“板囲”のいろいろな読み方と例文
旧字:板圍
読み方割合
いたがこ47.1%
いたがこい29.4%
いたかこ5.9%
いたがこひ5.9%
いたべい5.9%
かこい5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ほんの板囲いたがこいに過ぎない仮屋の藺莚いむしろのうえではあるが、白いふすまは厚くかさねられ、片隅には、職人図を描いた屏風びょうぶ一張ひとはり立てられてあった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの東京浅草の住慣れた二階の外に板囲いたがこいの家だの白い障子の窓だのをながめ暮した岸本の眼には、古い寺院にしても見たいような産科病院の門前にひるがえる仏蘭西フランスの三色旗
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
僕等はいつか工事場らしい板囲いたかこひの前に通りかかつた。そこにも労働者が二三人、せつせとつちを動かしながら、大きい花崗石くわかうせきけづつてゐた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
燻臭いぶりくさき悪気は四辺あたり充満みちみちて、踏荒されし道は水にしとり、もえがらうづもれ、焼杭やけくひ焼瓦やけがはらなど所狭く積重ねたる空地くうちを、火元とて板囲いたがこひ得為えせず、それとも分かぬ焼原の狼藉ろうぜきとして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのあたりは恰度××ビルディングの普請場の板囲いたべいが続いているところだったので、彼女がそうした工合に意気揚々と立ち出でそうな玄関口なぞは一つもなかったのだから。
(新字新仮名) / 渡辺温(著)
もとの板囲かこいのうちへ入って、干飯俵ほしいだわら軍梱いくさごりのあいだに熊楠は又眠ってしまった。魚住十介たちは、ゾッとした気持に襲われながら
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)