“おじぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
叩頭44.6%
御辞儀14.1%
9.8%
御時宜8.7%
御叩頭6.5%
一揖2.2%
低頭2.2%
叮頭1.1%
御時儀1.1%
御辞宜1.1%
御辞義1.1%
御辞誼1.1%
御辭儀1.1%
挨拶1.1%
揖譲1.1%
点頭1.1%
礼拝1.1%
辞儀1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
植木が大きな声で叫ぶと、嘉助さんは持ち上らぬ頭を一寸あげて、叩頭おじぎをした積りであらう、口の中で何かまご/\云うて居た。
「あら、ちやうちやんもたの。学校がお休み………あら、さう。」れからけたやうに、ほゝゝほと笑つて、さて丁寧ていねいに手をついて御辞儀おじぎをしながら
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
愛卿の霊は趙の方を見ておじぎをしたが、それが終ると悲しそうな声を出して歌いだした。それは沁園春しんえんしゅんの調にならってこしらえた自作の歌であった。
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
権助は叮嚀ていねい御時宜おじぎをすると、静かに青空を踏みながら、だんだん高い雲の中へ昇って行ってしまいました。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人形がゆらりゆらり御叩頭おじぎをしたり、挙げた両手をぶらぶらさせながら、緩やかに廻転しながら下りて行くのは、ちょっと滑稽な感じのするものである。
雑記(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
愕然びつくりし山水をすてて此娘を視るに一揖おじぎしてり、もとの草にしてあしをなげだし、きせるの火をうつしてむすめ三人ひとしく吹烟たばこのむ
道之進はつと低頭おじぎした。
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そして私が水をいでやつた時、そつ叮頭おじぎをするのは藤野さん一人であつた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかもその驚いた顔は、声のぬしを見たと思うと、たちまち当惑とうわくの色に変り出した。「やあ、こりゃ檀那だんなでしたか。」——客は中折帽を脱ぎながら、何度も声のぬし御時儀おじぎをした。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御辞宜おじぎを能くする卑劣の樹もある。這ッて歩いて十年たてば旅行いたし候と留守宅へ札を残すような行脚の樹もある。動物の中でもなまけた奴は樹に劣ッてる。樹男という野暮は即ちこれさ。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
三沢の細君になるべき人は御辞義おじぎをして、珈琲茶碗ぢゃわんだけを取ったが、菓子には手を触れなかった。いわゆる「もう一人の女」はその珈琲茶碗にさえ容易たやすく手を出さなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
父様ととさま御帰りになった時はこうしてる者ぞと教えし御辞誼おじぎ仕様しようく覚えて、起居たちい動作ふるまいのしとやかさ、仕付しつけたとほめらるゝ日をまちて居るに、何処どこ竜宮りゅうぐうへ行かれて乙姫おとひめそばにでもらるゝ事ぞと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其所そこ下女げぢよが三じやくせま入口いりぐちけて這入はいつてたが、あらためて宗助そうすけ鄭重ていちよう御辭儀おじぎをしたうへ木皿きざらやう菓子皿くわしざらやうなものを、ひとまへいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その時悚然ぞっとして、目をふさいで俯向うつむいた——挨拶おじぎをしたかも知れない。——
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
弱虫の意気地なしが、徳とやらをもって人をなずける。雪の中を草鞋わらじ穿いて、みの着て揖譲おじぎするなんざ、惚気のろけて鍋焼をおごるより、資本もとでのかからぬ演劇しばいだもの。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
のみならず、間髪も入れずに形だけの点頭おじぎをすると、私はさつさと歩きだしてゐた。まあ、あの時の怖ろしい自責後悔、それを思つてもみて下さい。
訣れも愉し (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
三娘子は老人の方に向って礼拝おじぎしたが、それがすむと飛ぶように走ってすぐ見えなくなった。
蕎麦餅 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その時猿廻しは編笠を脱いで、恭しく辞儀おじぎをした。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)