“些”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いささ18.1%
ち16.3%
ちつ10.3%
すこ9.6%
ちっ8.9%
いささか5.0%
ちと4.9%
さ3.1%
すこし2.5%
すくな2.0%
ちよつ1.7%
いさゝ1.7%
すく1.5%
いさゝか1.5%
いさ1.5%
ちつと1.3%
ちょ1.3%
ちよい1.3%
ちっと1.1%
ちよ0.7%
ちょっ0.6%
ささ0.6%
ちッ0.4%
ちよツ0.4%
ほ0.4%
スコ0.4%
ちツ0.3%
ほん0.3%
ちい0.3%
ちよつと0.3%
わず0.3%
ちょい0.1%
や0.1%
ちった0.1%
さゝ0.1%
さゝや0.1%
しさゝ0.1%
そつ0.1%
そよ0.1%
ちゃっ0.1%
わずか0.1%
イササ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのご奉公に瑾(きず)のないようにするためには、些(いささ)かでも家政に緩みがあってはなりません、あるじのご奉公が身命を賭(と)しているように
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「字(じ)に顯(あら)はすと、些(ち)と畫(くわく)が多(おほ)い、翡翠(ひすゐ)とかいてね、お前(まへ)たち……たちぢやあ他樣(ほかさま)へ失禮(しつれい)だ……お前(まへ)なぞが欲(ほ)しがる珠(たま)とおんなじだ。」
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
噫、俺はアノ穴を見る恐怖(おそろしさ)に耐へきれなくなつて、坑道の入口から少し上の、些(ちつ)と許り草があつて女郎花(をみなへし)の咲いた所に半日寝転んだ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お勢母子(ぼし)の者の出向いた後(のち)、文三は漸(ようや)く些(すこ)し沈着(おちつい)て、徒然(つくねん)と机の辺(ほとり)に蹲踞(うずくま)ッたまま腕を拱(く)み顋(あご)を襟(えり)に埋めて懊悩(おうのう)たる物思いに沈んだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「ほんとうに、この汽車は何て長いんでしょうね。わたし些(ちっ)とも眠れないのよ。せめて新聞でも買っておいて下さればよかったのに」
少年の間、彼は全くそういう窒息的な環境に馴らされ、些(いささか)の反撥も苦悩もなく過し、十六歳の年まで読書さえ母の監視つきであった。
四方(しはう)山の中に立ちたる高さ三百尺の一孤邱(いつこきう)、段々畠の上に些(ちと)の橄欖の樹あり、土小屋(つちごや)五六其額(ひたひ)に巣くふ。馬上ながらに邱上(きうじやう)を一巡す。
その人迂(う)ならず、善く財を理し、事を計るに由りて、かかる疎放の殿を戴(いただ)ける田鶴見家も、幸(さいはひ)に些(さ)の破綻(はたん)を生ずる無きを得てけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
神には撃たれ友には誤解せらる、自(みずか)ら自己のために弁明するも些(すこし)の効なく、神の我を苦むる手は弛(ゆる)まず友の矢はますます頻(しげ)く来(きた)り注ぐ。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
些(すくな)くとも親兄弟や親戚友人なぞの意見に盲従した結婚の別れ話がめったに人事相談所に来ない。自由結婚から来た自由離婚だけが来る。
『え。渡辺様(さん)といふお友達の家に参りましたが、その方の兄さんとお親い方だとかで……アノ、些(ちよつ)とお目に懸つたんで御座います。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこにあの女をまつたく人目に觸れること無しに住はせ、その場所の不健康なことにも些(いさゝ)かの懼(おそ)れを抱かず、森の眞中にそんな備へをして
ピアノの無い小学校が稀であると同時に、中流以上の家庭で蓄音機の無い処は些(すく)ない方であろう。レコードなんぞは縁日で売っている。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作、杉山萠円(著)
微かにして恃(たのみ)なく、濁りて響かず。紳士。この喉には些(いさゝか)の修行の痕あるに似たれど、氣の毒なるは聲に力なきことなり。われ。
「御坊も勅勘の身でござるぞ、その身で他人の咎の許しを貰おうとは、些(いさ)さか笑止、そなたの言葉は信用できぬ」
しつかり眼を閉ぢてゐても、些(ちつと)も眠くならなかつた。何度も寝返りをうつては溜息(ためいき)をついた。そして夜はだんだんふけて来た。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
この点から見ると、私は少年時代の目を、純一無雑な、極(ご)く軟らかなものであると思う。どんな些(ちょ)っとした物を見ても、その印象が長く記憶に止まっている。
幼い頃の記憶 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『然うですか。ぢや手紙が着いたんですね?』と親げな口を利いたが、些(ちよい)と俯向加減にして立つてゐる智恵子の方を偸視(ぬす)んで
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
随分死の苦しみをしたであろうに、家の者はぐっすり寝込(ねこ)んで些(ちっと)も知らなかった。昨秋以来鼬の難(なん)にかゝることこゝに五たびだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
男は些(ちよ)と足淀(あしよどみ)して、直ぐまた私の立つてゐる前を醫者の方へ駈け出した。其何秒の間に、藤野さんの變つた態(さま)が、よく私の目に映つた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「何うしたの? ……私が愛想を尽かすようなことッて。何か知らぬが、差支えなければ言って見たら好いじゃないか。」私はその時些(ちょっ)と胸に浮んだので
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
