“うつぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
俯伏83.7%
5.7%
打伏2.8%
腑伏2.1%
俯向1.4%
伏臥0.7%
低頭0.7%
打俯0.7%
突附0.7%
臥伏0.7%
首伏0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
手燭の光に、俯伏うつぶせになった正吉の顔を見るなり、主人はさっと色を変えた。——そして振返ると、恐ろしそうに慄えている婢たちに
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
たった今生きた心地もなく顔をうつぶせていた癖に、次の来襲までのわずかの幕あいを互いに顔の品評をして興じていると
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
大概の死体が打伏うつぶせになっているので、それを抱き起しては首実検するのであったが、どの女もどの女も変りはてた相をしていたが、しかし彼の妻ではなかった。
夏の花 (新字新仮名) / 原民喜(著)
親分とあっしが、直ぐに出向きましたが咽喉を突いて、腑伏うつぶしている袖ノ井の傍にありやしたこの手紙を、親分がひらいて見ましたので、事情はすっかり判りやした。
そうして俯向うつぶせに地に仆れた。そうしてとうとう動かなくなった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
顏を伏臥うつぶす位にして、呼吸いきを殺して笑つて居ると、お芳は火を移して了つて、炭をついで、雜巾で火鉢の縁を拭いている樣だつたが、軈て鐵瓶の蓋を取つて見る樣な音がする、茶器に觸る音がする。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
へたやうなものはてこまつたとひはせで低頭うつぶこゝろ思案しあんにくれぬ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
乳人が姫を抱きながら少しまどろんでいるすきに、守刀を取り出して心元むなもとに刺し通し、打俯うつぶしに俯してむなしくなった。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こう言って平生から感情強い佐々木は、テーブルの上に大きな身体を突附うつぶせたかと思うと、ワッと声を揚げて泣いてしまったのだ。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
寝椅子へ額を押しあてて、ベッタリ臥伏うつぶせに寝たのである。襲衣の襟が楔形くさびがたに、深く背の方へひかれたためか、背筋まで見せて頸足が、ろくろっ首のように長くなった。そこへ髪の毛がもつれている。
怪しの館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「才さんに學資を出して貰やあせず……。」勝代は兄がややもすると、自分の樂しい理想を破らうとするのが口悔くやしくて、かう言ひ放つて、顏を見られぬやうに炬燵の上に首伏うつぶした。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)