深更しんかう)” の例文
「二日二晩に及ぶ折檻せつかんの後、奧樣には、よく/\思ひさだめたものと相見え、昨夜、——深更しんかう、見事に生害してお果てなされた」
我が目前にしは、ある夜深更しんかうの頃、れいの二階のまどすきに火のうつるをあやしみその隙間すきまよりのぞきみれば、狐雪の掘揚の上にりて口より火をいだす、よくみれば呼息つくいきもゆる也。
見る人は如何にも其身が仕なしたる事とは更に知らざりけり此時檢使の役人は彌々いよ/\其方が弟に相違無さうゐなき如何いかなるわけ有て大雨たいうの折から深更しんかう發足はつそく致せしやと尋ね有りければ長庵袖に涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
旅行りよかうをしても、このさと、このもり、このほこら——どうも、みゝづくがゐさうだ、と直感ちよくかんすると、はたして深更しんかうおよんで、ぽツと、あらはれづるからすなははなせる。——のツほーほう、ほツほウ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天幕テントなかで、深更しんかうに、たちまふえくやうな、とりうたふやうなこゑつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
相探あひさぐり候處一人の者の申し候には夜前やぜん深更しんかうに及びて惣右衞門方へ人出入ひとでいりの有し樣子に相聞え候と申すゆゑ猶々なほ/\穿鑿せんさく致し候處其後陸尺ろくしやくの七右衞門が惣右衞門方へ來りて種々いろ/\の話しのていなりと申し候すれば彼の惣右衞門も自分の方におく時は忽ちに知れんことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)