“咳”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
せき60.6%
15.3%
しわぶき10.4%
しわぶ3.2%
しはぶき3.0%
がい2.5%
しはぶ2.5%
せきばらい1.0%
ぜき1.0%
つぶや0.2%
(他:1)0.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“咳”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語57.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語8.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
ホコリ臭くて息が詰りそうで、何遍なんべんも何遍もせきが出そうになるのをジッと我慢しているのがホントに苦しかったわ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ワイナハトの起原などから話しましたが、子供のせきは絶え間なしで騒々しく、咳の出ない子はだいぶ退屈しているようでした。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼女は、いくたびかはげしくきいりながら、虫のような声でくりかえしくりかえし歎願し、椋島の助命を頼んだのであった。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
命松丸がカユわんを下においてき込むと、雀は、彼の肩から兼好の肩へピラと移って、餌をネダるような媚態びたいを作る。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それだのに、紙帳の中の、何んと、今は静かなことだろう! 左門の声も栞の声も聞こえず、しわぶき一つしなかった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それっきり、跫音もしわぶきもパッタリ歇んでしまったので、思返して部屋へ戻って、毛布の中へ潜込んでしまった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
そこを通りかかった時、はからずも寒夜にしわぶく声を耳にした、それは橋の下あたりに泊っている舟人の咳であった、というのである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
日陰日なたのそこらの地上に、毛虫が這っていた。——耳をすますと、頼政のしわぶきが、庭木の奥の古いむねから聞えてくるほど、そこと母屋は近かった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左門次の問ひは、死のやうな恐ろしい靜寂を破りました。平次の物語りの恐ろしさに、しはぶき一つする者もなかつたのです。
平次の説明はあまりにも恐ろしいものでした。六七人の暗がりに立つた人數は、しはぶき一つする者もなく、息を殺して聽き入ります。
——で、すぐに自分の座へ戻りかけるかのような物腰に見えた時、秀吉は、がい一声いっせいして、自分の膝に三法師君が在ることを——
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がい一咳——という古い形容詞が、この倉繁大一郎の話のあいの手には、最も適切な表現でした。
もう日暮時で、人里たえた山腹の道を寒さに慄へながら急いでゐると不意に道上で人のしはぶく聲を聞いた。
少しく離れゐたりしベアトリーチェは、ゑみを含み、さながらふみに殘るかのジネーヴラの最初のとがを見てしはぶきし女の如く見えき 一三—一五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
(えへん)とせきばらいを太くして、おおきな手で、灰吹を持上げたのが見えて、離れて煙管きせるが映る。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
スポンと栓を抜く、くだんせきばらいを一つすると、これと同時に、鼻がとがり、眉が引釣ひッつり、額のしわくびれるかとへこむや、まなこが光る。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
薫の従者はもう起き出して、主人に帰りを促すらしい作りぜきの音を立て、幾つの馬のいななきの声の聞こえるのを、薫は人の話に聞いている旅宿の朝に思い比べて興を覚えていた。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
百日ぜきにかかってる一人の子供が、ある家の中で咳をしていた。
妻は頷くと眼を大きく開いたまま部屋の中を見廻した。一羽のからすが、彼と母とのすすく声に交えて花園の上でき始めた。すると、彼の妻は、親しげな愛撫の微笑を洩らしながらつぶやいた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「衆人熙々トシテ大牢ヲ享クルガ如ク、春、臺ニ登ルガ如シ。我獨リ怕兮トシテ、嬰兒ノ未ダワラハザルガ如ク、ツカレテ歸スル所ナキガ如シ。俗人昭々トシテ我獨リクラキガ如ク、俗人察々トシテ我獨リ悶々タリ。……」學務部長に隨喜の涙を流す吉田の姿が、急に、皮肉でも反語でもなく、誠に此の上無く羨ましいものに思はれて來た。
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)