“深更”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しんこう62.3%
よふけ20.8%
しんかう9.4%
よふ3.8%
おそく1.9%
しんや1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
初冬の深更しんこうのこと、雪明りを愛ずるまま写経しゃきょうに時を忘れていると、窓外から毛の生えた手を差しのべて顔をなでるものがあった。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
この偐紫楼の深更よふけを照す円行燈のみは十年一日の如くに夜としいえば、必ず今見る通りの優しいなまめかしい光をわが机の上に投掛けてくれたのである。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「二日二晩に及ぶ折檻せつかんの後、奧樣には、よく/\思ひさだめたものと相見え、昨夜、——深更しんかう、見事に生害してお果てなされた」
「まあ、三斎屋敷のおつぼねさまとは、深更よふけのささごともなさるくせに、あたし風情とは杯もうけとられないとおっしゃるの——ほ、ほ、ほ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
母親おふくろは源を休ませて置いて、炉辺で握飯をこしらえました。父親も不幸なせがれの為に明日履く草鞋わらじを作りながら、深更おそくまで二人で起きていたのです。度を過した疲労の為に、源もおちおち寝られません。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
深更しんやをおどろかした手紙は、それより少し前の時刻に、町の飛脚屋を叩き起して、かの秦野屋九兵衛が投じたものであることは、かさねて、説明に及びますまい。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)