“此方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こちら27.3%
こなた25.4%
こっち20.2%
こつち14.9%
こち3.4%
このほう2.5%
このかた1.7%
このはう0.7%
こツち0.5%
こッち0.4%
こちとら0.4%
こっちゃ0.3%
コチラ0.3%
うち0.3%
これ0.3%
コナタ0.3%
こんた0.2%
こゝ0.2%
てまえ0.2%
こっつ0.1%
こっひ0.1%
こつとら0.1%
こな0.1%
こツちや0.1%
ほっひ0.1%
コヂ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此方こちら焚火たきびどころでい。あせらしてすゝむのに、いや、土龍むぐろのやうだの、井戸掘ゐどほり手間てまだの、種々いろ/\批評ひひやうあたまからかぶせられる。
此方こなたは愈大得意にて、ことさらしずかに歩めば、二人は遂に堪へ兼ねて、言葉をかけ、予の成功を祝せし後、「何処にて釣り候ぞ」と問へり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
「湯河原までじゃ、十五円で参りましょう。本当なれば、もう少し頂くのでございますけれども、此方こっちからお勧めするのですから。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一層いつそ此方こつちから進んで、直接に三千代みちよを喜ばしてやる方が遥かに愉快だといふ取捨の念丈は殆んど理窟を離れて、あたまなかひそんでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ロレ (傍を向きて)それはおそうせねばならぬ仔細わけが、此方こちわかってをらなんだらなア!……あれ、御覽ごらうぜ、ひめ此庵こゝにわせられた。
『さようか。いや御念入ごねんいりは結構。此方このほうも、歳のせいか、近来はとかく耳が遠い。それにな、物忘れや勘違いが多うて、閉口へいこうでござるよ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十年程此方このかた、時々、子どもの謡ふのを聞く。軍人や、洋服を着た学生を見ると「へえたいさん。ちんぽと喇叭と替へてんか」と言ふ。
三郷巷談 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此方このはうからくといへ恥辱ちじよくにもなるじつにくむべきやつではあるが、情實じやうじつんでな、これほどまでみさをといふものを取止とりとめていただけあはれんでつて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其れも長屋で、褓襁おしめの干してあるのも見えれば、厠も見えて、此方こツちでは向ふの家の暴露された裏を見せつけられてゐるのであツた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其を此方こッちから見て居ると、お糸さんが何だか斯う私の何かのような気がして、嬉しくなって、斯うした処も悪くないなと思う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『假に中學生にしたところで、態々人から借りて呉れてやつてさまされるより、此方こちとらなら先づ寢酒でも飮みますな。』
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
永「七兵衞さん薪炭を使わんか、檀家から持って来るが、炭は大分だいぶ良い炭じゃア、来て見なんせ……此方こっちゃに下駄が有るぞえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此方コチラも藤原同樣、叔母御が齋姫イツキで、まだそんな年でない、と思うてゐるが、又どんなことで、他流の氏姫が、後を襲ふことにならぬとも限らぬ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
學問はゑらからうとも何うで此方うちのお孃さまが對にはならぬ、根つから私は褒めませぬとお三の力めば、夫れはお前が知らぬから其樣な憎くていな事も言へるものの
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おや/\それくお入来いでだ、さア/\此方これへ、うも御近所ごきんじよながら、御無沙汰ごぶさたをしました、貴方あなた毎日まいにちくおかせぎなさるね朝も早くおきて、だから近所でもお評判へうばんうごすよ。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
この岡の崎にも、見おろす谷にも、其から二上山へかけての尾根ヲネ尾根にも、ちらほら白く見えて、花の木がゆすれて居る。山の此方コナタにも小櫻の花が、咲き出したのである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
「何の、やくたいもない心配じゃ。拙者にまだいささかのたくわえもある。それが気詰まりと思わるるならば此方こんた、三味線を引かっしゃれ。身共わてが小唄を歌おうほどに……」
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
少し遅くはなりましたが、もうじきに羽生村だと云う事だから、くことにしよう、しか彼方あちらすぐに御飯をたべるも極りが悪いから、此方こゝで夜食をしてこうと云うので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その破目が大層で、此方てまえへ閉ってます引手の処なんざ、桟がぶらさがって行抜けの風穴かざあなで。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此方こっつの家の爺つあま。病気はどうでがす?」
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
商「エーイ主人がね此方こっひえようとすう、てもえ此方ほっひけようとする時にほろがりまして、主人の頭とうわしの頭とぼつかりました処が、石頭ゆいあさまいさかった事、アハアしべてえや」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「白ばくれなさんな。さつきから默つてゐりや圖圖しく構へやがつて——手前なんぞに女を匿まはれて此方こつとらの商賣が出來るものか。」
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
つけたのサ又此方こなさんも其金はどうやらものした樣だがものした物ならものするは私が商賣ぢやサアきり/\と渡さぬか命までを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しアヽーうもこのふすまなんどす、銀錆ぎんさびで時代が十ぶんに見えますな、此方こツちや古渡更紗こわたりさらさ交貼まぜはりで、へえーうも此位このくらゐお集めになりましたな、へい、いたゞきます
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
商「エーイ主人がね此方こっひえようとすう、てもえ此方ほっひけようとする時にほろがりまして、主人の頭とうわしの頭とぼつかりました処が、石頭ゆいあさまいさかった事、アハアしべてえや」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
フン! 他人フト辛口カラグヂきグシマネ自分のめしの上のハイホロガネガ。十年も後家立デデ、彼方アヂ阿母オガだの此方コヂ阿母オガだのガラ姦男マオドコしたの、オドゴトたド抗議ボコまれデ、年ガラ年中きもガヘデだエ何なるバ。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)