“阿父”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おとっ29.6%
おとう22.5%
おとつ15.5%
おやじ8.5%
おやぢ7.0%
おとっさん2.8%
おとうさん2.8%
おと2.8%
おとつさん1.4%
とう1.4%
おつとさん1.4%
おとっつ1.4%
おとッ1.4%
とうさま1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「この岩の上です。角川の阿父おとっさんの屍体がよこたわっていたのは……。」と、巡査が指さして教えた。忠一は粛然として首肯うなずいた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
後で叱るなどとは父か所天おっとで無くては出来ぬ事だ、余「其の人は誰ですか。私の叔父ですか」秀子「イイエ、阿父おとう様では有りません」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
今夜のクリスマスを以て其の開校式を挙げた積りのです、——兼吉君のことは花さん、既に御聞になつたでせう、兼吉君の阿父おとつさんが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
その酒屋の一人娘がワーワー泣いて阿父おやじさんに叱られていたが、小さなアンポンタンの胸は、父娘おやこのあらそいを聞いてドキンとした。
そのぼんやりし過ぎた事を言つたのはタゴールの賢い所以ゆゑんで、彼は日本の阿父おやぢ阿母おふくろが余り理想的で無い事をよく知つてゐるのだ。
「なに好いよ。阿父おとっさんが手紙で聞き合せるから——悲しがる事はない。叱ったんじゃない。——時に晩の御飯はあるかい」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此の壁にけてある画にある様に、旅の宿屋の馬小屋で馬の秣桶かひばをけを、臥床ねどこになされたのです、阿父おとうさんは貧しき大工で、基督も矢張り大工をなされたのです——く御聴きなさい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
女房に子が出来た場合には、たとい兄弟が五人あっても阿父おとっつぁんと呼ばれるのは一番の兄さんだけで他は決して父と呼ぶことを許されない。おじというて居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
昨夜ゆうべ阿父おとつさん阿母おつかさんと話していらしつたんですよ、早く其様さうめて松島様の方へ挨拶あいさつしなければ、此方こちらも困まるし、大洞おほほらの伯父さんも仲に立つて困まるからつて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そら、媒人なこうどでしょううちは? だから、阿父とうさんも阿母かあさんも早めに行ってないと不好いけないって、先刻さっき出て行ったのよ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お前の阿父おつとさんは此の秩父ちゝぶの百姓を助けると云ふので鉄砲にたれたのだが、お前の量見は其れよりも大きいので、如何どんな災難がいて来ようも知れないよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「ああ、阿父おとっつぁん、もうそれは言わないで下さい!」と、女地主はすぐ話につりこまれて、「つい二週間まえに百五十ルーブリの余も払わされて、おまけに役人に心附までしたのですよ。」
「で、うちも下女一人ほか使うて居らん。手不足じゃ。手不足のとこで君の世話をするのじゃから、客扱いにはされん。そりゃ手紙で阿父おとッさんにもう言うて上げてあるから、君も心得てるじゃろうな?」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
こんな事なら琴の代りに洋琴ピアノでも習って置けば善かった。英語も昔のままで、今はおおかた忘れている。阿父とうさまは女にそんなものは必要がないとおっしゃる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)