“ちつと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:チツト
語句割合
39.1%
些少21.7%
一寸13.0%
少許4.3%
暫時4.3%
一刻4.3%
寸時4.3%
4.3%
4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
代助は又結婚問題にはなしもどると面倒だから、時にねえさん、ちつとねがひがあつてたんだが、とすぐ切り出して仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『いえ。』と叔父は対手の言葉をさへぎつて、『全く是方こちら不注意てぬかりから起つた事なんで、貴方あんたうらみる筋は些少ちつともごはせん。』とそれを言へば、先方さき猶々なほ/\痛み入る様子。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
平生しよつちゆう参りたいツて言ふんで御座いますよ、けれども御存知ごぞんじ下ださいます通り家の内外うちそと、忙しいもンですから、思ふばかりで一寸ちつとも出られないので御座いますから、嬢等むすめどもにもネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『あれ、少許ちつと其様そんな話は聞きやせんでしたよ。そんならむこさんが出来やしたかいなあ——長いこと彼処あすこの家の娘も独身ひとりで居りやしたつけ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そこへ我輩が口を出すと、前妻せんさいの子ばかり可愛がつて進の方は少許ちつとかまつて呉れんなんて——直に邪推だ。だからもう我輩は何にも言はん。家内の為る通りに為せて、黙つて見て居るのさ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ためるがよい己も其中後より行んと彼の兩人の着類を剥取はぎとり惣内お里へ着替きかへさせ跡の始末は斯々と耳に口よせさゝやきつゝ暫時ちつとはやく立去れと指揮に點頭うなづき夫婦の者は先刻さつきぬすみし九助の金の遣ひ殘りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かりの隱れみの頭巾づきんの上に網代笠あじろがさふかくも忍ぶ大門口相※あひづせきに重五郎其所へ御座るは花魁おいらんかと言れて白妙回顧ふりむきオヽ重さんか安さんはへ其安さんはもうとく鞠子まりこへ行て待てゞ在ば暫時ちつとも早くと打連立うちつれだち彌勒みろく町を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふくみつゝ三次のそばへさし寄て今より何卒御一所におつれなされて下されと云へば三次は默禮もくれい然程迄さほどまでにも逢度あひたくば今夜すぐにも同道せんと聞てお安は飛立とびたつおもひそれは/\有難し先樣でさへ夜分やぶんにても能事よいことなれば私しは一刻ちつとはや逢度あひたいと悦ぶ風情ふぜいに長庵は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御駕籠訴おかごそゆくか行ぬか天下の吟味かなはぬ迄も願つて見ん夫で行ねば是非もないをつと大事だいじと思ふなら己と一所に願ひ出よと聞てお節は飛立とびたつ思ひ夫なら父樣寸時ちつとも早ふ御駕籠訴とやら云事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
高の知れたる蚯蚓膨みゝずばれに一日なりとも仕事を休んで職人共のかみに立てるか、うぬちつとも知るまいがの、此十兵衞はおろかしくて馬鹿と常〻云はるゝ身故に職人共が軽う見て
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
叱咜する度土石を飛ばして丑の刻より寅の刻、卯となり辰となるまでもちつとも止まず励ましたつれば、数万すまん眷属けんぞく勇みをなし、水を渡るは波を蹴かへし、をかを走るは沙を蹴かへし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)