“首肯”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うなず55.6%
しゅこう20.2%
うなづ10.8%
うけが3.1%
しゆこう2.2%
うな1.8%
うなずき1.8%
うなずい0.9%
うなづき0.9%
うつむ0.4%
うなずか0.4%
うなづか0.4%
うべな0.4%
しゆかう0.4%
シュコウ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この雪は先年劒へ登った時よりもかえって少ないように思われたが、地獄谷から室堂方面に眼を放つと今年の雪の多いことが首肯うなずかれる。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
しかし「大道」と「道ばた」とに材料の出所を二分してそれによって「社会的価値」を区別しようとする材料一元論も首肯しゅこうできません。
芝居として、舞台の上で見ては、変化があつて綺麗であるかも知れないが、根本的に人を首肯うなづかせるやうなまことの処がない。
社会と自己 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
この二字の前に怪訝けげんな思いをしなければならなかった津田は、一方から見て、またその皮肉を第一に首肯うけがわなければならない人であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仮令面前にては小生の言葉に首肯しゆこうすとも、背後に於いては矢張り嘲笑し、遂にはタアマイエル発狂せりとまで申すに至ることと存じ候。
十分ばかりすると、千代子は百代の耳に口を付けて、「百代さんあなた宵子さんの死顔を見て」と聞いた。百代は「ええ」と首肯うなずいた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文作は青くなったり、赤くなったりして、首肯うなずき首肯うなずき聞いていたが、そのうちに立っても居てもいられぬようにソワソワし始めた。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二郎は首肯うなずいたまま、泣く泣く坂を下りて行ってしまう。姉は爪先だてて見送っている。二人は幾度も幾度も見返えりつ、見送りつ、月の光にほんのりと姿は霞むが如く見えずなるまでも……
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
相見るたびに少年少女ながら二人はほのかな微笑と首肯うなづきとの眼を交はし、唇を動かした。私は厚かましく彼女の教室をのぞき、彼女の垂髪おさげに触れたり、机のふたをはぐつてお清書の点を検べたりした。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
良人の其人も目は泣きながら、嬉しそうに首肯うつむかれたのでした。『乃公おれはもう何んにも思い置く事はねえよ。村に帰ったら、皆さんへ宜敷く云って呉れるがいい。』
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
しかもその瓦作りを見るならば、如何に沖縄の瓦が瓦として立派なものであるかを首肯うなずかれるでしょう。仕事は素晴らしいのです。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
自分にも首肯うなづかれた。
血を吐く (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
この傾向を首肯うべないつつ、文芸委員のするという選抜賞与の実際問題に向うならば、公平にして真に文界の前途を思うものは、誰しもその事業に伴う危険と困難とを感ずべきはずである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
月照船頭に立ち、和歌を朗吟して南洲に示す、南洲首肯しゆかうする所あるものゝ如し、遂に相ようして海にとうず。次郎等水聲起るを聞いて、倉皇さうくわうとして之を救ふ。月照既に死して、南洲はよみがへることを得たり。
マトイアテルヨリハ、ワガ思念開陳シネンカイチン体系タイケイスジミチチテリ、アラワナル矛盾ムジュンモナシ、一応イチオウ首肯シュコウアタイスレバ、我事ワガコトオワレリ、白扇ハクセンサットヒライテ、スネノハラウ。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)