トップ
>
深
>
ふか
ふりがな文庫
“
深
(
ふか
)” の例文
檜木
(
ひのき
)
、
椹
(
さはら
)
、
明檜
(
あすひ
)
、
槇
(
まき
)
、
𣜌
(
ねず
)
——それを
木曾
(
きそ
)
の
方
(
はう
)
では
五木
(
ごぼく
)
といひまして、さういふ
木
(
き
)
の
生
(
は
)
えた
森
(
もり
)
や
林
(
はやし
)
があの
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにあひ
)
に
茂
(
しげ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
行
(
い
)
けば
行
(
い
)
くほど山が
深
(
ふか
)
くなって、もうどこをどう
歩
(
ある
)
いているのか、まるで
知
(
し
)
らない山の中の
道
(
みち
)
を、
心細
(
こころぼそ
)
くたどって行くばかりでした。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
こうした
周囲
(
しゅうい
)
の
空気
(
くうき
)
は、
僕
(
ぼく
)
をして、
偶然
(
ぐうぜん
)
にも
心
(
こころ
)
に
深
(
ふか
)
く
感
(
かん
)
じたいっさいを
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
ける
機会
(
きかい
)
をば、
永久
(
えいきゅう
)
にうしなわしてしまったのでした。
だれにも話さなかったこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
男
(
をとこ
)
は
女蕩
(
をんなた
)
らしの
浮氣
(
うはき
)
もの、
近頃
(
ちかごろ
)
は
嫂
(
あによめ
)
の
年増振
(
としまぶり
)
に
目
(
め
)
を
着
(
つ
)
けて、
多日
(
しばらく
)
遠々
(
とほ/″\
)
しくなつて
居
(
ゐ
)
たが、
最
(
も
)
う
一二年
(
いちにねん
)
、
深
(
ふか
)
く
馴染
(
なじ
)
んで
居
(
ゐ
)
たのであつた。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
凡
(
およそ
)
雪九月末より
降
(
ふり
)
はじめて雪中に春を
迎
(
むかへ
)
、正二の月は雪
尚
(
なほ
)
深
(
ふか
)
し。三四の月に
至
(
いた
)
りて次第に
解
(
とけ
)
、五月にいたりて雪全く
消
(
きえ
)
て
夏道
(
なつみち
)
となる。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
八の
字
(
じ
)
を
深
(
ふか
)
くしながら、
寄
(
よ
)
せた
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
眼先
(
めさき
)
を、ちらとかすめたのは、
鶯
(
うぐいす
)
の
糞
(
ふん
)
をいれて
使
(
つか
)
うという、
近頃
(
ちかごろ
)
はやりの
紅色
(
べにいろ
)
の
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
地震計
(
ぢしんけい
)
を
以
(
もつ
)
て
觀察
(
かんさつ
)
すると、かういふ
地下
(
ちか
)
の
働
(
はたら
)
きの
所在地
(
しよざいち
)
が
分
(
わか
)
るから、それからして
岩漿
(
がんしよう
)
の
貯藏
(
ちよぞう
)
されてゐる
場所
(
ばしよ
)
の
深
(
ふか
)
さが
想像
(
そう/″\
)
せられる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
の
敏捷
(
びんせふ
)
な
目
(
め
)
を
欺
(
あざむ
)
くには
此
(
これ
)
だけの
深
(
ふか
)
い
注意
(
ちうい
)
を
拂
(
はら
)
はなければならなかつた。それも
稀
(
まれ
)
なことで
數
(
かず
)
は
必
(
かなら
)
ず
一
(
ひと
)
つに
限
(
かぎ
)
られて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
麦畑
(
むぎばたけ
)
と
牧場
(
ぼくじょう
)
とは
大
(
おお
)
きな
森
(
もり
)
に
囲
(
かこ
)
まれ、その
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
が
深
(
ふか
)
い
水溜
(
みずだま
)
りになっています。
全
(
まった
)
く、こういう
田舎
(
いなか
)
を
散歩
(
さんぽ
)
するのは
愉快
(
ゆかい
)
な
事
(
こと
)
でした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
君
(
きみ
)
ばかりでない、
僕
(
ぼく
)
の
朋友
(
ほういう
)
の
中
(
うち
)
、
何人
(
なんぴと
)
も
未
(
いま
)
だ
此名
