“咳”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せき60.3%
16.3%
しわぶき9.5%
しはぶき3.3%
しわぶ2.9%
がい2.7%
しはぶ1.9%
ぜき1.0%
せきばらい0.8%
せきばらひ0.4%
から0.2%
しは0.2%
つぶや0.2%
ワラ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼女は眼をうるませてその言葉を繰り返した。弱い苦しそうな声で、そして力のないせきをした。貞吉も同意見らしく何も言わなかった。
汽笛 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
魚屋がいている。可哀かわいそうだなあと思う。ついでに、私の咳がやはりこんな風に聞こえるのだろうかと、私の分として聴いて見る。
交尾 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
かすかしわぶきしてお孝が出た。輪曲わがねて突込んだ婀娜あだな伊達巻の端ばかり、袖をすべって着流しの腰も見えないほどしなやかなものである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はて、なんだ、とおもひながら、こゑけようとして、ひとしはぶきをすると、これはじめて心着こゝろづいたらしく、あらをんなかほげた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しわぶき、がっしりした、脊低せいひく反身そりみで、仰いで、指を輪にして目に当てたと見えたのは、柄つきの片目金、拡大鏡をあてがったのである。
で、すぐに自分の座へ戻りかけるかのような物腰に見えた時、秀吉は、がい一声いっせいして、自分の膝に三法師君が在ることを——
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少しく離れゐたりしベアトリーチェは、ゑみを含み、さながらふみに殘るかのジネーヴラの最初のとがを見てしはぶきし女の如く見えき 一三—一五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
新泉はそ知らぬ顔をしていたが、悠二郎はてれくさくなってくびでたりそらぜきをしたりした。おまえと新泉の二人に望みをかけている。
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
スポンと栓を抜く、くだんせきばらいを一つすると、これと同時に、鼻がとがり、眉が引釣ひッつり、額のしわくびれるかとへこむや、まなこが光る。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とつけたらしいせきばらひを、唯吉たゞきちひとつして
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一〇〇眠蔵めんざうより一〇一痩槁やせがれたる僧の一〇二よわ々とあゆみ出で、からびたる声して、御僧は何地いづちへ通るとてここに来るや。
しはぶかひ 鼻びしびしに
日本の美 (新字新仮名) / 中井正一(著)
一羽のからすが、彼と母とのすすく声に交えて花園の上でき始めた。すると、彼の妻は、親しげな愛撫の微笑を洩らしながらつぶやいた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「衆人熙々トシテ大牢ヲ享クルガ如ク、春、臺ニ登ルガ如シ。我獨リ怕兮トシテ、嬰兒ノ未ダワラハザルガ如ク、ツカレテ歸スル所ナキガ如シ。俗人昭々トシテ我獨リクラキガ如ク、俗人察々トシテ我獨リ悶々タリ。……」
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)