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此方
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このかた
ふりがな文庫
“
此方
(
このかた
)” の例文
十年程
此方
(
このかた
)
、時々、子どもの謡ふのを聞く。軍人や、洋服を着た学生を見ると「へえたいさん。ちんぽと喇叭と替へてんか」と言ふ。
三郷巷談
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
白蓮さんは伝右衛門氏のことを、
此方
(
このかた
)
が、此方がといわれるので、何となく御主人へ対して気の毒な気がして返事がしにくかった。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
君たちと一緒になってから
此方
(
このかた
)
、ずいぶんたくさん人の死ぬのを見て来たからね。だが一つ二つ君たちに言うことがある。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
それを何事とも知らず無性に
嬉
(
うれ
)
しがって御受けした
此方
(
このかた
)
人は皆死ぬという由(ベレゴーの『シェー・レー・アシャンチー』一九〇六年板一九八頁)
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
二人は知り合になってから
此方
(
このかた
)
、今のような心を新たにするような寂しさを味わった事はなかった。折々二人は顔を見合せて、妙な心持をしている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
▼ もっと見る
先生、
此方
(
このかた
)
が御面会を願われます、先生、お使に行って参りましょう——一向
可笑
(
おか
)
しゅうない。先生というて貰おう。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「運転手の過失もありますが、どうも
此方
(
このかた
)
が自分で扉を、開けたやうな形跡もあるのです。扉さへ
開
(
ひら
)
かなかつたら、死ぬやうなことはなかつたと思ひます。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
娘時代から
此方
(
このかた
)
十何年来
溜
(
たま
)
っている話題の数々を考えていたのであったが、さて、その日になって、泊りに来てみると、姉はこの間じゅうの、———と云うよりは
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
数週間
此方
(
このかた
)
セルギウスは思案にくれてゐる。今のやうな地位に自分がなつたのは、果して正しい行であらうかと思案するのである。勿論これは故意にしたのではない。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
「オヽ、梅子」とお加女は顧み「お前さんは
未
(
ま
)
だお
初
(
は
)
つに御目に
懸
(
かゝ
)
るんでしたネ、
此方
(
このかた
)
が
阿父
(
おとつさん
)
の一方ならぬ御厚情に
預
(
あづか
)
る、海軍の松島様で——
御不礼
(
ごぶれい
)
無い様に
御挨拶
(
ごあいさつ
)
を」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
狐がお屋敷の
雞
(
とり
)
をとったんでげすって。御維新
此方
(
このかた
)
ア、物騒でげすよ。お稲荷様も
御扶持放
(
ごふちばな
)
れで、油揚の
臭
(
におい
)
一つかげねえもんだから、お屋敷へ迷込んだげす。
訳
(
わけ
)
ア
御
(
ご
)
わせん。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
所
(
ところ
)
が一二
年
(
ねん
)
此方
(
このかた
)
は
全
(
まつた
)
く
自他
(
じた
)
の
差違
(
さゐ
)
に
無頓着
(
むとんぢやく
)
になつて、
自分
(
じぶん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
樣
(
やう
)
に
生
(
うま
)
れ
付
(
つ
)
いたもの、
先
(
さき
)
は
先
(
さき
)
の
樣
(
やう
)
な
運
(
うん
)
を
持
(
も
)
つて
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
へ
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たもの、
兩方共
(
りやうはうとも
)
始
(
はじめ
)
から
別種類
(
べつしゆるゐ
)
の
人間
(
にんげん
)
だから
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうだ其方が君の為になる。金ならいくらでも出すんだからね——君は
此方
(
このかた
)
を知らないね。有名な園原雪枝さんだよ……そうして僕は酒井という者だ。酒井男爵の次男のね……」
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
近頃
頻々
(
ひんぴん
)
として
行
(
おこな
)
はれる、
性
(
たち
)
の惡い押込、強盜、
家後切
(
やじりきり
)
は、どう考へても一二年
此方
(
このかた
)
のさばり返つた十二支組の仕業に相違ありませんが、その十二支組の仲間と思はれるのが、斬られたり
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二
年
(
ねん
)
此方
(
このかた
)
、
地方自治體
(
ちはうじちたい
)
はやう/\
饒
(
ゆたか
)
になつたので、
其管下
(
そのくわんか
)
に
病院
(
びやうゐん
)
の
設立
(
たて
)
られるまで、
年々
(
ねん/\
)
三百
圓
(
ゑん
)
づつを
此
(
こ
)
の
町立病院
(
ちやうりつびやうゐん
)
に
補助金
(
ほじよきん
)
として
出
(
だ
)
す
事
(
こと
)
となり、
病院
(
びやうゐん
)
では
其
(
そ
)
れが
爲
(
ため
)
に
醫員
(
いゐん
)
を
一人
(
ひとり
)
増
(
ま
)
す
事
(
こと
)
と
定
(
さだ
)
められた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
治承三年五月、熊野參籠の
此方
(
このかた
)
、日に増し
重
(
おも
)
る小松殿の
病氣
(
いたつき
)
。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「運転手の過失もありますが、どうも
此方
(
このかた
)
が自分で扉を、開けたような形跡もあるのです。扉さえ
開
(
ひら
)
かなかったら、死ぬようなことはなかったと思います。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それで、もし
船室昇降口室
(
コムパニヨン
)
にあの海図がなかったなら、私たちは、その島が海中から生じてから
此方
(
このかた
)
そこにかつて碇泊した最初の者であると思ったかも知れなかった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
「あのね、
此方
(
このかた
)
はね、学生さんなのよ、商業学校の学生さんなのよ。そうしてオリンピックの選手なんですって、ですから心臓はお強いんですわ。ね、貴郎いらっしゃいよ。そして手伝って下さいよ」
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
此方
(
このかた
)
が何さ、
阿父様
(
おとうさま
)
からお話があった古屋さんの何さ。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「あら、
一寸
(
ちょっと
)
、
此方
(
このかた
)
が
如何
(
どう
)
かなすったの?」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
なくしてから
此方
(
このかた
)
よ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“此方”で始まる語句
此方様
此方側
此方衆
此方面
此方等
此方向
此方持
此方組
此方樣
此方人等