“幽”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
かす60.0%
かすか30.3%
ゆう3.2%
かそ1.9%
いう1.3%
しず0.6%
ゆか0.4%
かく0.2%
かすみ0.2%
くら0.2%
(他:7)1.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“幽”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語8.9%
文学 > 日本文学 > 戯曲8.3%
文学 > 日本文学 > 詩歌5.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
敗北を意識せず、自身の仕事にかすかながらも希望を感じて生きているのは、いまは、世界中で日本の芸術家だけかも知れない。
風の便り (新字新仮名) / 太宰治(著)
ときどき小鳥が、そんな私達の頭とすれすれのところを、かすかな羽音をさせながら、よろめくようにんでぎった。
晩夏 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
裸脱はだぬぎの背に汗を垂々たらたらと流したのが、ともしかすかに、首を暗夜やみ突込つっこむようにして、
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さすがにかすかな反射はあつて、仰げば仰ぐほど暗い藍色の海のやうなは、そこに他界を望むやうな心地もせらるゝのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
山深やまふかく、さとゆうに、堂宇だうう廃頽はいたいして、いよ/\けるがごとしかなり
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
丁々坊は熊手をあつかい、巫女みこは手綱をさばきつつ——大空おおぞらに、しょう篳篥ひちりきゆうなるがく
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かそかでそして和らぎを覚える「趣き」は、彼にも完成せられず、壬生忠岑になつて
雨のふり觀のかそけくて眞深まぶかなりからかさもみのしだり緒の笠
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
みどりいよ/\こまやかにして、夏木立なつこだちふかところやまいうさとしづか
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
既にして七卿が勤王の士をつのり國家を亂さんと欲するを憂へ、浪華なにはいうするのあり。
私は氏の部屋を辞して自分の部屋で暫くやすむ——しずけさや、昼寝まくらにまつわる蚊——こんな「句」のようなものを詠んで麻川氏の寂し相な眼つきをおもった。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
すぐ向うに古い松の木のこんもりした低山こやまがあって、それが一めんに日をいっぱい浴びながら、その何処かしらにいつも深い陰をひそませている具合、——そのなんともいえないしずけさがいくら見ていてもきないのです。
ひとつのゆかしい幻像はなにですか。
蝶を夢む (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
その居宅は田鶴見子爵の邸内に在りて、裏門より出入しゆつにゆうすべく、やかたの側面を負ひて、横長に三百坪ばかりを木槿垣もくげがきに取廻して、昔形気むかしかたぎの内にゆかしげに造成つくりなしたる二階建なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かくみやつきのかげせしひと夜ゆゑ恋ひつゝわびぬこの年頃を(残紅)
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ああ、かすみに見ゆる観世音の額の金色こんじきと、中をしきって、霞の畳まる、横広い一面の額の隙間から、一条ひとすじたらりと下っていた。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
往々雨の丘より丘に移るに当たりて、あるいは近くあるいは遠く、あるいはくらくあるいは明らかに、
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
二三度、呼び交わしたのち、雛妓とわたくしはだんだん声をひそめて行った。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「K君、ふかい谷だね。」と私は筋違に向ひ合つて居る友達の方を見て言出した。「景色が好いなんていふところを通越して、可畏おそろしいやうな谷だね。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「池はぎょくもて張りたらんやうに白く湿める水のに、静に魚のぬる聞こえて、瀲灔ちらちらと石燈籠の火の解くるも清々すがすがし。塀を隔てて江戸川べりの花の林樾こずえ一刷ひとはけに淡く、向河岸行く辻占売の声ほのかなり」
巣鴨菊 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
ひとり宮のみは騒げるていも無くて、そのすずし眼色まなざしはさしもの金剛石と光を争はんやうに、用意深たしなみふかく、心様こころざまゆかしく振舞へるを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其と共にウツし身にとつては恐しいが、常にある親しみを持たれてゐると期待の出来る此カクの人々が、恩寵の来訪をすると思ふ様になつたのである。
かう思うて来ると、島の社会のカソけさに、心のはりつめて来るのが感じられる。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)