“ふか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:フカ
語句割合
53.4%
14.1%
孵化5.8%
5.3%
2.8%
2.5%
2.3%
不可1.8%
1.5%
府下1.5%
(他:36)9.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その主人しゆじんうへおもふことくまでふかく、かくも眞面目まじめもの
中根なかねみづなかで二三よろけたが、ぐに起上おきあがつた。ふかさは胸程むねほどあつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
すると目の前に、ふか餌食えじきと化するはかない人間の姿と、チェーホフの心の色合が海底のように見えて来るのだった。
冬日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
私はその歯をって海へ投げ込んだ時、あたかも二尾の大きいふかが蒼黒い脊をあらわして、船を追うように近づいて来た。
はなしの話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かものような羽色をしたひとつがいのほかに、純白のめすが一羽、それからその「白」の孵化ふかしたひなが十羽である。
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
やがて一王朝たらしめんと静かに孵化ふかされつつあったその一家は、あらゆるものを恐れ、静安を乱されることを欲しなかった。
新吉は、まだ一つ二つ自分の方の都合をならべた。お国はじっと考え込んでいたが、大分経ってから、莨をふかし出すと一緒に、
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
女房は、短い海老茶袴のやうなものゝ上に、男のものでもありさうな毛糸のジヤケトを着て、ぷか/\と煙草をふかしてゐる。
お蝶の訪れ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
正月の寒い晩、歌留多カルタに招かれた彼は、そのうちの一間で暖たかい宵を笑い声のうちふかした記憶もあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この一軒にまた、人がたくさん集まった。餅をついたり、酒をのんだり、めでたいめでたいと歌ったりして夜をふかした。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
迷路ラビユリントスの最もふかき處に一軒の稍〻大なる家ありて、火の光よそよりも明かに、人多く入りゆくさまなり。
機微のふかきを照らす鏡は、女のてるすべてのうちにて、もっとも明かなるものという。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
都会の方から来た頃から見ると、髪なども長く延ばし、憂鬱な眼付をして、好きな煙草をふかし燻し学士の話に耳を傾けた。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と呼び留められて、釜形帽と鳥打帽と一緒に、石垣にりながら煙草をふかし始めた。女二人は話し話し働いた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
想うてここに到れば、マヂニーは実に、松陰の意気と精神とに小楠の理想と霊心とを加えたりというも、不可ふかなきなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
善き所に目を附けて学ぶ人は早くそのを悟り悪しき所に目を附け学ぶ人は老に至るもその不可ふかを知らず。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
徹宵よっぴて眠られなかったお島は、熱病患者のようにほてったほおを快い暁の風にふかれながら、野良道を急いだ。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
チョット失敬してキング・オブ・キングスの喇叭らっぱふかしてもらおう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
変人へんじんで手におえないとも、じつはかわいそうな人間だともいわれて、府下ふか牛乳屋ぎゅうにゅうやをわたっていたちちしぼりである。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
府下ふか世田せた松陰神社しょういんじんじゃの鳥居前で道路が丁字形に分れている。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
東京の様に四角い薄平うすべったいものにするのではなく、臼から出したまんまふかすのでまとまりのつかないデロッとした形恰になって居る。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
祭となれば、何様な家でも、強飯おこわふかす、煮染にしめをこさえる、饂飩うどんをうつ、甘酒あまざけを作って、他村の親類縁者を招く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
およ幾百戸いくひやくこ富家ふか豪商がうしやう、一づゝ、この復讐しかへしはざるはなかりし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
永代えいたい供養を捧げる富家ふかの信者が在住支那人中に多いと見えていづれの堂にも朱蝋燭らふそくあかりと香煙とを絶たない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あらゆる浮華ふかなもの、派手なもの、軽薄なものは、ブラームスの作品にも生活にも介在することを許さなかった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
それでもう少し浮華ふかを去って摯実しじつにつかなければ、自分の腹の中はいつまでったって安心はできないという事に気がつき出したのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
予算一万貫、工人二万、京都の富豪たちにも、賦課ふかを申しつけた。——そして彼は虎の毛皮の行縢むかばき穿うがち、時には、手に白刃はくじんをさげて、外門の工を見廻った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後年、江戸城修築の賦課ふかが諸侯に命ぜられた時、肥後藩においては都甲金平が宰領さいりょうして事に当ったが、なにかの行き違いから、都甲金平に石盗人の嫌疑けんぎが懸り、幕府の獄に投ぜられた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど此時このときこの鐵鎖くさり如何どうしてはなたれやうぞ、沙魚ふかつか、わたくしけるか
端艇たんていくつがへすおそれがあるのでいましも右舷うげん間近まぢかおよいでた三四しやく沙魚ふか
先づ衣桁いこうに在りける褞袍どてらかつぎ、夕冷ゆふびえの火もこひしく引寄せてたばこふかしゐれば、天地しづか石走いはばしる水の響、こずゑを渡る風の声、颯々淙々さつさつそうそうと鳴りて、幽なること太古の如し。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この時安さんは、煙草を二三ぶくふかして、煙管きせるつつへ入れかけていたが、自分の顔をひょいと見て
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新橋停車場しんばしステエションの大時計は四時をすぐること二分、東海道行の列車は既に客車のとびらして、機関車にけふりふかせつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さびしさはふかのふかみに、
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
而して徳川氏以前にありては、彼等の思想として余に存するもの甚だ微々たり、徳川氏以後世運のやうやく熟し来りたるを以て、こゝに漸く、多数の預言者を得て孚化ふかしたる彼等の思想は、漸く一種の趣味を発育し来れり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
また弟國おとくにに到りし時に、遂にふかき淵に墮ちて、死にき。
「K君、ふかい谷だね。」と私は筋違に向ひ合つて居る友達の方を見て言出した。「景色が好いなんていふところを通越して、可畏おそろしいやうな谷だね。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
重加しかのみにあらず智の海は浩汗として、ふかく上古を探り、心の鏡は煒煌として、あきらかに先の代を覩たまふ。
猿飛附近であろう、と所黒部川がふかい底から白い眼で此方を睨み上げていた。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
呉山ござん ふかくしてしこうして深し、
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旅なれや菖蒲しょうぶふかず笠の軒 鶴声
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
我等が渠の机に對ひて數學理學に思をふかむるを期せし時、渠は拿破里ナポリの女優に懸想してうはの空なりしなり。
自分はいつも汽車の中に安坐しながら、此の國を通過するのであるが、西から木津川の溪谷を溯つて來るのもいゝし、東から鈴鹿山脈を横斷して南畫めいた溪山の間を入つて來るのも興がふかい。
伊賀国 (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
またふか類にもその形竜蛇に似たるが多く、これも海中に竜ありてふ信念を増し進めた事疑いなし、梵名マカラ、内典に摩竭魚と訳す、その餌をるに黠智かつち神のごとき故アフリカや太平洋諸島で殊に崇拝し