“たとえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
仮令41.2%
28.2%
6.8%
比喩6.8%
譬喩5.6%
縦令4.5%
4.0%
例之1.1%
例令0.6%
俗諺0.6%
(他:1)0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仮令たとえ母の生命いのちを奪ってまでも生きようとするようなその小さなものを実際人の力でどうすることも出来なかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
仮令たとえ彼は神戸へ行ってからの用事にかこつけて、郷里の方の嫂あて詫手紙わびてがみを送って置いたにしても。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
正直のこうべに神宿るとのたとえで、七兵衞は図らず泥の中から一枚の黄金を獲ましたというお目出度いお話でございます。
梅若七兵衛 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お母さんが潰しはしないさ、これは物のたとえだよ、しかし、お母さんだって、悪いことをすりゃあ、自家が潰れるのだよ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
たださえ暗いあなの中だから、思い切ったたとえを云えば、頭から暗闇くらやみに濡れてると形容しても差支さしつかえない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人には添うて見よ 馬には乗って見よというたとえもありますがその人はなかなかの学者自慢で自分は非常な学者のように思って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
花に嵐の比喩たとえも古めかしい事ながら、さて只今と相成りましては痛わしゅうて、情のうて涙がこぼれまする事ばかり……。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
近く比喩たとえを以てこれを示さんに、不品行によりて徳を害するも、虎列剌コレラ毒に触れて身を害するも、その害は同様なるべし。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
さて五欲について思い起こすことは、『譬喩経ひゆぎょう』のなかにある「黒白こくびゃく」の譬喩たとえです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
と、渡りに船の譬喩たとえも恥かしい。水に縁の切れた糸瓜へちまが、物干の如露じょろへ伸上るように身を起して、
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
縦令たとえ何事なにごとありともなみだすまい。』——わたくしかたくそう決心けっしんしました。
予に金を貸した一人の如きは、君がそれほど勉強して失敗したら、縦令たとえ君に損を掛けられても恨はないとまで云うた。
家庭小言 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「そうじゃないのよ。そうじゃないけれども——まあたとえに云うと、あの小野さんと云う方があるでしょう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たとえを申したのじゃ。何も難しい意味ではない。そなたが嫁ぐ山木判官兼隆は、幸いにも、平氏の同族。——末長う、貞節にかしずけよ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例之たとえば筆法を正すにも「徳安とくあんさん、その点はこうおうちなさいまし」という。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
例之たとえば箱根を去るなんぞはどうだろう。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
例令たとえこの創業そうぎょうの一年が、稚気乃至多少の衒気げんきを帯びた浅瀬の波の深い意味もない空躁からさわぎの一年であったとするも、彼はなお彼を此生活に導いた大能の手を感謝せずには居られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
例令たとえ遠山とおやまは雪であろうとも、武蔵野の霜や氷は厚かろうとも、落葉木らくようぼくは皆はだかで松のみどりは黄ばみ杉の緑は鳶色とびいろげて居ようとも、秩父ちちぶおろしは寒かろうとも、雲雀が鳴いて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
技倆わざはあっても宝の持ち腐れの俗諺たとえの通り、いつその手腕うであらわれて万人の眼に止まるということの目的あてもない、たたき大工穴鑿あなほり大工
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
両人ふたりでよくよく相談して来よと云われた揚句に長者の二人の児のお話し、それでわざわざ相談に来たが汝も大抵分別はもうめて居るであろう、おれも随分虫持ちだが悟って見ればあの譬諭たとえの通り
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)