに思はぬ人に思はれて
藪から
棒の身受の相
談其所で彼めも
途方に
暮此相談を止にして若旦那の方へ
遣て
呉と
泣付れ
愚老も不便と存ずれば
何がなして
遣り
度は思へども何を
「それがようござる。
及ばずながら
愚老が
看護して
居る
以上、
手落はいたさぬ
考えじゃ」