些くとも親兄弟や親戚友人なぞの意見に盲従した結婚の別れ話がめったに人事相談所に来ない。自由結婚から来た自由離婚だけが来る。
私はこのお話で多少でも本当の事と迷信との間に境界線が引けたとしたならば、些くも私が朝夕弾いているこの一台のピアノだけは、非常にそれを喜んでくれるであろう。
些くとも「寺」という事が明かでなけりゃ何故「草の戸ごしの麦畑」といったかがわからぬ。
しかし、能の各種の表現には、以上の如き説明も及ばない全然無意味、不合理、もしくは不調和と見えるものが決して些くない。
すなわちどこか喰い足りないために見物が見たがらないし、役者の方も張り合いがないというわけで、次第に演ずる度合いが些くなって行く。