小さい崖になつてゐて丸胴の埋め石へ苔からしぼられた清水が垂れる些(ささ)やかな音だ。そこは四尺とない下駄をぬぐところである。
名園の落水 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
身動(みうごき)を仕(し)たくも、不思議なるかな、些(ちッ)とも出来んわい。其儘で暫く経(た)つ。竈馬(こおろぎ)の啼(な)く音(ね)、蜂の唸声(うなりごえ)の外には何も聞えん。
『何(なに)が何(なん)でも望遠鏡(ばうゑんきやう)のやうに篏(は)め込(こ)まれては堪(たま)らない!些(ちよツ)と始(はじ)めさへ解(わか)ればもう占(し)めたものだ』此頃(このごろ)では身(み)にふりかゝる種々(いろ/\)の難事(なんじ)を
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
あなたの真白なお腹は私をうけつけてくれなくとも、それはどうでも宜い、どうでも宜いのだがちょっとだけさせてくれませんか、ちょっと些(ほ)んのしずくでもそのお腹のうえに出させてくれませんか。
全く些(スコ)しの惡意もまじへずに、言ひたいまゝの氣持ちから
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫、釈迢空(著)
此人(このひと)も生(うま)れ落(お)ちると此山(このやま)で育(そだ)つたので、何(なん)にも存(ぞん)じません代(かはり)、気(き)の可(い)い人(ひと)で些(ちツ)ともお心置(こゝろおき)はないのでござんす。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
那処(あすこ)に遠く些(ほん)の小楊枝(こようじ)ほどの棒が見えませう、あれが旗なので、浅黄(あさぎ)に赤い柳条(しま)の模様まで昭然(はつきり)見えて、さうして旗竿(はたさを)の頭(さき)に鳶(とび)が宿(とま)つてゐるが手に取るやう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どうだかね、私(わし)、内方(うちかた)へ参ったは些(ちい)との間(ま)だし、雨に駈出(かけだ)しても来さっしゃらねえもんだで、まだ帰らっしゃらねえでごぜえましょう。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
従来(これまで)も随分絮(くど)く申上げましたけれど、貴方は一図に私をお嫌(きら)ひ遊ばして、些(ちよつと)でも私の申す事は取上げては下さらんのです——さやうで御座いませう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
勿論、それより些(わず)かでも前後すれば、たちまち統一が破れて、画面は名状すべからざる混乱に陥ってしまうのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一緒にいる時分は、ほんの些(ちょい)とした可笑(おかし)いことでも、悔(くや)しいことでも即座に打(ぶ)ちまけて何とか彼(かん)とか言って貰わねば気が済まなかったものだ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
『私(わたし)——私(わたし)は小(ちひ)さな娘(むすめ)よ』と云(い)つて愛(あい)ちやんは、一日(にち)の中(うち)に何遍(なんべん)も變化(へんくわ)したことを思(おも)ひ出(だ)して、些(や)や顧慮(うしろめた)いやうな氣(き)がしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
爺さんの曰く、うっちゃっておけやい、若ェ者だもの、些(ちった)ァ虫(むし)もつくべいや。此は此爺さんのズボラ哲学である。差別派からは感心は出来ぬが、中に大なる信仰と真理がある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
江戸の賑ひを集め盡したやうな淺草の雜沓(ざつたふ)は、この意味もなく見える些(さゝ)やかな事件を押し包んで、活きた坩堝(るつぼ)のやうに、刻々新しい沸(たぎ)りを卷き返すのです。
何卒、梅子さん、呉々(くれ/″\)も是(これ)の御研究をお忘れないことを望みます、人生の奥義(あうぎ)は此の些(さゝや)かなる新約書の中に溢(あふ)れて、汲(く)めども尽くることは無いでありませう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
渡辺刑事初め二、三の刑事達に取巻かれた浅田は、浅黒い顔の些(しさゝ)か血の気は失せていたが、平然として答えた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
そして私が水を注(つ)いでやつた時、些(そつ)と叮頭(おじぎ)をするのは藤野さん一人であつた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
些(そよ)との風(かぜ)もがなで、明放(あけはな)した背後(うしろ)の肱掛窓(ひぢかけまど)を振向(ふりむ)いて、袖(そで)で其(そ)のブーンと鳴(な)くのを拂(はら)ひながら、此(こ)の二階住(にかいずみ)の主人(あるじ)唯吉(たゞきち)が、六疊(でふ)やがて半(なか)ばに蔓(はびこ)る、自分(じぶん)の影法師越(かげぼふしご)しに透(す)かして視(み)る
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
林「あはゝゝゝ何だか田舎漢(えなかっぺえ)のいう事は些(ちゃっ)とも解らねえものだなア、えゝお菊さん只今帰りました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長次郎は下を廻って雪渓を搦(から)んで来たと話したが、見た所では私達には真似られそうにもない。此峰の北側は些(わずか)の平で二坪程の池がある。野営でもしたものか燼(もえさし)の木が散らばっている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
貴剣サダメシ御鍛養(ゴタンヨウ)ト被存候(ゾンゼラレソウロウ)、貧生マタ些(イササ)カ鍛腕(タンワン)ヲ撫(ブ)シテ罷(マカ)リアリ候
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)