“囲”のいろいろな読み方と例文
旧字:圍
読み方割合
かこ46.4%
かこい10.9%
い8.5%
めぐ7.6%
まわ6.2%
かこひ2.8%
かこみ2.8%
かこま2.8%
めぐら2.4%
かく1.4%
がこ1.4%
ま0.9%
まわり0.9%
ゐ0.9%
カク0.9%
めぐり0.5%
カコ0.5%
かこゐ0.5%
がこい0.5%
す0.5%
まは0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
行燈(あんどん)の光に照された、古色紙(こしきし)らしい床(とこ)の懸け物、懸け花入(はないれ)の霜菊(しもぎく)の花。——囲(かこ)いの中には御約束通り、物寂びた趣が漂っていました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、すぐ町から小半町引込(ひっこ)んだ坂で、一方は畑になり、一方は宿の囲(かこい)の石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして仄暗(ほのくら)い。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人の形が、そうした霧の裡(なか)に薄いと、可怪(あやし)や、掠(かす)れて、明(あから)さまには見えない筈(はず)の、扱(しご)いて搦(から)めた縺(もつ)れ糸の、蜘蛛の囲(い)の幻影(まぼろし)が、幻影が。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三方岡を囲(めぐ)らし、厚硝子(ガラス)の大鏡をほうり出したような三角形の小湖水を中にして、寺あり学校あり、農家も多く旅舎(やどや)もある。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「わあっ」というときの声と共に、鎧(よろい)に身を固め、物々しく武装した一隊、二百余騎に囲(まわ)りをどっと取り囲まれてしまった。
仲間と一緒に件(くだん)の共同墓地に連れて行かれ、(刑務所の囲(かこひ)の外で働くかうした受刑者のことを、刑務所用語では外役といふ、)
随筆「断片」 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
己達は囲(かこみ)を突いて出ようとしたが、二人の剣は功を奏せなかつた。己は造做(ぞうさ)もなく打ち倒されて、猿轡を嵌められ布で目隠しをせられた。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
坂の上には余の住んでいる此方の高地と同じように、樹木と庭園とに囲(かこま)れた軽快なる住宅、心地好げな別荘らしい家屋が幾軒も見える。
仮寐の夢 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
石を囲(めぐら)した一坪ほどの水溜りは碑文に言う醴泉(れいせん)の湧き出た井の名残であろう。しかし今見れば散りつもる落葉の朽ち腐された汚水の溜りに過ぎない。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「でも、あなたという方は、本性(ほんしょう)はやっぱり親切なお方なのね、中房のお湯屋のお蒲団(ふとん)のお城の中に囲(かく)まわれているわたしを、わざわざ探し当てて下さいました」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
李逵(りき)は、生れた家の前に佇(たたず)んだ。赤土の泥小屋、石の破れ囲(がこ)い、屋根を越すひょろ長い松、何一つ変っていない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(他の断片は、悉く夢のやうな甘いお伽噺とか、池の囲(ま)はりで彼が呟いた放言の延長見たいな実感は怪しまれる訳のわからない感想風のものばかりである。)
蔭ひなた (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
燈(ひ)の消えたその洗面所の囲(まわり)が暗いから、肩も腰も見えなかったのであろう、と、疑(うたがい)の幽霊を消しながら、やっぱり悚然(ぞっ)として立淀(たちよど)んだ。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人(ふたり)が表てゞ並(なら)んだ時、美禰子は俯向(うつむい)て右の手を額(ひたひ)に当(あ)てた。周囲(ゐ)は人が渦(うづ)を捲(ま)いてゐる。三四郎は女の耳へ口(くち)を寄せた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
石ノ上布留(フル)の大人(ミコト)は、嫋女(タワヤメ)の眩惑(マドヒ)によりて、馬じもの縄とりつけ、畜(シヽ)じもの弓矢囲(カク)みて、大君の御令畏(ミコトカシコ)み、天離(アマサカ)る鄙辺(ヒナベ)に罷(マカ)る。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「樟の大樹いよの大三島にあるもの大さ廿八人囲(めぐり)を第一とす。次は廿一人囲、次は十八人囲、この類は極て多し。第一のものは今枯たりと云。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「なるほど。——魏(ギ)ヲ囲(カコ)ンデ趙(チョウ)ヲ救ウ——の策か。さすが達見(たっけん)。よろしい、今日以後、君を推して征賊の将軍とする。この一生一期(ご)の大機会を君もよく活(い)かしたまえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思はぬ方に借財のありて、我はゆくりなくも今やその虜とはなりぬ。さればこの囲(かこゐ)を衝きて急に再び出京せむは、いともいとも覚束なき事にて、あるはこのまま田舎の土となり果てむも知るべからず。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
入口に雪囲(がこい)をつけた勘察加(カムチャッカ)風の横長の木造小屋で、雪のうえに煙突と入口の一部だけをあらわし、沈没に瀕した難破船のような憐れなようすをしていた。
海豹島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
なぜか見苦しいほど慌(あわただ)しげで、蜘蛛(くも)の囲(す)をかけるように煩(うるさ)く夫人の居まわりを立ちつ居つ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「聴衆(ききて)かい。」外交官は胡散(うさん)さうに頤(おとがひ)の囲(まは)りを撫で廻した。「聴衆(ききて)はたつた一人だつたよ。」