しはぶき)” の例文
はて、なんだ、とおもひながら、こゑけようとして、ひとしはぶきをすると、これはじめて心着こゝろづいたらしく、あらをんなかほげた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
六七人の暗がりに立つた人數は、しはぶき一つする者もなく、息を殺して聽き入ります。
門に立ちよりて八四しはぶきすれば、内にもはやく聞きとりてそととがむ。
冬の光しんかんたるに真竹原閻魔大王のしはぶきとほる (二〇七頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たまたまはしはぶきの音きこえつつ山の深きにこる人あり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
うつかり しはぶきをとりおとすと
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
御年紀おんとし十五の若君わかぎみ御戒おんいましめことわりに、一統いつとう感歎かんたんひたひげ、たかしはぶきするものく、さしもの廣室ひろま蕭條せうでうたり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次の物語りの恐ろしさに、しはぶき一つする者もなかつたのです。
古書のちつのぼる鼠の尾は引きて夜のしはぶきに乱れたりけり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「え、え、」と、ちひさなしはぶきを、彼方かなた二階にかいでしたのが、何故なぜ耳許みゝもとほがらかにたかひゞいた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
冬の光しんかんたるに真竹原閻魔大王のしはぶきのこゑ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひとたちを、こゝにあるもののやうに、あらぬ跫音あしおとかんがへて、しはぶきみゝには、人氣勢ひとけはひのない二階にかいから、手燭てしよくして、する/\とだんりた二人ふたり姿すがたを、まで可恐おそろしいとはおもはなかつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はひやみのしはぶきれて
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
樣子やうすを、間近まぢかながら、どくのある見向みむけず、呪詛のろひらしきしはぶきもしないで、ずべりとまど仰向あふむいて、やまひかほの、泥濘ぬかるみからげた石臼いしうすほどのおもいのを、ぢつとさゝへて病人びやうにん奇特きどくである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つて、つゑをまつすぐに持直もちなほすと、むかうで長頭ながあたまが、ひとかすかしはぶき
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
老爺ぢいしはぶきひとわざとして、雪枝ゆきえ背中せなかとん突出つきだす。これに押出おしだされたやうに、蹌踉よろめいて、鼓草たんぽゝすみれはなく、くも浮足うきあし、ふらふらとつたまゝで、双六すごろくまへかれ両手りやうていてひざまづいたのであつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことば途絶とだえた、しはぶきをして
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)