(
このな
)
が
如何
(
いか
)
に
僕
(
ぼく
)
の
心
(
こゝろ
)
に
深
(
ふか
)
い、
優
(
やさ
)
しい、
穩
(
おだや
)
かな
響
(
ひゞき
)
を
傳
(
つた
)
へるかの
消息
(
せうそく
)
を
知
(
し
)
らないのである。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
今
(
いま
)
敵國
(
てきこく
)
深
(
ふか
)
く
侵
(
をか
)
して、
邦内
(
はうない
)
騷動
(
さうどう
)
し、
士卒
(
しそつ
)
、
境
(
さかひ
)
に
(一七)
暴露
(
ばくろ
)
す。
君
(
きみ
)
寢
(
い
)
ねて
席
(
せき
)
を
安
(
やす
)
んぜず、
食
(
くら
)
うて
味
(
あぢはひ
)
を
甘
(
あま
)
しとせず。百
姓
(
せい
)
の
命
(
めい
)
皆
(
みな
)
君
(
きみ
)
に
懸
(
か
)
かる。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
遂げたる望みの恐しさは、如何なる強き夢をも破りぬべし。われは貧かりき。されば、われ
幸
(
さち
)
深
(
ふか
)
かりき。おゝ、ローザ、トリアニ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
讀者
(
どくしや
)
諸君
(
しよくん
)
は
未
(
ま
)
だ
御記臆
(
ごきおく
)
だらう。
我
(
わ
)
が
弦月丸
(
げんげつまる
)
が
將
(
まさ
)
に子ープルス
港
(
かう
)
を
出發
(
しゆつぱつ
)
せんとした
時
(
とき
)
、
何故
(
なにゆゑ
)
ともなく
深
(
ふか
)
く
私
(
わたくし
)
の
眼
(
まなこ
)
に
留
(
とゞま
)
つた
一隻
(
いつさう
)
の
怪
(
あやし
)
の
船
(
ふね
)
を。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
けれど泥が
深
(
ふか
)
いから、足がはまつたら最後二度と拔けなかつた。水の外に
掴
(
つか
)
まる
物
(
もの
)
が無いのだから、もがけばもがく
程
(
ほど
)
泥
(
どろ
)
に吸はれて行く。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
先生は予がこの
行
(
こう
)
に
伴
(
ともな
)
いしを
深
(
ふか
)
く
感謝
(
かんしゃ
)
せらるるといえども、予の先生に
負
(
お
)
うところ、かえって
大
(
だい
)
にして
大
(
おおい
)
に
謝
(
しゃ
)
せざるべからざるものあり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
改
(
あらた
)
めて
余
(
よ
)
は
茲
(
こゝ
)
に
言
(
い
)
ふ。
或
(
あ
)
る
意味
(
いみ
)
に
於
(
おい
)
ての
大怪窟
(
だいくわいくつ
)
が、
學術
(
がくじゆつ
)
の
光
(
ひかり
)
に
如何
(
どう
)
照
(
て
)
らされるであらうか。
深
(
ふか
)
き
興味
(
きようみ
)
を
以
(
もつ
)
て
此大發掘
(
このだいはつくつ
)
を
迎
(
むか
)
へざるを
得
(
え
)
ない。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
でも、
私
(
わたくし
)
が
死
(
し
)
ぬるまで
三浦家
(
みうらけ
)
の
墳墓
(
ふんぼ
)
の
地
(
ち
)
を
離
(
はな
)
れなかったという
事
(
こと
)
は、その
領地
(
りょうち
)
の
人民
(
じんみん
)
の
心
(
こころ
)
によほど
深
(
ふか
)
い
感動
(
かんどう
)
を
与
(
あた
)
えたようでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それが
母
(
はゝ
)
の死んだ時も、
菅沼
(
すがぬま
)
の死んだ時も
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、始末をしたので、生前に関係の
深
(
ふか
)
かつた代助とも平岡とも知り合になつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
忘
(
わす
)
れはせまじ餘り
情
(
なさけ
)
なき
仕方
(
しかた
)
なりと利兵衞を
恨
(
うら
)
みけるが吉三郎は
素
(
もと
)
より
孝心
(
かうしん
)
深
(
ふか
)
ければ母を
慰
(
なぐさ
)
め利兵衞殿斯の如く
約束
(
やくそく
)
を
變
(
へん
)
じ
音信
(
おとづれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「でもそちのように
不義
(
ふぎ
)
で、みだらで、
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
