“刻”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とき32.8%
きざ32.6%
こく18.4%
どき6.0%
4.9%
きざみ1.8%
0.9%
きぎ0.8%
0.3%
トキ0.3%
むご0.2%
おろ0.2%
きざま0.2%
けず0.2%
しる0.2%
0.2%
ほり0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「どこで落したかわかりませんが、一ときばかり前に気が付いて、あっちこっち探したが見えません。手拭がどうかしましたか、親分」
つれなかりし昔の報いとならば、此身を千千ちゞきざまるゝとも露壓つゆいとはぬに、なまじあだなさけの御言葉は、心狹き妾に、恥ぢて死ねとの御事か。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
そして、もう一こくもここにいるのが危険きけんになりましたときに、二人ふたり相談そうだんをして、どこか安全あんぜんなところへのがれることにいたしました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういえば、此の頃は誰も来ない、来ても食事どきはよける、坐って酒を飲むような者はごくまれで、用事が済めばさっさと帰ってゆく。
山椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
製糸工場の最初の経営者の墓は、花崗石みかげいしの立派なもので、寄付金をした有志の姓名は、金文字で、高い墓石にりつけられてあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
中を開けて見ると、粉煙草が少々、薩摩さつま國府こくぶでもあることか、これはきざみの荒い、色の黒い、少し馬糞まぐそ臭い地煙草ではありませんか。
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
水車すいしゃは、「カタン—コトン、カタン—コトン、カタン—コトン。」とまわっていました。小舎こやなかには、二十にんこなひきおとこが、うすってました。
せいぜい十八九にしか見えない若々しさも、生得の麗質が年齢をきぎむ由もないほど玲瓏れいろうとしているためでしょう。
通りすがりに駕籠から見ると、石は道のまん中に転がっていて、上に南無阿弥陀仏とりつけてあった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
今、一トキ破却ハキヤクニ会ヒ、一修行者ノ狂歌ヲ聞ク。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貴嬢きみが掌に宝丹移せし時、貴嬢きみは再びわが顔を打ち守りたまいぬ、うるみたる貴嬢の目の中には、むしろ一さじの毒薬たまえむごき君とのたもう心あざやかに読まれぬ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
薬研やげんで物をおろす音が壁に響いて来る。部屋の障子の開いたところから、はすに中の間の一部が見られる。そこには番頭や手代が集って、先祖からこの家に伝わった製薬の仕事を励んでいる。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今は習慣的になつた悲哀の筋が彼の雄々をゝしい顏にきざまれてあつた。
これはおいを遠矢にかけて、その女房を奪ったとやら申すむくいから、左の膝頭にその甥の顔をした、不思議なかさが現われて、昼も夜も骨をけずるような業苦ごうくに悩んで居りましたが
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
辻の向側には曹洞宗東清寺としるした石碑と、玉の井稲荷の鳥居と公衆電話とが立っている。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この間、旅先から手紙を寄越よこしなすったそうだが、なぜもっと早く来ないのかって、お家様もうわさをしていたのさ。船が出るのはだから、まだちょっと間がある。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以前から派手なのが嫌ひで、まだ若いのにあまり年増づくりだなどと言はれたのであつたが、その好みは今でも変らないらしく、黒繻子の帯に素銅すあかの二疋鮎のほりのしてある帯留などをしてゐた。
時子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
明かなる夢は輪をえがいて胸のうちにめぐり出す。死したる夢ではない。五年の底から浮きりの深き記憶を離れて、咫尺しせきに飛び上がって来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)