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仮令
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たとえ
ふりがな文庫
“
仮令
(
たとえ
)” の例文
旧字:
假令
それに、犯人にとって、子供は大切な商品なのですから、
仮令
(
たとえ
)
この計画が失敗しても、危害を加える様なことは、決してありません。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
仮令
(
たとえ
)
幾晩となく眠られない夜が続きに続いて彼の小さな魂を揺するようにしても、
頑
(
かたくな
)
な捨吉は独りで耐えられるだけ耐えようとした。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仮令
(
たとえ
)
現在の結婚制度が最も進歩発達したる階級にある男女の要求に背くものであつても、かの、少数を利し多数に有害なる革新と
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
仮令
(
たとえ
)
少数でも此の日本に在ると云ふ事は、列国に対して我国の声価を維持せんとする外交家の身にとり如何ばかり心強い事であらう乎。
外交の後援:(敵愾にあらず至誠にあり)
(新字旧仮名)
/
大石誠之助
(著)
もしそんな金があったら、
仮令
(
たとえ
)
それが十銭であったにしろ、芋でも買って餓を
凌
(
しの
)
ぎ、玉島を殺す事は明日の問題にしたに違いないのだ。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
仮令
(
たとえ
)
、知っていたとしても、私は文学者だから、心から納得の行かない限り、そんな常識を以て行為の基準とする訳には行かない。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
なんて申したって分りません、
仮令
(
たとえ
)
長く下げまして、末には目の上にまで
被
(
かぶ
)
さって、向うが見えないように成って、向うから人が来て
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こういう図柄は
仮令
(
たとえ
)
簡単なものでも、祖先が
遺
(
のこ
)
してくれたものでありますから、大切にされねばなりません。まして美しいのですから。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
でありますからして小生は
仮令
(
たとえ
)
貴下がこの遺書を一笑に附して小生の希望をお
容
(
い
)
れにならず、あの金は没収、もしくは寄附等となして
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こんな
纔
(
わず
)
かな現はれからかなりはつきりと想見出来る様に、
仮令
(
たとえ
)
夫人がその過去にどんな不幸な影を曳きづつて居られようとも
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
仮令
(
たとえ
)
彼女が死力を尽して猿轡を噛切り、縄を抜けたところで、男の残していった言葉が気になって、
迂闊
(
うかつ
)
な事も出来ないように思われた。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
仮令
(
たとえ
)
山賊の棲家であろうとも、
奪
(
と
)
られる物のない心易さ、
其処
(
そこ
)
まで行けば、一飯一食の
恵
(
めぐみ
)
位にはあり付けそうに考えたのでした。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
且つ曰く、予は生活する間は决して此牧塲を退かざるなり、予は生活する間はココを退かずして、
仮令
(
たとえ
)
一人にても止まりて牛馬の全斃を待つ。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
また、奥の屍室の中に、あるいは
紋章のない石
(
クレストレッス・ストーン
)
の一端が、現われているかもしれん。しかし、
仮令
(
たとえ
)
ばそれで、一人二役が解決するにしてもだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
五月から六月初旬若しくは十月中旬ならば、
仮令
(
たとえ
)
雨天が続いても急激に河の水を増すような事は先ず稀であるから、最も適当した時期であろう。
笛吹川の上流(東沢と西沢)
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
この重い動かぬ体を動かすことは? いや出来ようが出来まいが、何でも
角
(
か
)
でも動かねばならぬ、
仮令
(
たとえ
)
少しずつでも、一時間によし半歩ずつでも。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
仮令
(
たとえ
)
自分達に責任はないにしろ一応犠牲者の方にも殺される理由があるのだが、殺人狂の被害者に至っては、まったく出たとこ勝負、偶然中の偶然
殺人狂の話:(欧米犯罪実話)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
私は一日と十五日との休日には、
仮令
(
たとえ
)
雨がふっても雪がふっても、必ず自分の宿になってくれた、
谷中清水町
(
やなかしみずちょう
)
の
高橋
(
たかはし
)
某氏の家へ遊びに行ったものだ。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
此の資本主義の存在している限り、それは
仮令
(
たとえ
)
、排撃せらるべき文学であるとしても、新しき資本主義文学の発生するのも、また当然でなければならぬ。
新感覚派とコンミニズム文学