く、ばかものを生けどってくらしているものに、どうしてまことの力があるのか」
手紙 二
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私
(
わたし
)
の
思
(
おも
)
ひどほりの
深
(
ふか
)
い
志
(
こゝろざし
)
を
見
(
み
)
せた
方
(
かた
)
でなくては、
夫
(
をつと
)
と
定
(
さだ
)
めることは
出來
(
でき
)
ません。それは
大
(
たい
)
してむづかしいことでもありません。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
隔
(
へだ
)
ては
次第
(
しだい
)
に
重
(
かさ
)
なるばかり、
雲霧
(
くもきり
)
がだんだんと
深
(
ふか
)
くなつて、お
互
(
たが
)
ひの
心
(
こゝろ
)
の
分
(
わか
)
らないものに
成
(
な
)
りました、
今
(
いま
)
思
(
おも
)
へばそれは
私
(
わたし
)
から
仕向
(
しむ
)
けたので
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二疊敷より五十疊敷位の大さにて
深
(
ふか
)
きは人の
丈位
(
たけぐらひ
)
なるが、周壁の上端は地面よりも高く
盛
(
も
)
り
上
(
あ
)
がりて
堤
(
つつみ
)
の形を成し居るもの故
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
この
歌
(
うた
)
は
別
(
べつ
)
に
深
(
ふか
)
く
思
(
おも
)
ひこんでゐるのでもない
樂
(
たの
)
しみを、ぢっと
續
(
つゞ
)
けてゐたといふだけの
物
(
もの
)
ですから、
調子
(
ちようし
)
と
意味
(
いみ
)
とがぴったりとしてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
霧
(
きり
)
の
深
(
ふか
)
い六
月
(
ぐわつ
)
の
夜
(
よる
)
だつた。
丁度
(
ちやうど
)
N
原
(
はら
)
へ
出張演習
(
しゆつちやうえんしふ
)
の
途上
(
とじやう
)
のことで、
長
(
なが
)
い四
列
(
れつ
)
縱隊
(
じうたい
)
を
作
(
つく
)
つた
我我
(
われわれ
)
のA
歩兵
(
ほへい
)
聯隊
(
れんたい
)
はC
街道
(
かいだう
)
を
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
行進
(
かうしん
)
してゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
深
(
ふか
)
く、強く、
眞摯
(
しんし
)
にものを愛することが出來るといふのは、なんといふまあ
仕合
(
しあは
)
せなことでせう! それだのにあなた方は
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
そしてなにかわたしにわからないことを言うと、夫はふふんと
笑
(
わら
)
った。かの女の
冷淡
(
れいたん
)
と、わたしの父親の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
とが
深
(
ふか
)
くわたしの心を
傷
(
きず
)
つけた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
(イ)
洪水
(
こうずい
)
の
豫防
(
よぼう
)
。
森林
(
しんりん
)
とは
山
(
やま
)
や
丘
(
をか
)
の
一面
(
いちめん
)
に、こんもり
木
(
き
)
が
生
(
は
)
え
茂
(
しげ
)
つて、
大
(
おほ
)
きな
深
(
ふか
)
い
林
(
はやし
)
となつてゐる
状態
(
じようたい
)
をいふのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
そこで、
深
(
ふか
)
く
息
(
いき
)
を
吸
(
す
)
って、もっと早くはねを動かそうとしてみるのですが、どうしても、みんなからおくれてしまいます。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
この
洞穴
(
ほらあな
)
は、アルタミラとは
違
(
ちが
)
つて、
丈
(
たけ
)
の
高
(
たか
)
い
奧
(
おく
)
の
深
(
ふか
)
い
穴
(
あな
)
であつて、
兩側
(
りようがは
)
の
壁
(
かべ
)
にやはり
多數
(
たすう
)
の
動物
(
どうぶつ
)
の
繪
(
え
)
を
描
(
か
)
いてあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
おなじく、
深
(
ふか
)
い
罅
(
ひゞ
)
のはいつた
肉體
(
からだ
)
をもつてゐるわたしは、これから
海
(
うみ
)
に
行
(
ゆ
)
かうとしてゐたので、一つはしばらく
先生
(
せんせい
)
にもお
目
(
め
)
に
懸
(
