“比喩”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひゆ76.7%
たとえ15.6%
たとへ5.6%
たと1.1%
アレゴリイ1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は、何一つ取柄のない男であるが、文学だけは、好きである。三度の飯よりも、というのは、私にとって、あながち比喩ひゆではない。
春の盗賊 (新字新仮名) / 太宰治(著)
生残た妻子の愁傷は実に比喩たとえを取るに言葉もなくばかり、「嗟矣ああ幾程いくら歎いても仕方がない」トいう口の下からツイそでに置くはなみだの露
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あやまちて野中の古井ふるゐに落ちたる人の、沈みも果てず、あがりも得為えせず、命の綱とあやふくも取縋とりすがりたる草の根を、ねずみきたりてむにふと云へる比喩たとへ最能いとよく似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それをちょっと比喩たとえてみるなれば、柔い黄色の羽根がやっと生えそろったばかりのカナリヤの雛仔ひなを、ソッとのうちに握ったような気持、とでも云ったなら
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この比喩アレゴリイは少々幼稚に堕して滑稽ですが、何んな追手がさし向けられたところで到底つかまるものではなからうし、よしや一度は引き戻されたとしても
女優 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)