“得為”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
えせ50.0%
えな50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あやまちて野中の古井ふるゐに落ちたる人の、沈みも果てず、あがりも得為えせず、命の綱とあやふくも取縋とりすがりたる草の根を、ねずみきたりてむにふと云へる比喩たとへ最能いとよく似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
然し彼は徹頭徹尾てっとうてつび単純にしていつわることを得為えせぬ男で、且如何なる場合にも見且感ずるを得る自然の芸術家であったことを忘れてはならぬ。余は寄生木によって、乃木大将夫妻をヨリ近く識り得た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
阿闍梨『よもや、それまでは得為えなすまじと思いしに、まことに首を持ち来りしか。(暫時深き思い入れ。また思い返して)然し源右衛門、約束は約束。首の数は二つであった筈だが』
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
もし彼をして力を絵画に伸ばさしめば日本画の上に一生面を開き得たるべく、応挙おうきょ輩をして名をほしいままにせしめざりしものを、彼はそれをも得為えなさざりき。余は日本の美術文学のために惜む。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)