かゝ
)
れまいと
思
(
おも
)
つて。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
ソログーブは
幼
(
おさな
)
い
時
(
とき
)
から
母
(
はは
)
の
奉公先
(
ほうこうさき
)
の
邸
(
やしき
)
で、
音楽
(
おんがく
)
や
演劇
(
えんげき
)
などに
親
(
した
)
しむ
機会
(
きかい
)
を
持
(
も
)
ち、
読書
(
どくしょ
)
に
対
(
たい
)
する
深
(
ふか
)
い
趣味
(
しゅみ
)
を
養
(
やしな
)
われた。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
𢌞廊のあなたに、
蘭燈
(
らんとう
)
尚ほ
微
(
かすか
)
なるは
誰
(
た
)
が
部屋
(
へや
)
ならん、主は
此
(
こ
)
の
夜
(
よ
)
深
(
ふか
)
きにまだ寢もやらで、獨り黒塗の小机に打ちもたれ、
首
(
かうべ
)
を俯して物思はしげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
人生
(
じんせい
)
の
解悟
(
かいご
)
に
向
(
むか
)
つて
居
(
を
)
る
自由
(
じいう
)
なる
深
(
ふか
)
き
思想
(
しさう
)
と、
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
の
愚
(
おろか
)
なる
騷
(
さわぎ
)
に
對
(
たい
)
する
全然
(
ぜん/\
)
の
輕蔑
(
けいべつ
)
、
是
(
こ
)
れ
即
(
すなは
)
ち
人間
(
にんげん
)
の
之
(
こ
)
れ
以上
(
いじやう
)
のものを
未甞
(
いまだかつ
)
て
知
(
し
)
らぬ
最大幸福
(
さいだいかうふく
)
です。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
政府
(
せいふ
)
の
當局者
(
たうきよくしや
)
としては
此
(
この
)
國民
(
こくみん
)
の
努力
(
どりよく
)
に
對
(
たい
)
して
深
(
ふか
)
き
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
するのであるが、
國民
(
こくみん
)
としても
自分
(
じぶん
)
の
努力
(
どりよく
)
の
結果
(
けつくわ
)
が
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
黒革に白革の横筋を入れ、
兜形
(
かぶとがた
)
の八幡座に、
眉庇
(
まびさし
)
は
猩々緋
(
しょうじょうひ
)
、吹き返しは
白羅紗
(
しろらしゃ
)
、
縮緬
(
ちりめん
)
の忍び緒を
頤
(
あぎと
)
深
(
ふか
)
く結んでいた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう
夜
(
よ
)
になつた
頃
(
ころ
)
だ。
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにま
)
の
底
(
そこ
)
で
天幕
(
テント
)
を
張
(
は
)
つた
回々教
(
フイフイけう
)
の
旅行者
(
りよかうしや
)
が二三
人
(
にん
)
、
篝火
(
かがりび
)
を
囲
(
かこ
)
んでがやがや
話
(
はな
)
してゐた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
僕
(
ぼく
)
たちは、しばらく、
塀
(
へい
)
の
外
(
そと
)
をきゅろきゅろと
鳴
(
な
)
ってゆく
乳母車
(
うばぐるま
)
の
音
(
おと
)
をきいていた。
僕
(
ぼく
)
はお
爺
(
じい
)
さんの
心
(
こころ
)
を
思
(
おも
)
いやって、
深
(
ふか
)
く
同情
(
どうじょう
)
せずにはいられなかった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
故
(
ゆゑ
)
に
余
(
よ
)
は
此
(
この
)
攝養法
(
せつやうはふ
)
の
廣
(
ひろ
)
く
行
(
おこな
)
はれ、
戰後
(
せんご
)
てふ
大任
(
たいにん
)
を
負
(
お
)
へる
我
(
わが
)
國民
(
こくみん
)
の
體力
(
たいりよく
)
を
一層
(
いつそう
)
強固
(
きやうこ
)
ならしめ、
各自
(
かくじ
)
の
職責
(
しよくせき
)
を
遺憾
(
ゐかん
)
なく
遂行
(
すゐかう
)
せられんことを
深
(
ふか
)
く
希望
(
きばう
)
する
處
(
ところ
)
なり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
その
瑣細
(
ささい
)
な
道理
(
だうり
)
と
云
(
い
)
ふのは
例
(
たと
)
へば、
眞赤
(
まツか
)
に
燒
(
や
)
けた
火箸
(
ひばし
)
を