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
恋い慕うものならば、
馬士
(
うまかた
)
でも船頭でも、われら坊主でも、
無下
(
むげ
)
に
振切
(
ふりき
)
って
邪険
(
じゃけん
)
にはしそうもない、
仮令
(
たとえ
)
恋はかなえぬまでも、
然
(
しか
)
るべき返歌はありそうな。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうは云うものの、あの学生達も、みんないい人間で、
仮令
(
たとえ
)
、酒を飲んで議論して、政府や誰彼を非難するにしても、国のことを心配しているらしく見えた。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
産気のついた者をこんな山中にうっちゃって置いては、
仮令
(
たとえ
)
一人でお産をすることはできるにしても、狼にでも嗅ぎつけられたら、その餌食になるのは判っている。
鍛冶の母
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
併し此七曲の上までは、登る時に二時間以上もかかっている、
仮令
(
たとえ
)
途は之から
能
(
よ
)
く分っても、蝋燭が途中で無くなったら何うしようと、私はそれが心配でならない。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
仮令
(
たとえ
)
何ずれの大国でも過去の歴史を穿鑿すれば有り勝ちの性質のものであったとしても、又国民の各自には何等の責任がなかったとしても、国家の構成分子たる個人は
新憲法に関する演説草稿
(新字新仮名)
/
幣原喜重郎
(著)
これでは『
仮令
(
たとえ
)
死
(
し
)
んでも……。』という
考
(
かんがえ
)
が
橘姫
(
たちばなひめ
)
の
胸
(
むね
)
の
奥深
(
おくふか
)
く
刻
(
きざ
)
み
込
(
こ
)
まれた
筈
(
はず
)
でございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
仮令
(
たとえ
)
諸君がかの古の
希臘
(
ギリシア
)
の
提燈
(
ランタン
)
を携へて探しまはつても、世間の評判によつて自己の社会上の位置や仕事の上に何等の利害得失を蒙らない人を見付出すことは不可能であらう。
少数と多数
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
仮令
(
たとえ
)
数ありとするも、測り難きは数なり。測り難きの数を
畏
(
おそ
)
れて、
巫覡卜相
(
ふげきぼくそう
)
の徒の前に
首
(
こうべ
)
を
俯
(
ふ
)
せんよりは、知る可きの道に従いて、古聖前賢の
教
(
おしえ
)
の
下
(
もと
)
に心を安くせんには
如
(
し
)
かじ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
仮令
(
たとえ
)
妾
(
わたし
)
には
数万金
(
すまんきん
)
を積むとてかえがたき
二品
(
ふたしな
)
なれど、今の
際
(
きわ
)
なれば是非も一なく、惜しけれど、
終
(
つい
)
に人手にわたす
妾
(
わが
)
胸中は
如何
(
いか
)
ばかり淋しき
思
(
おもい
)
のするかは
推
(
すい
)
したまわれ、されど
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
けれど
仮令
(
たとえ
)
該博
(
がいはく
)
なる直木三十五の手に触れた書から、以上の参考書をのこらずひっくるめて見ても、そのうちからこれこそほんとの史実だと信用できる武蔵の記録というものは
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そ、そ、そればかりじゃ有りません……
仮令
(
たとえ
)
今課長に依頼して復職が出来たと云ッても、とても
私
(
わたくし
)
のような者は永くは続きませんから、
寧
(
むし
)
ろ官員はモウ思切ろうかと思います」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
仮令
(
たとえ
)
ば蛋白質をば少しく分解して割合簡単な形の消化し
易
(
やす
)
いものを作る等であります。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
仮令
(
たとえ
)
ば、沙魚の餌付は、でも紳士の立食会に、眼を白黒して
急
(
せ
)
き合ひ、豚の
骨
(
あら
)
を
舐
(
しゃぶ
)
る如く、鮒は妙齢のお嬢さんが、床の間つきのお座敷に座り、口を細めて甘気の物を召し上る如く
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
拙者この度
仮令
(
たとえ
)
一命差捨て候とも、国家の御為に相成る事に候えば本望と申すものに候。両親様へ大不孝の段は先日申し候よう、
其許達
(
そこもとたち
)
仰せ合わされ拙者代りに御尽し下さるべく候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
作家の私で
殊更
(
ことさら
)
ああ云う結果に持ち
来
(
きた
)
らしたと言われては、
仮令
(
たとえ
)
、其現わさんとした哲学なり、教訓なりを現わす目的を
如何
(
いか
)
に
能
(
よ
)
く達しても、作家としての私の面目は
潰
(
つぶ
)
れる訳になる。
予の描かんと欲する作品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私が
此処
(
ここ
)
に指摘したような性急な結論乃至告白を口にし、筆にしながら、一方に於て自分の生活を改善するところの何等かの努力を営み——
仮令
(
たとえ
)
ば、
頽廃的
(
デカダン
)
という事を口に讃美しながら
性急な思想
