“深更”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
しんこう63.5%
よふけ21.2%
しんかう7.7%
よふ3.8%
おそく1.9%
しんや1.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
初冬の深更しんこうのこと、雪明りを愛ずるまま写経しゃきょうに時を忘れていると、窓外から毛の生えた手を差しのべて顔をなでるものがあった。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ただ、僥倖しあわせというべきことは、深更しんこうに十手の襲うところとなったため、勢い、あのまま暁へかけて、道を急ぎにかかったであろうと察しられる一点。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨夜から深更しんこうへかけて直ちに解剖が行われた由であるが、その結果、新たな事実が現れたらしく、鑑識の一行が未明の街道を全速で馳せて到着していたのである。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
喉もかわいているし、泡くってはいけないと思ったので、休ましてもらいたいと思ったが、深更よふけに見ず知らずの家へ迷惑をかけるのも気のどくであった。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
鶴岡つるおか城下の話であるが、ある深更よふけに一人の武士が田圃路たんぼみちを通っていると、焔のない火玉ひのたまがふうわりと眼の前を通った。
鬼火を追う武士 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
昼間丸ノ内を徘徊はいかいしていた痣蟹が、深更よふけになってなぜ屍体を盗んでいったのだろう。一郎はなぜ弟の屍体を追わなかったのだろう。果して彼は弱虫だったろうか。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「二日二晩に及ぶ折檻せつかんの後、奧樣には、よく/\思ひさだめたものと相見え、昨夜、——深更しんかう、見事に生害してお果てなされた」
——天幕テントなかで、深更しんかうに、たちまふえくやうな、とりうたふやうなこゑつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旅行りよかうをしても、このさと、このもり、このほこら——どうも、みゝづくがゐさうだ、と直感ちよくかんすると、はたして深更しんかうおよんで、ぽツと、あらはれづるからすなははなせる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まあ、三斎屋敷のおつぼねさまとは、深更よふけのささごともなさるくせに、あたし風情とは杯もうけとられないとおっしゃるの——ほ、ほ、ほ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
自家うちに戻るといえばいいが、ようよう電車に間に合って寒い深更よふけに喜久井町に帰って来ると婆さんは、今晩もまた戻って来ないと思ってか、とっくに戸締りをして寝ていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
父親も不幸なせがれの為に明日履く草鞋わらじを作りながら、深更おそくまで二人で起きていたのです。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
深更しんやをおどろかした手紙は、それより少し前の時刻に、町の飛脚屋を叩き起して、かの秦野屋九兵衛が投じたものであることは、かさねて、説明に及びますまい。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)