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
持
(
も
)
つてると
火傷
(
やけど
)
するとか、
又
(
また
)
は
指
(
ゆび
)
を
小刀
(
ナイフ
)
で
極
(
ごく
)
深
(
ふか
)
く
切
(
き
)
ると
何時
(
いつ
)
でも
血
(
ち
)
が
出
(
で
)
るとか
云
(
い
)
ふことです。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
舶来種のまだ
我
(
わが
)
邦土
(
ほうど
)
には何処やら
居馴染
(
いなじ
)
まぬ花だが、はらりとした形も、
深
(
ふか
)
い空色も、涼しげな夏の花である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
……
奧
(
おく
)
よ、
其許
(
そなた
)
は
寢
(
ね
)
る
前
(
まへ
)
に
女
(
むすめ
)
に
逢
(
あ
)
うて、
婿
(
むこ
)
がねパリスどのゝ
深
(
ふか
)
い
心入
(
こゝろいれ
)
の
程
(
ほど
)
を
知
(
し
)
らせて、よいかの、
次
(
つぎ
)
の
水曜日
(
すゐえうび
)
には……いや、
待
(
ま
)
ちゃれ、けふは
何曜日
(
なにえうび
)
ぢゃ?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
個人
(
こじん
)
の
固有名
(
こゆうめい
)
は
神聖
(
しんせい
)
なもので、それ/″\
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
を
有
(
ゆう
)
する。みだりにこれをいぢくり
廻
(
まは
)
すべきものでない。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
勿論
(
もちろん
)
書
(
しよ
)
を
讀
(
よ
)
んで
深
(
ふか
)
く
考
(
かんが
)
へたら、
道
(
みち
)
に
到達
(
たうたつ
)
せずにはゐられまい。しかしさうまで
考
(
かんが
)
へないでも、
日々
(
ひゞ
)
の
務
(
つとめ
)
だけは
辨
(
べん
)
じて
行
(
ゆ
)
かれよう。これは
全
(
まつた
)
く
無頓著
(
むとんちやく
)
な
人
(
ひと
)
である。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
椋島
(
むくじま
)
技師は大臣のさし廻してくれた
幌
(
ほろ
)
深
(
ふか
)
い自動車の中に身を
抛
(
な
)
げこむと、始めて晴々しい笑顔をつくった。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
唯
(
ただ
)
杉
(
すぎ
)
や
竹
(
たけ
)
の
杪
(
うら
)
に、
寂
(
さび
)
しい
日影
(
ひかげ
)
が
漂
(
ただよ
)
つてゐる。
日影
(
ひかげ
)
が、——それも
次第
(
しだい
)
に
薄
(
うす
)
れて
來
(
く
)
る。もう
杉
(
すぎ
)
や
竹
(
たけ
)
も
見
(
み
)
えない。おれは
其處
(
そこ
)
に
倒
(
たふ
)
れた
儘
(
まま
)
、
深
(
ふか
)
い
靜
(
しづ
)
かさに包まれてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その中に
手首
(
てくび
)
からさきのない
腕
(
うで
)
が、にゅっとかれのほうにつきだされ、のっぺらぼうのまっ白な大きな顔が、うす青い三つの
深
(
ふか
)
い
穴
(
あな
)
をあけて、
空中
(
くうちゅう
)
に
浮
(
う
)
いていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
ウム
己達
(
おらっち
)
が
彌平
(
やへい
)
どんの処へ来るたって
深
(
ふか
)
しい親類でもねえが、
場所中
(
ばしょちゅう
)
関取が出るから来ているのだが、本当に
好
(
い
)
い関取だなア、
体格
(
からだ
)
が出来て愛敬相撲だ
一寸
(
ちょっと
)
手取
(
てとり
)
で
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ただ
洋法
(
ようほう
)
に取るべきものは
熱病
(
ねつびょう
)
の
治療法
(
ちりょうほう
)
のみなりとて、
彼
(
か
)
の
浅田宗伯
(
あさだそうはく
)
を信ずること
深
(
ふか
)
かりしという。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
わが武士道においてもかくのごとき勇気をもって
猪勇
(
ちょゆう
)
と称し、
深
(
ふか
)
く尊敬しなかったものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
“深”を含む語句
深淵
深更
夜深
深々
執念深
深山
深川
深夜
深入
嫉妬深
深田
深慮
奥深
深谷
深碧
深山幽谷
深海
深緑
慈悲深
水深
...