“うつむ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウツム
語句割合
俯向84.3%
11.7%
0.9%
低頭0.6%
俯伏0.5%
垂頭0.5%
下俯0.2%
仰向0.2%
俛向0.2%
俯頭0.2%
0.2%
内向0.2%
打伏0.2%
真俯向0.2%
首肯0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「はい」とおしのは俯向うつむいて答えた、「おめでとう」それからようやくのことで続けた、「どうぞ今年も、よろしくお頼み申します」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
お定は顏を赤くしてチラと周圍を見たが、その儘返事もせずうつむいて了つた。お八重は顏をしかめて、忌々し氣に忠太を横目で見てゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「駄目だよ。旦那だんなが気がないから」さくと云うその男はうつむいたまま答えた。「もう楮のなかから小判の出て来る気遣きづかいもないからね」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
若い娘の低頭うつむき勝に歩を運んでゐるのを見たばかりではなく、思ふさま泣いて泣いて泣腫らした眼と、いくらか腫れぼつたくなつてゐる眼頭と、乱れ勝になつてゐる髪とを見たであらう。
百合子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
真実ほんとにこうおもうて来たわ、と言葉をしばしとどめて十兵衛が顔を見るに、俯伏うつむいたままただはい、はいと答うるのみにて
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
てんいまやかの朝日島あさひたうくるしめる櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ誠忠せいちうをばつひ見捨みすてなかつたかと、兩人ふたり不測そゞろ感涙かんるいながるゝやうおぼえて、わたくし垂頭うつむき、武村兵曹たけむらへいそうかほ横向よこむけると、此時このとき吾等われらかたはら
課長は、面目めんぼくなげに下俯うつむいた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
クルクルと体を旋回し、脇腹を両手で抑えた浮藻は、やがて床の上へ仰向うつむけに倒れた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はゞせま黒繻子くろじゆすらしいおびひくめにめて、むね眞直まつすぐにてて、おとがひ俛向うつむいて、額越ひたひごしに、ツンとしたけんのあるはなけて、ちやうど、わたしひだり脇腹わきばらのあたりにすわつて、あからめもしないとつたふう
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
返事もせずに俯頭うつむいてゐる。派手な新しい浴衣の肩がしよんぼりとして云ひ知らず淋しく見ゆる。まだ幾分酒のせゐが殘つてゐると見えて、襟足のあたりから耳朶みみたぶなどほんのりと染つてゐる。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
彼は涙を浮べてうつむきぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は内向うつむきて、目を閉ぢたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私は口の中でさう言つて打伏うつむいた。悲しいとも淋しいとも、何とも例へやうのない心持であつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
焦茶の中折帽を真俯向うつむけに、爪皮つまかわかかった朴歯ほおばの日和下駄を、かたかたと鳴らしざまに、その紋緞子の袴の長い裾を白足袋で緩くねて、真中の位置をずれて、ツイと軒下を横に離れたが。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
良人の其人も目は泣きながら、嬉しそうに首肯うつむかれたのでした。『乃公おれはもう何んにも思い置く事はねえよ。村に帰ったら、皆さんへ宜敷く云って呉れるがいい。』
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)