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
「お前には意志の自由がある。
仮令
(
たとえ
)
これまでに己に誓った事があっても、己はお前に約束を履行しろというのではない。お前に脅迫しようとは思わない。まあ、その手を握らせてくれ。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
かかる事は
仮令
(
たとえ
)
真実なりとも、
忌
(
い
)
むべく
憚
(
はばか
)
るべきこととして、大方の人の黙して
止
(
や
)
むべき所なるべけれど、一つは生理学および生理と心理との関係を
究
(
きわ
)
むる人々のために、一つは当時の妾が
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
仮令
(
たとえ
)
江戸
(
えど
)
に
幾
(
いく
)
千の
女
(
おんな
)
がいようともうちの
太夫
(
たゆう
)
にばかりは、
足
(
あし
)
の
先
(
さき
)
へも
触
(
ふ
)
らせることではないと、三
年前
(
ねんまえ
)
に
婚礼早々
(
こんれいそうそう
)
大阪
(
おおさか
)
を
発
(
た
)
って
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
から、
肚
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
には、
梃
(
てこ
)
でも
動
(
うご
)
かぬ
強
(
つよ
)
い
心
(
こころ
)
がきまっていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
急にその美しいものに飛び
蒐
(
かか
)
って見詰めなければならないか、しかもその
為
(
た
)
めに一時に断たれた視線が、その美しいものに追い
縋
(
すが
)
るまでの瞬間に
仮令
(
たとえ
)
一時的にも何故に麻痺するかということを
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
或夜
(
あるよ
)
のこと、それは冬だったが、当時私の習慣で、
仮令
(
たとえ
)
見ても見ないでも、必ず
枕許
(
まくらもと
)
に五六冊の本を置かなければ寝られないので、その晩も例の如くして、
最早
(
もはや
)
大分夜も
更
(
ふ
)
けたから
洋燈
(
ランプ
)
を
点
(
つ
)
けた
儘
(
まま
)
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
思召の如く替へおほせて、二十九日敵陣へ無二無三に切入り給はんには、味方の勝利疑ひ有るべからず。
仮令
(
たとえ
)
ば敵方にて
此方
(
このほう
)
の色を察し出向はゞ、その処にて合戦すべし、何のこはきことが候ふべき。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
仮令
(
たとえ
)
いかなる苦難を負おうとも、一度姪に負わせた
深傷
(
ふかで
)
や自分の生涯に留めた汚点をどうすることも出来ないかのように思って来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
老人夫婦さえ知らぬ、こんな秘密の穴蔵へ、
仮令
(
たとえ
)
いたいけな子供の願いとはいえ、無謀に入って行くようなことはしなかった筈である。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いい気持に寝ころがって、二年間も制作から離れていられる所があったら!
仮令
(
たとえ
)
それが
癲狂院
(
てんきょういん
)
であっても、私は行かないであろうか?
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
八歳
(
やッつ
)
のおり寝物語に
度々
(
たび/\
)
申聞
(
もうしき
)
けてあるではないか、手前も侍の忰、いやなに
仮令
(
たとえ
)
百姓の子でも其の位の事は弁えて居るだろう、早く帰れ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕は、
仮令
(
たとえ
)
それが気違いじみていても、いや、気違いそのものの行為であっても、僕は乗鞍岳の雪渓を発掘せずにはいられなかったのだ。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
仮令
(
たとえ
)
雨がひどくても気もちよく横浜まで(その時分まだ長谷の通には不二家の支店はなかつた。)行つて呉れる五郎だつた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
仮令
(
たとえ
)
幾許かの部分は、現在を語り得なくなったとはいえ、追憶すべき記録として、私はそのままにして版に附します。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
仮令
(
たとえ
)
普選になっても、美徳がある限り天下はいつまでも太平であろうとは誰でも感じていることで、この美徳を打破って憲政有終の美を満たすには
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
ところが、
仮令
(
たとえ
)
これだけの
疑題
(
クエスチョネーア
)
を提供されても、その結論に至って、僕等は
些
(
いささ
)
かもまごつくところはないのだよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
“仮令”の意味
《形容動詞》
かりに、よしんば。
(出典:Wiktionary)
仮
常用漢字
小5
部首:⼈
6画
令
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“仮”で始まる語句
仮
仮面
仮借
仮名
仮初
仮髪
仮声
仮病
仮睡
仮寝